SUBARU HISTORY 3/4:SUVの先駆者スバル

2015.10.3

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レガシィ

1st Model(1989〜1993)
新たなスバルの幕開け

95_legacy_grandwagonLEGACY GRAND WAGON
最低地上高をアップしたSUVスタイルのレガシィが登場するのは1993年デビューの2代目から。アウトバックの前身グランドワゴンは1995年まず北米市場に投入された。

 

1989年2月、スバルは新型車レガシィを投入する。

 

レガシィは、シャーシーを一新したモデルで、サスペンションは前後にストラットを採用し、エンジンは新開発となる水平対向4気筒エンジンを搭載。1.8リッターNAから2リッターターボまでラインナップされていた。トランスミッションは5速MTと4速ATを採用し、ボディースタイルはセダンとワゴンのみであった。

 

レガシィでは、レオーネで培った乗用4×4メーカーとしてのイメージを更に発展させるため、4×4モデルが積極的にラインナップされた。1.8リッターの1グレード以外はすべてフルタイムとなり、上級グレードには車高調整式エアサスモデルも設定されていたが、レオーネのようなオフロード走行を意識した地上高の高いモデルは設定されていなかった。
93LegacySedanRS初代レガシィ。パッセンジャー4×4の人気を決定付けるモデルとなった。

 

2nd Model(1993〜1998)
グランドワゴン登場

97_legacy_lancasterLEGACY LANCASTER 1st
1997年、グランドワゴンはランカスターとモデル名が変更される。5速MTモデルにデュアルレンジも復活した。

 

初代レガシィは、ハイパフォーマンスなアッパーミドル乗用4×4としてヒットを記録。1993年10月に発売された2代目もコンセプトを継承し、さらに性能と商品力を高めたモデルとなった。ただし、全長とホイールベースが拡大されたものの、車幅は拡大せず、サイズを5ナンバー枠に収めたこともあって、初代を超える大ヒットモデルへと成長した。

 

エンジンは2リッターNA、2リッターツインターボ、2.5リッターNAの水平対向4気筒で、4×4システムは高馬力の2リッターターボ(250PS)にVTD-4WD、それ以外にはACT-4が採用された。

 

1995年、2.5リッター・ツーリングワゴンをベースに車高をアップし(最低地上高200㎜)、大型フォグランプ内蔵バンパーや2トーンカラーボディーを採用したSUVライクな「アウトバック」を北米市場に投入。同年8月には日本でも「グランドワゴン」として発売された。レオーネ以来のオフロード走行を意識したモデルとなったが、ローレンジは搭載されておらず、4×4システム自体は他モデル同様であった。

 

1996年にはエンジンやサスペンションなどメカニズムを大幅に改良したビッグマイナーチェンジを実施。2リッターツインターボは280PSを発揮するようになるなど、性能の向上に合わせて更に人気は高まった。

 

翌1997年にはグランドワゴンが「ランカスター」というモデル名に変更。デュアルレンジを搭載した5速MTモデルが追加された。

 

3rd Model(1998〜2003)
全車4×4モデルに

98_legacy_lancasterLEGACY LANCASTER 2nd
初代のコンセプトを継承・発展させた2代目ランカスター。荷室には初代に引き続き専用装備となるカーゴファンが装着されていた。

 

1992年にインプレッサが、1997年にフォレスターがデビュー。レガシィも含めた各モデルが好評を博しワゴンブームの牽引役となった。こうしてスバルは、水平対向エンジンをベースとする左右対称の4×4レイアウトを積極的にアピールすることで、技術力の高いメーカーとして独特のポジションを確立していく。

 

レガシィは高い人気を保ったまま、1998年にフルモデルチェンジを敢行。3代目となるレガシィはまずステーションワゴンが先行発売され(セダンは「B4」というサブネームが与えられ後に発売)、すべて4×4モデルとなった。4×4システムは従来同様フルタイム式だが、ターボ車はスタビリティコントロールを搭載したVDT-4WDを新採用した。

 

エンジンは2リッターNA、2リッターツインターボ、2.5リッターNAの水平対向4気筒を搭載。NAエンジンには可変バルブタイミング機構が採用された。サスペンションは、フロントにストラットを継承したが、リアは剛性の高いマルチリンク式に変更され、ストラットタワーの張り出しがなくなり荷室容量が大幅にアップ。ボディーサイズは先代同様5ナンバー枠であった。

