【ヨコハマ】挑戦~Baja1000×ジオランダー

2014.9.23

    • タイヤ
    • その他
  • 世界一過酷なオフロードレースといわれる「Baja1000」。このタフなステージに、ジオランダーが挑む! 日本人として4年ぶりに参戦するのは、おなじみの塙郁夫選手。 次世代に向けたNEWマシンをひっさげ、目指すはもちろん、優勝の二文字だ! (文章:高坂義信/写真:佐久間 清人、河村 大)


baja_042-5(イメージ)次世代オリジナルマシンで
4年ぶりにBaja1000の舞台へ

 

 

 

 

 

baja_624-62(メイン)

 

 

北米大陸の西南端、メキシコ・バハカリフォルニア半島を舞台に繰り広げられるオフロードレース「Baja(バハ)1000」は、世界一苛酷なレース、と言われている。1000マイル(約1600km)……つまり日本の本州縦断に匹敵する距離……続く荒野、土漠の地を、不眠不休で一気に駆け抜けるレースは、まさに待ったなし。数日間に渡って開催されるダカールラリーよりスプリント的な要素が強く、そのことが参加ドライバーたちを、そしてマシンを苦しめる。世界一苛酷なレース……と呼ばれるゆえんだ。

 

このBaja1000に、継続的に参戦しているのが横浜ゴムだ。そこは優勝という夢を叶える場であると同時に、新たなタイヤの開発を進める、重要なテストステージとなってきた。たとえば、4WD&SUVユーザーにはすっかりおなじみのタイヤとなった「ジオランダー」シリーズも、この苛酷なBaja1000によって鍛えられ、性能を磨かれたタイヤと言えるのだ。

 

そして今年、11月12~16日に開催される「2014 Tecate SCORE Baja1000」にも、横浜ゴムは参戦する。ドライバーは’91年より同レースに出場し続け、好成績を収めてきた日本のトップ・オフロードレーサー、塙郁夫選手。塙選手は近年、電気自動車による「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に挑戦を続けていることもありBajaには4年ぶりの参戦となるという。

 

出場マシンは塙選手自身が製作したオリジナルマシン。次世代のSUVをイメージさせる独自のデザインは、横浜ゴムのデザイングループに所属する佐藤健一さんが手がけたもの。もちろんタイヤは、オールラウンドな性能とタフなスペックを両立させたジオランダーA/T-Sを装着する。

 

「4年ぶりに参戦するBaja1000は、我々の新たな挑戦の始まり。勝利を目指すのはもちろんですが、また、次世代に向けた4WD&SUV専用タイヤ開発のスタートであると思っています」確かに、斬新なSUVスタイルを採用したマシンからは、先進的なタイヤの出現を予感させる。

 

「今回は新車輌とのマッチングを確認も含めて、ジオランダーA/T-Sを装着しています。ただし、過去の参戦経験と次期商品に向け、一部構造変更をしてもらっています。」苛酷なレースとはいえ、あくまで市販タイヤもしくは次の商品を見定めるため、その性能を見極める……これが塙選手とジオランダーの、Baja初出場以来のこだわりだ。

 

さて、そのマシンだが、ボディフレームはクロモリパイプによって構成される。これにFRPカウルを張り巡らせることで、オリジナルのレーシングSUVフォルムを実現しているのだ。パワーユニットは日産の3.5L V6ガソリンをフロントミッドに搭載で、トランスミッションは6速マニュアル、約400馬力を発生するという。ちなみに前後軸の重量配分は、前4対後6で、リアが少し重くなっている。典型的なデザートバギーの造り方だ。

 

サスペンションはフロントがホイールストローク600㎜(!)、リアが550㎜を実現した4輪独立式。KINGのコイルオーバー・ショックとバイパスショックを、各輪に配している。タイヤは先述したとおり、ジオランダーA/T-S、LT315/70R17サイズ、これをWORK製の国産初のビードロックホイールに組んでいる。

 

また今回のマシンの特徴は2シーター、つまりコ・ドライバーとともに戦う仕様になっていること。出場クラスは、これまで最高位のトロフィートラック・クラスに挑戦していたが、このマシンはアメリカでは小型SUV、ピックアップ(とは言ってもタコマサイズ、USAでは小さい部類に分類される)の改造無制限クラスとなる”クラス7″になるという(参戦発表時の予定クラス SV6から変更)。

