【紹介/試走】FORD KUGA Trend
2015.9.11
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四輪駆動車
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FORD
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磨きがかかるエコブーストの実力
先進のターボ”エコブースト”
2リッター&1.5リッターを搭載
日本に導入された当初は2.5リッター直5ガソリンターボだったエンジンは、2013年のフルモデルチェンジで1.6リッター直4のエコブースト(直噴ガソリンターボ)に変更され、さらに今年8月のマイナーチェンジ(一部改良)で1.5リッター直4と2リッター直4の2種類のエコブースト(ガソリンターボエンジン)が用意されるラインナップとなった。
1.5リッターは標準グレードの「トレンド(Trend)」に、そして2リッターは上級グレードの「タイタニアム(Titanium)」にそれぞれ搭載。フォード車初となるアイドリング・ストップ機構も新設(トレンドのみ)されて、さらなる低燃費化が図られている。
軽快なれど安定した重量感あり
初代モデルからの美点が健在
試乗車は1.5リッター直4ターボ搭載のトレンドを選択。ややずんぐりした印象のあった初代モデルに比べて全長が延び、全高が抑えられてスマートなシルエットに生まれ変わっているクーガに乗り込み、さっそく試乗を開始した。
排気量ダウンを感じさせない加速フィーリングと軽量化されたエンジンの効果が非常に分かりやすい形で伝わってくる
デビュー当時からの美点である「軽快にキビキビ走るのに、どっしりとしたSUVらしい安定感も併せ持つ」という特徴が健在であることに、ひとまず安心する。
サス・セッティングも、いわゆるライトウェイトスポーツのような神経質に固められた脚とは違い、ワインディング路では適度なロールを伴ったコーナリング、ハイウェイでは路面の轍や凹凸を鷹揚に包み込むような安定したクルージングが楽しめる脚だ。
ステアリング操作に対するレスポンスの良さ、回頭性の良さはコンパクト・クロスオーバーSUVを名乗る資格充分で、操る愉しさに溢れている。
1.5リッターのターボということで、急勾配の連続する峠道や、高速域での追い越し等では、やや振り絞った感の強いパワーの出方をするものの、アクセル・レスポンスは良好で、平地では1.5リッターとは思えないパワフルさである。その瞬発力もさることながら、1,600rpmという低回転域から最大トルクを発揮し始めるという特性も、小排気量ガソリンターボエンジンらしからぬポイントと言える。
トランスミッションは、第1速が低く設定された電子制御式6速AT。シームレスなシフトチェンジでキレのあるドライビングを可能にするATだ。セレクトシフトモードと呼ばれるマニュアルモード付きで、シフトノブ側面に配置されたアップ/ダウン(+/-)ボタンで操作するタイプが採用されている。
きめ細かい制御を瞬時に行う
インテリジェントAWDを踏襲
AWDシステムは、先代から受け継がれる「インテリジェントAWD」が踏襲されている。
これは、エンジンやABS、トラクションコントロール機構等、25ヶ所にも及ぶセンサーから送られてくる情報(アクセル開度、操舵角、路面状況など)を0.016秒ごとにデータ解析し、前後間で最大100: 0から0:100まで、トルク配分をコントロールする方式だ。
ドライバーが意図した旋回方向と実際の進路を比較分析して、適切な前後左右へのトルク配分までコントロールする緻密な制御を行うシステムで、グリップが確保しにくいダートでも安定した走行が可能。その際も、制御されているという不自然さを感じずに走行できる。
また、トレンドのタイヤは55扁平の17インチが標準設定されており、オフロード走行でもそれほど神経質にならずに走行できた。
好印象ポイントの多いシート類
平均点高めなコンパクトSUV
インテリアは外観デザインとの統一が図られた造形でまとめられていて、先代モデルから大きくは変わっていない。
シートは調整により、かなりアップライトなドライビングポジションが取れるため、例えばオフロード走行等に適した視界も確保しやすい。小柄なドライバーにとってもありがたい設計と言える。
また、これは個人差もあろうが、フロントシートのシートバック形状が背中にフィットしやすい構造となっていて、ホールド感の良さが印象に残った。リアシートは僅かだがリクライニング可能。フォールディング方式の構造上、前後スライドは不可となっている。
舗装路にしろ、ダートにしろ、軽快で楽しく走れて、コンパクトながら居住性も良い。SUVならではのどっしりとした存在感、安心感もある。1.5リッターとは思えないパワフルな心臓に、適度にタイトで疲れないサスペンション。
フォード・クーガは、コンパクトクラスのクロスオーバーSUVに求められる多くの要素が、そこそこ高いレベルで備わっているクルマだ。
2リッターのタイタニアムが419万円、1.5リッターのトレンドが359万円(消費税込み)。この価格設定が高いか安いかは、どこに最大の価値を見出すかにもよるが、少なくともクルマを排気量でランク付けする時代はとうに終わっていることを強く実感する。
【細部写真】
1,497cc 直列4気筒DOHCガソリンターボ(エコブースト)エンジンを搭載。最高出力134kW(182ps)、最大トルク240Nm(24.5kgm)を発生する。
【騒音計測データ】
●車内・・・・38.5dB
●ボンネット閉・・・・53.5dB
●ボンネット開・・・・64.5dB
※エアコンOFF、電動ファン非作動時アイドリング時。
上: 個性的な2眼メーター。ただし、内容はシンプルで視認性もよい。
下:傾斜したダッシュボードが圧迫感を抑制しているインパネ。外観デザインとの一感が特徴。
トランスミッションは電子制御式6速AT。マニュアルシフトはシフトノブ側面のボタンで操作する。
インパネ・センターを陣取るオーディオ操作部。ディスプレイの手前は小物を置くスペース。
試乗車はトレンドで、ハーフレザーシート仕様。上級グレードのタイタニアムは本革シートを装備。リアシートにスライド機構はないが、リクライニングは可能。
リアシートは背もたれが倒れるだけの可倒式シート。最大1,603リッターのカーゴスペース確保が可能。床下にスペアタイヤを格納している。
フロントサスは、マクファーソン・ストラット(上)、リアサス(下)はマルチリンク式コイル。適度にタイトなセッティング。
標準タイヤは235/55R17サイズ。ダート程度のオフロードであれば、そこそこ使えるサイズ設定。