【ヨコハマ】Rubber Sole:GEOLANDAR H/T G056

2015.7.2

    • タイヤ
    • Jeep

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本格オフロードから都市、ハイウェイまで地球上のあらゆる路面をタフにそして安全・快適に駆け抜けることをコンセプトにした4×4・SUV専用タイヤのベストセラーヨコハマタイヤ「ジオランダー」シリーズ。
そのジオランダーに今回、新しい仲間が加わった。
ハイウェイテレーン「ジオランダーH/T G056」だ。

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進化を遂げて、中・大型SUV向けハイウェイタイヤ登場

 

ハイウェイテレーンとは、その名のとおり高速道路や市街地などでの快適性や安全性を重視したキャラクター。従来よりジオランダーには、そのハイウェイテレーンとして「ジオランダーH/T-S」が用意されているが、つまり今回の「H/T G056」は、その進化版という訳だ。

 

ちなみにジオランダーにはオンロード指向で低燃費性を充実させた「ジオランダーSUV」も存在しているが、そちらが都市型クロスオーバー車や中・小型SUVをターゲットにしているのに対し、「H/T G056」は中・大型4×4/SUV向けに開発されたもの。そのためサイズラインナップも「SUV」より大きなサイズが中心で、より以上に耐摩耗性・静粛性の向上をキーワードに開発が進められたという。クルマ自体の耐久性が高く、長く乗られる方が多い大型4×4/SUVユーザーは、タイヤにもロングライフ性を求める、という傾向を見据えてのものだ。

 

ただ、もちろん本格的なハイウェイテレーン・タイヤとして、「H/T G056」が進化を遂げたのは、耐摩耗性や静粛性ばかりではない。グリップ力向上によるハンドリング性能、転がり抵抗を抑えた低燃費性能、そしてジオランダーらしく”M+S規格”を獲得するなど、突然の降雪時の性能やラフロードの性能まで、すべて万全に強化されているのだ。

 

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本格&重量級オフローダーたちを受け止める確たる実力

 

そんな訳で今回は、新たに投入された「ジオランダーH/T G056」、今回は3台の大型4×4・SUV……”本格オフローダー”と言い換えてもいいだろう、ランドクルーザー・プラド、メルセデスベンツGクラス、そしてJeepグランドチェロキーに装着し、その実力を探ってみた。

 

まず、何より印象的だったのは静粛性レベルの高さだ。最新の本格オフローダーたちはエンジン音も静か、車内の遮音性も高く、基本的にオンロードの走りは快適なのだが、旧商品からこの「H/T G056」に履き替えると、さらにオーディオの音を絞れる、そんな感じだ。

 

またコツコツ感のない、滑らかな乗り味も快適そのもの。いかにも転がり抵抗が小さくなっています、という印象で(実際、H/T-Sより転がり抵抗は4%低減されている)、燃費向上も期待できそうだ。

 

一方、静粛性や快適性だけでなく、ハイウェイテレーンとしてのアグレッシブな部分……操縦性やトラクション性能についても「H/T G056」は満足できるものだった。

 

ハンドリングはけっしてシャープではないが、ステアリングアクションに対して的確に応えてくれる感じ。もちろんハイグリップタイヤのような強烈なグリップ性能もないが、今回の各車(3車はすべてフルタイム4WDを採用)駆動システムとの相性もよく、軽快な身のこなしでワインディングを走っていける。また高速道路でのレーンチェンジでも、一連の挙動は安定。重量級の大型4×4の慣性をしっかり抑制してくれている、という訳で、十分なグリップ性能を発揮している証明だろう。

 

そして、このタイヤで走ってみたくなったのが林道や河原といったラフロードだ。従来のH/T-SやジオランダーSUVより溝が深く、ワイルドになったトレッドは、より積極的にそんな気分にさせる。もちろんH/T-SもSUVも十分なラフロード性能を持ってはいるが、その見た目からラフに踏み込むことをためらわせた。その点でも、「H/T G056」が進化した、と言えるのではないだろうか。

 

