ジムニー快適度チェック/SUZUKI JIMNY660 JB64W

2019.1.7

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“ふだん使い”でのジムニー

話題のフルモデルチェンジからおよそ半年が経過し、街中ですれ違う機会も増えてきた新型ジムニー。
 
ネットや雑誌をはじめ、さまざまなメディアによってそのポテンシャルが明らかになってきた今日この頃だが、現行型4×4の中でもそのずば抜けたオフロード性能ばかりに話題が集中しがちなことも否めない。
 
そんなわけで、今回はジムニーの自家用車としての快適度や日常的な使い勝手に注目してみることにした。
(文:内藤知己/写真:佐久間 清人)

 
試乗車はジムニー(JB64W)の最上級グレード:XC。ブラック2トーンルーフがシフォンアイボリーメタリックのボディーを引き締める4速AT車だ。

 

遮音、静粛性能

まず最初にアイドリング時と走行時の騒音を測定してみる。周囲の環境や路面状況等によって測定値は刻々と変化するため、あくまでもその数値は目安だが、例えばボンネット開/閉時のアイドリング音を計測すると、どの程度の遮音ができているのか、その相対値で知ることができる。
 
アイドリング時(エアコンOFF、電動ファン非作動時)の騒音は、
ボンネット開:66dB
ボンネット閉:56dB
そして車内:39.5dB
と、高級車と呼ばれるSUV並みの遮音性を確認。
 

一方、80km/h巡航時の車内では67dBと、風切り音やタイヤのパターンノイズも含めての数値としては文句のない結果だった。
 
ルーフドリップ(雨樋)の新設や角度の立ったウインドシールド、リアガラス、鉄板むき出し部分の多い車内等、騒音面では不利な要素が多々あるにもかかわらず優秀な数値であり、実際、耳障りな音も少なめで、ジムニー史上最も静かなジムニーであることは間違いない。

 

シートとカーゴスペース

走行時の快適性と言えば、直結するのがシートの性能。厳密に言えば、シートとの相性は人それぞれであり、如何に万人にフィットするシートに近づけるかが課題となるが、ジムニーのフロントシートは、サイズ的に余裕もあり、硬すぎず柔らかすぎないクッションでホールド性能もそこそこで乗降性も良い、という平均点高めなシートに仕上がっている。


XCとXLのリアシートは分割シートで独立リクライニング機構付きで快適だが、XGは一体型シートバックでリクライニングも無し。ファブリック表皮のシート生地も前者のみ撥水加工という設定なので、グレード選択の際の参考にしたい。シートヒーター(フロント左右)もXCとXLのみの設定だ。

 

カーゴスペースは、同じ軽自動車でもバンやワゴンタイプに較べると、ボンネットが長くフロア高が高いジムニーはやや不利だが、それでもスクエアな車内空間を武器に、シートアレンジや積み方の工夫で、かなりの積載能力は確保されている。
 
これはカタログに載っている荷室寸法だが、この他の部分の寸法は以下の通りだ。
 

定員乗車時の実測荷室長は300mm

 

 

 

 

 

 

後席フロアにも1,160mmの長尺物が積める

 

 

 

 

このシートアレンジだと床がフラットではないので荷物が安定しにくいが、助手席を倒せば1,850mmもの長尺物が積載可能。ただしこの場合、運転席の後方シートに人は乗れるが、ドアが無いので乗降ができない。

 
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ちなみに、この時取材に同行していた特別仕様車ハスラー「ワンダラー」と較べてみたら、助手席シートバック裏面にも樹脂板(テーブル)が設置されていて、より安定した積載が可能なことが分かった。リアシート乗員の乗降も問題ない。この辺は、やはりバン/ワゴンの方が一歩進んでいる。
 

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収納&ホルダー類

国産SUVの収納やドリンクホルダーの豊富さは、1990年代のSUVブームの頃から欧米メーカーに模倣され、現在では輸入SUVでも多くの収納スペース設置が当たり前になったが、この辺はスズキも古くから得意とする分野だったように思う。
 

ただ、ジムニーの場合は“必要最低限”の感が強く、凝った造りの引き出し式ドリンクホルダー等も無く、あくまでも空きスペースを利用…といった体のモノが素っ気なく設置されている程度である。
 

助手席正面のグリップはあくまでも乗降時のアシスト用で、ロードマップや雑誌等を差し込めなくするための突起が施されているが、スマホを置くのに便利なスペースとして使われることが多いらしい。その下のグローブボックスは容量も小さく、車検証やオーナーズマニュアル、整備手帖等の書類を入れたら満杯になる。
 

リアシートの後部フロアにあるフタ付きの収納スペースは、さほど容積は無いものの、最低限の車載工具等細々したモノを入れておくには充分。ボックスを外すと車載ジャッキとハンドルが収まっていて、それを取り出せばさらに収納スペースになる。

 

操作系&照明類

インパネまわりの操作系のうち、メーターパネル内の液晶画面やカーナビ等の各種設定を行うスイッチを除けば、概して操作性は良い。咄嗟の場合にも操作しやすいハザードスイッチ、大きなダイアルと押しボタンで構成されるエアコン操作部をはじめ、パワーウインドゥ、ヒルディセントコントロール、ESP等解除スイッチも大振りで、グローブをしたままでも容易に操作できるスイッチだ。
 
パワーウインドゥ・スイッチはドアにあるモノ…という固定観念から最初は操作に戸惑うが、これは慣れの問題だろう。USB端子(ディーラーオプション)は、人によっては必需品なので、オプション設定はありがたい。

 

カーゴスペースにも12Vパワーアウトレットを装備

 

 

 

 

 

照明はフロントシート頭上とカーゴスペース上方に。これも必要最低限だ。

 

ポイントを押さえた必要充分装備

今どきの軽ワゴンやミニバン、SUVに較べると、ジムニーの快適装備やユーティリティー面での装備はごく地味と言える。その代わり、押しつけがましさやお節介な装備はほとんど見当たらず、無駄のない「必要最低限」を絵に描いたような合理性を感じる。
 
ただし、細かい配慮や工夫がないワケではない。例えば、死角を減らすため、前後方向に拡大され、さらに前方下部をクランク形状にしたフロントドア・ウインドゥは、想像した以上に視認性を向上させているし、
 

降雨時にドアを開けたとき、屋根からシートにしたたり落ちる雨滴を防いでくれるルーフドリップの復活(JA11以来)も、目立たないがユーザーにはありがたい快適装備だ。

 

 
そんなポイントを押さえた必要充分装備に、ジムニーらしさを感じる。また、そんなジムニーゆえ、純正オプションも豊富だが、同じ理由によりアフターマーケットで開発される便利装備が豊富なことも、ジムニーオーナーの悦びであり、これもジムニーの実力のひとつ、と言ったら褒め過ぎだろうか。