 

「トロフィートラックは今や、43インチのタイヤを履く800馬力マシンが常識。それよりも我々はより現実的なクルマで、市販サイズのタイヤを履いて、この苛酷なレースにチャレンジしたかったんです」

 

横浜ゴムの4WD&SUV専用タイヤ「ジオランダー」は’96年に誕生、間もなく20年を迎えようとしている。そして今のジオランダーA/T-Sが登場して、間もなく10年になろうとしている。そして、次に10年続くハイスペックなタイヤの開発に向け、今年のBajaは視界良好だ。

 

baja_034-5

次世代のSUVをイメージしたというオリジナル製作のNEWマシン。次世代のタイヤは次世代のクルマでしか作れない、というメッセージも込められている。

 

baja_42-5_192-43_68-7

タイヤはジオランダーA/T-S、LT315/70R17を選択。使用するジオランダーA/T-Sは次期商品開発に向け、一部構造変更。次世代のタイヤ開発を目指し、そのタイヤの性能を見極めるという。ちなみに、ホイールは初の純国産ビードロックホイールであるWORK「バハスタイル」。

 

baja_070-8

エンジンは3.5L V6ガソリンエンジンを搭載。6速マニュアルミッションを組み合わせ、約400馬力までファインチューンが施されている。

 

baja_081-12

サスペンションは超ロングストロークの4輪独立懸架式。各輪にはレーシング・ショックアブソーバーでは名高い「KING」のコイルオーバーショックとバイパスショックが装着されている。ホイールストローク量はなんと、フロント600㎜、リア550㎜!

 

baja_099-19

パイプフレーム、シャシー、サスペンションなど、マシンはすべてオリジナルで製作。ステアリングは油圧式で、岩場などハードなシチュエーションでも確実な操縦性を得る。

 

baja_175-36

シンプル、かつ機能的にレイアウトされたコクピット。今回は2名乗車仕様になっているのが最大の特徴。センターのモニターはGPS。スプリントレースのため、ラリーコンピュータなどは装備なし。

 

baja_210-48

エクステリアのFRPカウルを外した状態。エンジンはフロントミッドシップでリアを駆動、クルマの重量配分はフロント4対リア6で、デザートマシンとしては理想的。フロントウィンドウを備えているのが、バギーとの決定的な違い。ライト関係はPIAAのLEDランプを採用。

 

baja_7449-3

どこかにありそうで、存在しない次世代オリジナルSUVフォルム。ディテール部分はあえて細かなラインで仕上るなど拘りぶりも徹底している。

 

baja_555-54

塙郁夫選手
1960年生まれ。日本屈指のオフロードレーサーであり、マシンビルダーでもある。Baja1000には’91年より出場、ジオランダーの開発の場とするとともに、自身のポテンシャルを磨いてきた。2010年からは、やはり横浜ゴムのプロジェクトにより、世界最高峰のヒルクライムレース「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」にEV(電気自動車)で挑戦しエキシビジョンクラス優勝、EV世界記録樹立の快挙を成し遂げた。翌’11年にはその記録も大幅に更新し、EVクラス初代チャンピオンに。

 

baja_608-59

佐藤健一さん
横浜ゴム株式会社 消費財製品企画部
デザイングループ デザイナー
今回のマシンのデザインを手がけた、佐藤健一さん。「デザインのポイントは、SUVらしいカタマリ感のあるワンモーションフォルムです。”砂漠に吹き込む風”をイメージして、ディテールの部分にはあえて細いラインで仕上げているのも特徴です。実はもっと車高の低いイメージでデザインしたかったのですが、サイドのウィンドウ部分のスペースや、フロントホイールストローク確保のフェンダーなどが、苦労した部分ですね」。

 

baja_61-2

2シーターをとなった今回のマシン、コ・ドライバーをつとめるのは、4WDショップ「テイク・オフ」代表、塙選手を長年サポートしてきた坂巻勝彦さん(左)だ。

 

baja_936-70(サブ)

今回のBaja1000はループコースではなく、バハ・カリフォルニア半島付け根の街、エンセナダから、半島先端の町・ラパスまで一気に駆け抜けるストレートコース。距離は1100マイル、約1800kmにもなるという。出場クラスはV6エンジンを積むミニピックアップ&SUVアンリミテッド(改造無制限)が競う「クラス7」になるという。