 

先代同様ランカスターには2.5リッターNAエンジンを搭載。最低地上高は200㎜が確保されたが、車高が1,550㎜に抑えられたため、立体駐車場にも入庫できるようになった。大型フォグランプや2トーンカラーボディーなどのスタイリングは先代を継承。樹脂製のサイドシルカバーやフェンダーカバーを装着し、ルックスを向上すると共に泥はねなどによるキズ付きを防止した。また、先代から装備されていた荷室のカーゴファンも改良された。これはアウトドアグッズなどの臭いが車内に籠もるのを防止するためのランカスター専用の装備であった。

 

1999年、ランカスターにふたつのCCDカメラで路面状況を認識して総合的な走行統御を行う、世界初となる走行支援システム「ADA」を搭載。アクティブセイフティーカーの先駆けとなった。

 

2000年には3リッター水平対向6気筒エンジンを搭載したランカスター6を追加投入。低速トルクに余裕ができ、ラフロードでもより扱いやすくなった。

 

レガシィは2001年にマイナーチェンジを実施。フロントまわりのデザインを変更し、サスペンションも改良された。3代目レガシィは、細かな改良を重ねながら、様々な特別仕様車を設定するなどして、先代同様好セールスを記録したが、2003年に4代目にバトンタッチすることになる。

 

98_legacy_lancaster_inpane3代目レガシィのインパネ。内装も大きくクオリティアップした。

 

01_legacy_lancasterS_rearより洗練されたスタイリングとなった3代目レガシィ。

 

01_legacy_lancaster6_engineアルシオーネ以来となる水平対向6気筒エンジンはランカスター専用だった。

 

01_legacy_lancaster6mechaシンメトリカルAWDとして、スバルは独自の駆動系をアピールしていく。

 

2003xx_BAJA北米専用の「バハ」は3代目末期の2003年に登場。2006年まで現地生産。

 

4th Model(2003〜2009)
5ナンバーからの脱却

03_outback_roughLEGACY OUTBACK 3.0R
4代目の3リッターエンジンには可変バルタイ機構にダイレクト可変バルブリフト機構が組み合わされ、排ガスを低減。出力も220PSから250PSと大幅に向上している。

 

2003年、レガシィはフルモデルチェンジし4代目となった。このモデルチェンジでは車幅が1,730㎜に拡大され遂に3ナンバーボディーとなった。

 

SUVモデルであるランカスターは海外仕様と同じ「アウトバック」に名称を変更し、セダン、ツーリングワゴンに半年ほど遅れて追加ラインナップされた。

 

レガシィのエンジンは、2リッターNA、2リッターツインスクロールターボ、2.5リッターNAの水平対向4気筒と、3リッターNAの水平対向6気筒をラインナップ。アウトバックには2.5リッターと可変バルタイ機構付き3リッターが搭載され、3リッターには5速ATが組み合わされた。

 

4×4システムは2.5リッターモデルがアクティブトルクスプリット4×4、3リッターモデルがVDT-4WDとなった。サスは前後とも最低地上高は200㎜が確保され、ボディースタイルも、大型フォグランプやサイドクラディングパネルを装備するなど、ランカスターの特徴がそのまま引き継がれている。

 

2004年にはアウトドアウェアメーカー・L.L.ビーンとのコラボモデルが登場。専用ボディーカラー、本革シート、木目調パネルなどの専用装備で人気となった。

 

2005年にはサスペンションを改良。2006年のマイナーチェンジでは2.5リッターにも可変バルタイ機構を採用するなどエンジンに改良が加えられた。また、3リッターモデルには3つの走行モードが選べる「SI-DRIVE」を搭載。マニュアルモード走行時のオートシフトアップやブリッピングコントロールが採用されるなど、走行機能に多くの改良が施された。2008年に最後のマイナーチェンジを実施。2.5リッターモデルにもSI-DRIVEが採用された。

 

ボディーを大型化した4代目は海外市場でも好評を博したが、よりサイズアップを果たし、3.6リッターエンジンを搭載した5代目モデルが2009年に登場した。

03_outback_30R_inpane3.0Rのインパネ。スポーティーなイメージが演出されている。

 

03_outback_25Ri_rearボディーは大きくなったが、軽量パーツの採用などで軽量化を果たしている。