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「マルチコンビネーションコンパウンド」は特性の異なる2つのポリマーをブレンドし、耐摩耗性とグリップ性能を両立。
さらにウェット性能を向上させるシリカ、オレンジオイルを配合して大型4×4/SUVに求められる各性能を実現した。

 

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ショルダーは従来のジオランダーH/T-Sよりスクエアなデザインを採り入れ、アグレッシブなルックスとラフロードでの性能を向上。またトレッド全体はブロック長の異なる5種類のエレメントを配置して、音の周波数のピークを分散、耳障りなパターンノイズも低減させている。

 

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ジグザグにすることでエッジ成分を増やした「ジグザグ・メイン4グルーブ(写真-1)」
ウェット路で高いグリップを実現する「マルチブル・ラググルーブ(写真-2)」、ショルダー剛性を高めハンドリング性を向上する「アダプティブ・ショルダーブロック(写真-3)」
さらに「3Dサイプ(写真-4)」や「深溝化」など、耐摩耗性、ハンドリング性、静粛性、快適性を高いレベルでバランスさせたトレッドパターン。
ハイウェイテレーンありながら、オールテレーンのような迫力のデザインも魅力だ。

 

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クリーンディーゼルを搭載するG350に、純正と同じ265/60R18サイズを装着。前後リジッドであるサスペンションのGクラスとの相性は良く「ジオランダーH/T G056」は快適な走りをサポート。高速クルージングでもタイヤからのパターンノイズはあまり気にならない。

 

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オンロードでのワインディングでは、トラクションレベルの高さによるスポーティな一面も。Gのディーゼルエンジンのピックアップのよさと、フルタイム4WDの安定性によって軽快な身のこなしを見せてくれた。一連の挙動にも尖ったところがなく、とても乗りやすい。

 

また(本文中写真のような)ラフロードでのトラクションも安定しており、また、ステアリングアクションに対し、挙動が素直に応えてくれる印象。ハイウェイテレーンながら、さすがジオランダーの血統は、こんなシーンで頼もしい。

 

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オンロードでの洗練された走りを手に入れたグランドチェロキーは、もやはJeepというよりプレミアムSUV。純正と同じ265/60R18サイズを装着し、その滑らかな走りに磨きをかけたよう。しなやな乗り味と静粛性の高さは、ロングドライブも極めて快適なものにしてくれる。

 

さらにクォドラトラックIIという独自の4×4システムを採用するグランドチェロキー。その先進の駆動システムのおかげもあるが、ワインディングなどでの走りは安定性がとても高い。スポーティな走りのシーンでも、「H/T G056」はよくブレーキが利き、リアがしっかり挙動を支えてくれるようだ。

 

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実際の走行で感じたのは静粛性の高さ、安定感の高いトラクション能力だけでなく、滑らかな乗り心地も、だ。いかにも転がり抵抗が小さい、といった印象で、スルスルと発進してまう。同シリーズの「ジオランダーSUV」ほど低燃費性についてはメーカーからアピールされていないが、おそらくこちらも燃費は期待できそう。

 

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クリーンディーゼルを追加するなど、ますます多くの支持を集めそうなランドクルーザー・プラド。今回の試乗車は2.7Lガソリン車で、純正の265/65R17サイズを装着。もちろんプラド上級グレード車に標準の265/60R18サイズもラインナップしている。ワイルドなルックス、なのに洗練された乗り味……はプラドのキャラクターにもよく似合う。

 

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コツコツしたところのない滑らかな乗り味は、洗練されたプラドの乗り心地にもマッチ。ワインディングでの素直なハンドリングもフルタイム4WDシステムをよくサポートし、トラクションレベルの高さを証明している。挙動は軽快で、気持ちよく走れる!

 

さらにハイウェイテレーンとしてオンロードを重視した設計ではあるものの、M+S規格を満たし、ラフロードや急な降雪などにも配慮。溝が深く、ブロックにはサイプも刻まれ、これまで以上に林道や河原を身近なものにしてくれた印象だ。4×4・SUVをオンロードだけにとどめず、その行動半径の広さ、機動力の高さを最大限に生かして”ハイウェイテレーン”なのだ。