【オフロード試乗】プジョー2008

2016.11.18

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  • プジョーのコンパクトモデル208をベースに、クロスオーバーテイストを与えた2008は、2014年に日本デビューを果たし、2016年3月にはインターナショナルエンジンオブザイヤーを2年連続受賞した1.2Lターボエンジンと、プジョーとして第三世代となる6速ATを採用し、乗り味も含めて大きな進化を果たしていた。そんな2008がこの9月にフェイスリフトを行い、力強い大型フロントグリルとブラックのホイールアーチモールなど、より本格SUVとしてのデザインを身につけた。その2008を、愛知県にあるオフロード施設「さなげアドベンチャーフィールド」でテストする機会を得た。


img_0577SUVとは、そのユーテリティー性能だけではなく、走れるシーンが広がることで、ユーザーのライフスタイルを広げてくれるもの。2008は十分にSUVと呼べる進化を遂げた。

クロスオーバーモデルの走破性を
オフロードコースで体験

プジョーのプレミアムコンパクトモデル208をベースに、クロスオーバーテイストを与えた2008は、2014年に日本デビューを果たし、2016年3月にはインターナショナルエンジンオブザイヤーを2年連続受賞した1.2Lターボエンジンと、プジョーとして第三世代となる6速ATを採用し、乗り味も含めて大きな進化を果たしていた。そんな2008がこの9月にフェイスリフトを行い、力強い大型フロントグリルとブラックのホイールアーチモールなど、より本格SUVとしてのデザインを身につけた。その2008を、愛知県にあるオフロード施設「さなげアドベンチャーフィールド」でテストする機会を得た。

 

実際、2008、そしてそのベースになった208の走りは、剛性感あふれるボディーやシャーシーによって、実用性だけではなく、スポーティーさを強く感じさせるほどのポテンシャルを持っており、個人的にも評価が高いモデルだ。しかし、それはあくまでもオンロードにおいての話であって、いくらスタイリングでSUVテイストを強めようとも、実際にオフロードコースを走れるのかどうかは別の話。ちなみに、この2008の最低地上高165mmは、オフロードを走るには心許ない数値である上に、駆動方式はFF。本サイトの読者の皆さんならば、オフロード走行は無理、そう思われたに違いない。実際に、自分も最初はそう思っていた。

 

試走したのは、さなげアドベンチャーフィールドでも、最も難易度の低いワンダフルコース。同コースではトヨタのミニバン(4×4)でも走れるように設定したオフロードコースだが、ライン取り次第でヒットは避けられても、グリップを失いやすい坂を上るためには4×4であるかどうかが大きなポイントとなる。テストしたモデルは、駆動輪へのエンジントルクとブレーキを制御するグリップコントロールと呼ばれるシステムを採用した2008 GT Line。タイヤはオールシーズンタイプを採用していた。

 

結論から言えば、そんなコースを、このプジョー2008は走り切ってしまった。

 

グリップコントロールの走行モードは「マッド」をセレクト。心配していたボディークリアランスは、もちろんライン取り次第といったところはあるが、意外にもヒットすることなかった。サスペンションストローク量もクロスカントリーモデルと比較するとオフロードを走るには不足しており、簡単にタイヤが路面から浮いていたが、スタックしそうになるとグリップコントロールが介入して、タイヤの空転やスリップを解消して、クルマを前進させていく。もちろん、そうした状況では、FFモデルならではの走らせ方が必要になる。たとえば、ギャップにクルマを乗せるには、手前から少々の加速が必要だし、グリップを失った際にはグリップコントロールに頼り切ってアクセルをただ踏み込み続けるのではなく、グリップポイントを探りながらアクセルを踏み込んだり、抜いたりといった操作が必須となる。そう、そこにはテクニックが求められるのだが、その分操る愉しさがあった。

 

この2008は、クロスカントリーモデルと比較すると、サスペンションストローク、ボディークリアランスなど確かに不足だらけだ。しかし、路面を捉えている時に感じる接地感、1.2Lターボエンジンの低速トルクとパンチに加え、そこにジワジワといった走りを可能としたアクセルコントロールなど、オンロードで好印象と感じていたことが、オフロードでもプラスに働いていることを感じた。2008のポテンシャルに改めて感心し、なかなかやるじゃん、と思ったのだ。

 

オフロード走破性とは、難度の高いオフロードに対し、それに対応するため愛車の走破レベルを引き上げて、その難関をクリアすることで語るもの…と僕らは思いがちだ。しかし、クルマの走破レベルを無理に上げることなく、そのままでも走れるシチュエーションをクリアすることにも喜びや愉しさがあると思う。それは、ノーマルのままの愛車で、初めてオフロードを走った時に感じたものであり、クルマの性能に頼るだけではなく、自分のテクニックを駆使して走り抜くという、あの愉しさにも通じるところがある。あれこれ多少不足していようとも、2008にはそんな愉しさがあった。

img_0478今年のフェイスリフトでSUVらしい堂々としたフロントフェイスを与えられた。GT Lineにはフロントグリルやドアミラーなどにシャイニーブラックを採用。新たにホイールアーチモールをまとったが、全幅は1,740mmと変わらず。

 

 

img_0487リアサイドウインドゥアクセントやルーフスポイラーもシャイニーブラック。マフラーの出口にエキゾーストデコレーションが見える(実はダミー)。

 

 

img_0523全高に届くか届かぬかの高さがあるヒルクライムを上るシーン。手前から加速し、頂上で腹がつかえないよう斜めにアプローチすることでクリア。フロントタイヤのある程度の空転を許しながら、接地面でグリップを得て上って行く。

 

 

img_0589今回のコースで最大とも言える難関。この写真の下方から上りが始まり、それがS字となって続いていく。片輪ずつを浮かせながら上って行くのだが、アクセルを踏み込み過ぎると路面を掘ってしまうので、アクセルの踏み込み加減がポイント。

 

 

img_04512008 GT Lineに採用されるグリップコントロールは、ノーマル、発進時のトルクまで調整してくれるスノー、ホイールスピンを許してグリップを得ようとするマッド、マッド同様に砂地でスピンを許してスタックを防いでくれるサンド、そして、システムオフの5モードを設定。

 

 

img_0514タイヤはオールシーズンタイヤ(プジョーでは4シーズンタイヤと表現)で、銘柄はグッドイヤーのベクター4シーズン、サイズは205/50R17となる。タイヤのパフォーマンスも2WDである2008のオフロードでの走破性を助けていた。2008 GT Lineに標準装備。

 

 

img_0684愛知県にあるさなげアドベンチャーフィールド。http://www.lc-saf.co.jp/今回は、その中でも難易度が低いワンダフルコース+特設コースを試走。長いとは言えない脚を伸ばし、時には片輪がグリップを失いながらも、2008は果敢に走り抜けた。

 

 

文/吉田直志
写真/佐久間清人