【紹介/試走】AUDI RS Q3 performance

2017.10.10

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さらに進化した特別な「RS」

アウディのハイパフォーマンスモデル「RS」シリーズのさらなる進化版である「performance」。アウディSUVでは唯一その名が与えられているRS Q3に試乗した。

文/内藤知己

写真/川上博司

 

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クワトロ社が手掛けた特別な“アウディ・スポーツ”

 

アウディの「RS」シリーズといえば、メルセデス・ベンツなら「AMG」、BMWなら「M」に相当するスポーツモデル。アウディのコンペマシンや市販スペシャルモデルを手掛けるクワトロ社が開発を担当していることは周知のとおりだ。

 

昨年夏、このRSシリーズをさらにハイパワー化した「performance(パフォーマンス)」が登場し、日本ではワゴンタイプの「RS6 Avant」、ハッチバックタイプの「RS7 Sportback」、そして今回試走に駆り出したSUVの「RS Q3」の3モデルのみに設定…という、特別感満載のモデルの試走を行った。

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このRS Q3 performanceが搭載する2.5リッター直5-DOHC直噴ガソリンターボのスペックは、最高出力270kW(367PS)、最大トルク465Nm(47.4kgm)ということで、数値的にはメルセデスAMG GLC43(最高出力367PS)、ポルシェ・マカンGTS(同360PS)やBMW X4 M40i(同360PS)など、3リッタークラスの強豪たちと肩を並べる、あるいはそれらを凌駕するものだ。

 

なお、標準モデルのQ3(日本仕様車)では、2WD(FF)モデルに1.4リッター(150PS/25.5kgm)、AWDモデルには2種類の2.0リッター(180PS/220PS/32.6kgm/35.7kgm)の直4-DOHC直噴ガソリンターボエンジンが用意されている。

 

低回転から分厚いトルク発揮
どんな速度からでも豪快に加速

 

試乗車両は、スペシャルオプションのRSダンピングコントロールスポーツサスペンションが追加されたアスカリブルー・メタリックのRS Q3パフォーマンス。モデル名に「quattro」の文字は見当たらないが、もちろんフルタイム4×4だ。

 

1.4リッター搭載のFFモデルならともかく、367PS/47.4kgmもの強大なパワー&トルクを確実に路面に伝えるためには、たとえ氷雪路や悪路でなくても4輪駆動は必須だろう。

 

「0-100km/h加速4.4秒、最高速度270km/h」はカタログ上の数値だが、この最高速度表記には「スピードリミッター制御」との註釈がある。つまり“ホントはもっとスピード出ます”と言っているわけで、実際に高速道路の合流車線でフル加速を試みれば、それがハッタリでないことは容易に想像がつく。そんな加速だ。

 

したがって、アクセルをちょいと踏み込めば、間髪を入れず背中がシートバックに押しつけられ、あっという間に法定速度を超えるので、自制心も多めに必要。ただし、躾の良い脚まわりはかなりの高速域でも乗員に恐怖感を与えないので、高速巡航は安全かつ快適だ。

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特筆すべきは、どんな速度域からでもアクセルを踏み込めば瞬時に適切なギア選択が行われ、強烈な加速態勢に入る、という点。これは単にキックダウンのレスポンスが俊敏なだけではなく、1,625rpmという低回転域から最大値を発生するトルク特性と、レッドゾーンの始まる6,800rpm付近までストレスなく回る高回転域でのパワーのバランスが絶妙なのだ。

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では、この怖ろしいほどの大パワー、街中ではどうなのか。パワーを持て余し、ギクシャクしないのか? そんな懸念もあったが、これは全くの杞憂。アクセルをちょっと踏むだけで軽く加速し、シフトアップもシームレスで滑らか。繊細なアクセルコントロールに対しても、そのレスポンスは極めて良好である。アクセルをそんなに踏み込まないで済む分、エコラン運転も容易。踏めば怖ろしいほどのパワーだが、街中でもコントロールしやすいパワーユニットと言える。

 

しなやかなのにタイト
絶妙な味付けが光る脚まわり

 

フロントがマクファーソンストラット、リアがウイッシュボーン型4リンク式の脚には、オプションの「RSダンピングコントロールスポーツサスペンション」が組み込まれていた。読んで字のごとく、ダンパー(ショックアブソーバー)の減衰力を状況に合わせて可変させる機構だが、このシステム未装着車との比較試乗でも実施しない限り、その変化を具体的に体感することは難しい。

 

ただ、ふだんから硬さを感じない、比較的しなやかなサスペンションが、ワインディング路でのコーナリング時にはよく踏ん張るタイトな脚に変化するのを感じ取ることは比較的容易だ。旋回中はやや大きめのロールを伴うものの、収束感はタイトでカッチリしている。

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コーナリングの際、それ以上に印象的なのはボディー剛性の高さだ。SUVにありがちなステアリング操作に対する挙動変化の遅れが全く感じられず、いわゆる人馬一体感がしっかり味わえる数少ないSUVのひとつと言って良いだろう。

 

ドライブモードにもメリハリ
好燃費も魅力のひとつ

 

今回の試走での燃費は、市街地、高速道路、山岳路(ワインディング路)の総走行距離300kmほどの走行で9.5km/lをマークした。高速や市街地ではコンフォートモードで省燃費運転を実践したものの、ワインディングや一般道ではダイナミックモードでメリハリを付けた加減速を繰り返すという走り方だったので、もっと積極的にエコランを意識すれば、10km台に乗せることはそう難しくはないだろう。と言うより、300PSオーバーのターボ車とは思えない好燃費と言って差し支えないと思う。

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また、コンフォートモードとダイナミックモードの違いがこれほど明確に体感できて、スポーツ走行の楽しみが倍加するモデルはそう多くはないので、この点も好印象な1台と言える。

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【細部解説】

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最高出力367PSを5,550-6,800rpm、最大トルク47.4kgmを1,625-5,550rpmで発生。トルクバンドが超ワイドな2.5リッター直5-DOHC直噴ガソリンターボエンジン。

【騒音計測データ】

  • 車内・・・・42.5dB
  • ボンネット閉・・・・58.5dB
  • ボンネット開・・・・69.0dB

※エアコンOFF、電動ファン非作動/アイドリング時。なお、当コーナーでの騒音計測は毎回微妙に異なる環境下(天候、気温や地形等)で実施されるため、計測値を他車と比較することはできません。

 

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上:アナログ表示で、主要メーターに液晶を使用しないメーターパネル。

下:ブラック基調のカラーリングと非円形のステアリングホイールがスポーティーな印象を強調するインパネ。

 

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格納可能なダッシュボード上のMMIナビゲーションディスプレイ。

 

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トランスミッションはデュアルクラッチ式ATの7段Sトロニックを採用。

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RS performanceデザインパッケージのバルコナレザー&パーフォレイテッドアルカンターラシート。

 

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60:40分割可倒式リアシート。センタースルーで長尺物も積載可。フロアはフラットで使いやすいが、フルフラットにはならない。

 

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荷室フロア下には「BOSEサラウンドサウンドシステム」のサブウーファー・ユニットが収まる。

 

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対向車のドライバーの眼がくらむリスクを軽減するオールウェザーライト機能を採用したLEDヘッドランプ。

 

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レーシーなサウンドチューニングが行われているエキゾースト系統。

 

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フロント:マクファーソンストラット(上)、リア:ウイッシュボーン型4リンク+コイル(下)のサスペンション。

 

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標準タイヤは255/35R20サイズ。アルミホイールは 5ツインスポークVデザイン のマットチタンルック(Audi Sport)を装着。サイズは 8.5Jx20 。