Rubber Sole:BRIDGESTONE ALENZA 001

2017.6.5

    • タイヤ
    • Mercedes Benz

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ブリヂストンのSUV専用タイヤブランドとして、オンロードにターゲットを絞ったブランド「ALENZA(アレンザ)」が、2017年2月より新たに加わった。
ご存知、ブリヂストンのSUV専用ブランドであるDUELER(デューラー)との違いは、オンロードに特化したプレミアムブランドということにある。
今回はそのALENZAブランドの第一弾モデル「ALENZA 001」をチェックする。

文章:吉田直志/写真:佐久間 清人
取材協力/メルセデスベンツ葛飾
装着ホイール/SUVENCER AW5s(ブリヂストンリテールジャパン株式会社)
 

 
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ALENZA 001デビュー

 昨今のSUVは、もはや、どのキャラクターがメインストリームかを明確に言えないほどの広がりを見せている。もちろんユーザーも様々で、オフロードに足を踏み入れたいからとSUVデビューした人もいれば、そのユーティリティー性能に惹かれて購入した人、さらには適度に高いヒップポイントとアイポイントがもたらす日常での使い勝手の良さに惹かれて選んだ人もいる。
 
 そして、最近では、乗用車やミニバンからSUVへと乗り換える人も多く、オンロード性能における運動性能を求めているユーザーも数多い。そんな人たちが理想とする走りを実現してくれるタイヤが今回紹介する「ALENZA 001」だ。
 
 新しく生まれたアレンザはオンロードつまり街乗りをターゲットとし、その車種が持っている上質な走りをさらに引き上げてくれるブランド。その第一弾となる「ALENZA 001」は、オンロードにおける運動性能を引き出してくれるモデルとなっている。ちなみに、DUELERはオールシーズンタイプがメインとなっているのに対して、ALENZAはサマータイヤとなっている。そして、低燃費につながる転がり抵抗とウェット時の安心感に繋がるウェットグリップ性能を表記したラベリング制度におけるグレーディングはA-bを中心に取得。この「ALENZA 001」が加わったことで、より多くのSUVユーザーに応えられるラインナップとなった。
 
 この「ALENZA 001」は、サマータイヤであり、さらにオンロード性能、運動性能に長けているモデルだが、そうと訊くと、高出力を誇るようなハイスペックモデル向けのタイヤと思われるかもしれない。
 
 しかし、試乗してすぐに気付くことは、単にスポーティーをイメージさせるようなスペックに特化しておらず、タイヤとしての基本性能である接地性を大切に作り込んでいると言うことだ。走り出した直後から安心感があるといえば分かりやすいだろうか。そして、すぐに剛性感の高さに感心を覚える。それは、スポーツカー向けのスペック的なフィーリングであり、いわゆるシッカリ感がダイレクトに伝わってくるというもの。これは、SUV用スポーツ向けタイヤに求められる高いドライ性能に対応するために採用した高剛性構造が大きく影響している。
 
 SUV用のタイヤの多くは、良くも悪くもSUVの乗り味のベースとなるゆったり感を上手くチューニングしているが、このALENZAは、剛性感を与えながらも、SUV的な快適性を大きく犠牲にすることなく、曖昧さだと感じるパートだけをきれいに取り除いたかのような印象を与えてくれるのだ。
 
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ALENZAの高い運動性能を実証

 今回「ALENZA 001」を組み合わせたのは、メルセデスのGLC 220d 4MATIC スポーツ(本革仕様)。オールラウンダーたるキャラクターを特徴としているモデルだが、さらにスポーツサスペンション、ドリルドベンチレーテッドディスク、19インチタイヤなどを採用しており、プレミアムSUVであるだけではなく、スポーティーな走りを与えている。
 
 実はタイヤとクルマの相性はすこぶる良く、ともにターゲットとしている性能がとても近いことを感じた。ワインディングではハイレベルなグリップ力はもちろんだが、それよりもグリップ感がつぶさに伝わってくることが印象に残った。コーナー手前で減速してフロントへと荷重を移しつつ、ステアリングを切り足していくと、クルマがそれに素直に反応してくれる。そこに強いクイック感のような過敏さはなく、まさに意のままに操っている感覚がある。そのままロールへと移行してもグリップ感だけが急激に立ち上がる印象もなく、やはり素直さを感じる。それはタイヤがしっかりと路面を捉えているといった安心感であり、どれくらいステアリングを切り込んでいけば良いか、その際、アクセルはどこまで開けられそうか、そんな判断が実にしやすい。と言っても、それはサーキットにおける限界走行レベルの話ではなく、公道を愉しく走れるか否かといったレベルでも十二分に感じ取れるものだ。
 
 これだけの運動性能を引き出せる高剛性構造を採用しながらも、低燃費性能とロングライフ性能もしっかりと確保しているというから驚きだ。一般的にタイヤの剛性を引き上げると重量が増すことで燃費は悪化してしまうし、また、SUVは大排気量エンジンゆえのパワーからタイヤの摩耗、偏摩耗性が懸念されるもの。
 
 しかし、この「ALENZA 001」では、ナノプロ・テックというブリヂストンオリジナルの技術によって、シリカ同士の擦れ合いによる発熱を抑え、低燃費、ロングライフを両立させている。さらに、リブの端を最適化することでウェットグリップ性能を高めたマルチラウンドブロック、ブロックのラグ方向の端を最適化することでブレーキング時のフラットな接地を実現したチャンファリング、ライフ性能に配慮した3D-M字サイプといった技術によって、運動性能だけではなく、今タイヤに求められている性能を高次元でバランスさせている。
 
 そんなハイスペックぶりを書き立ててしまうと、自分のSUVは、そこまでのスポーツ仕様ではないし、ましてや輸入車ではないから、「ALENZA 001」は似合わないかなと思われるかもしれない。
 
 しかし、「ALENZA 001」はハイスペックだけを追いかけたのではなく、運動性能を引き出すために大切なタイヤとしての基本性能、接地性がもたらす安心感がしっかりと作り込まれており、タイヤがクルマを選ぶような仕立てにはなっていない。
 
 それは、まさに、スポーティーさを引き出せるという期待に応えてくれるものであり、乗用車的なスポーティー仕立てを好む人には、まさにお勧めといえるものだ。ただし、「ALENZA 001」の高性能ぶりを体感してしまうと、シャシーもそれに見合ったものにスペックアップしたくなるかもしれないが!
 
alenza_04ALENZA 001を組み合わせたのは、メルセデスベンツGLC 220d 4MATICスポーツ(本革仕様)。スポーツサスペンションが組み込まれたモデルだが、ALENZA 001の運動性能によって、その走りはさらにスポーティーになった。
 

alenza_05ハイスペックぶりを強く意識させないデザインだが、細かく観察するとサイプ構造やブロック角の丸みなど細かな設計が施されており、試乗すると誰しもそのポテンシャルに驚くはず!
 

alenza_09高い運動性能はなにもコーナリングだけではなく、高速走行でも感じ取れる。直進安定性と操縦性の両方が引き上げられており、ドライバーはもとより乗員にも安心感を与えてくれる。

 
alenza_10その真価が発揮されるのがワインディング。ハイレベルの剛性感と豊かな接地性によって、グリップ力の高さ、さらにはグリップ感が分かりやすい。つまり、クルマとの対話性は豊かになり、ハンドリングにさらなる愉しさがプラスされた。

 
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<ALENZA 001ホームページ>
http://tire.bridgestone.co.jp/alenza/001/