【ミシュラン】タイヤインプレッション〜MICHELIN PREMIER LTX

2016.3.3

    • タイヤ
    • トヨタ

いつまでも走っていたい…
コンフォートSUVタイヤがデビュー

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数多くの新技術を採用
ミシュランらしさをSUVに

ミシュランの乗用車タイヤは、価格と性能のバランスに優れた「エナジーセイバー」とコンフォートを謳う「プライマシー」、そしてスポーティーを極めた「パイロットスポーツ」と大まかに区分けが出来る。中でもプライマシーの質感と快適性をSUVタイヤにも採用したのが、この「プレミアLTX」だ。

 

このタイヤ、アクティブコンフォートSUVタイヤとされるが、ミシュランが掲げる「アクティブコンフォート」とは、静粛と快適性、高速での爽快感に繋がるドライバビリティー、それらが高次元でバランスされることを意味する。結果、どこまでも走りたくなる、そんな気持ちにさせてくれるタイヤだという。

 

このプレミアLTXのトピックは、「プライマシー」が持つコンフォート性だけでなく、新技術”エバーグリップテクノロジー”が採用されたことにある。その技術は高速走行時の突き上げや、挙動の乱れを素早く収め、ノイズ低減と高い静粛性の両面に寄与している。さらに、摩耗するにつれて溝の幅を広げウェット性能をキープする「エクスパンディング・レイングルーブ」、摩耗してもウェット性能を保つ「エマージング・グルーブ」、ゲリラ豪雨など突然の路面温度変化にもグリップ力を発揮する「ハイトラクション・コンパウンド」と数多くのユーザメリットが盛り込まれている。特に、エクズパンディング・レイングルーブとエマージング・グルーブは、技術面コスト面ともに負担のかかる工法なのだが、SUVオーナーが期待するロングライフ(もちろん性能をキープしたままに)を考慮して採用となった。

 

ミシュランタイヤらしさである、高い剛性感がもたらす安心感、豊かな接地性に基づく真の快適性が息づいていることは言うまでもない。剛性感については、硬目だと表現されることもあるが、実はその中にはしなやかさがあり、上質感さえ感じさせる。サスペンションをしっかりと動かし、シャーシー性能を存分に引き出してくれるタイヤと言えよう。

 

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ストレート・グルーブ(縦溝) は、溝の底部に近づくにつれてその幅を広げていくエクスパンディング・レイングルーブを採用。摩耗すればするほどに溝は広がり、摩耗時に気になるウェット時のグリップ力と耐ハイドロプレーニング性能の低下を抑えてくれる。

 

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横溝に施されたエマージンググルーブは、摩耗していくと エクスパンディング・レイングルーブのように溝幅を広げて(形状は異なる)、ウェッ ト時のトラクション性をキープしてくれる。

 

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よく見るとセンター部にはサイプ加工が施され、オールマイティーな走りへの対応が期待できる。コンパウンドは柔らかめであり、ハンドリングに悪影響を与えるのでは? と思われるかもしれないが、 むしろ明確さが際立ってお り、ブロックがよれるようなフィーリングは皆無。つまり、 不足はまったくなかった。

 

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明確なストレート・グルーブの存在からオンロードをターゲットと していることがうかがえるトレッ ドデザイン。ハイレベルの静粛性と安定性から、乗員に安心感をもたらしてくれる。

 

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重量級四駆でも走りの質を高めてくれる
ステアリングを握る愉しさ再発見!

テスト車両はランドクルーザープラド(ディーゼル)。ラダーフレーム+リジットサスというハードウェアは、イマドキのSUVのメインストリームではないため、プレミアLTXとの相性については少々心配があった。しかし、結論を先に言うとプラドとの相性はとても良く、プラドに与えられたストローク感を活かした快適な乗り味に上質感を加え、プラドの良さを引き出していた。

 

プレミアLTXのポテンシャルは走り出した瞬間から感じ取れる。タイヤの接地面すべてを使って路面を捉えるミシュランらしいフィーリング、さらに転がり抵抗が大きく抑えられた質感の高さがある。それは速度域を上げても変わることなく、さらに路面のアンジュレーション(緩やかな凹凸)に対して、タイヤがしっかりと路面をトレースしている。これはタイヤの適切な剛性感によって、サスペンションが動かされているという印象だ。それでいながら路面からの衝撃は、タイヤで吸収してくれるため、ゴツゴツといった硬さを感じることはない。そう、これこそがまさにミシュランマジックであり、このプレミアLTXにもしっかりと存在していた。

 

ステアリングフィールについては、ランクルというキャラクターゆえに緩さが与えられているが、そこに明確・正確さが生まれた。それは、わずかな操舵に対しても車両が素直に動いてくれるというもの。さらに操舵していくとしっかりとグリップ感が立ち上がる。ワインディング路などではグリップ力の高さも加わり、ステアリングを切る量が分かりやすく、操縦する愉しさを与えてくれた。

 

高速道路では、これまで述べた印象に加え、直進安定性の安心感と、豊かな接地性がもたらす快適性に関心を覚えた。レーンチェンジでは、このプレミアLTXがプラドのシャーシーの一部となっているかのように、余計な動きを感じさせない。衝撃をいなしながらも、乗員に不安を抱かす余計な動きはさせないという、ミシュランらしい仕立てだ。

 

オンロードでこれだけのポテンシャルを与えながらも、SUVゆえのオールマイティーな走行性能に応えるため、M+S仕様としていることもポイントだ。このタイヤのアドバンテージは、プラドのシャーシーの良さを引き出すだけでなく対話を愉しめることにもある。まさに、ドライブが愉しくなる、そして、どこまでも走って行きたくなる魅力を備えたタイヤだと感じた。

 

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ミシュラン・トータル・パフォーマンスの刻印は、どれかひとつの性能だけが突出しているのではなく、タイヤに求められる全ての性能をクリアしながら、それぞれがバランスしていることの証。

 

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走り出した時から感じていた豊かな接地感と直進安定性は、高速道路走行においては快適性を大きく引き上げてくれる。それは安心感があるだけではなく、タイヤとの対話を愉しめるものとも言える。そして、その先まで走っていきたくなる衝動に駆られる。 路面からの衝撃を消し去るのではなく、存在を伝えながら、不快に感じる角を取り除いてくれる。レーンチェンジでは余計な動きが小さく抑えられており、不安に感じることがない。そう、こうしたことが、タイヤに対する信頼感へと繋がり、豊かな対話性を導き出しているのだ。

 

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タイヤの剛性がしっかり感をもたらし、サスペンションが自在に動くようになるので、グリップ感を見失うようなこともない。ラフロードであってもタイヤに対する信頼感はオンロード同様だと感じた。