【林道ツーリング】長野県/茂来林道他

2017.3.21

  • mag-1703-04
    • 四輪駆動車
    • スズキ
  • 冬場はスノーアタックを楽しめる季節だが、1台で行くのはあまりに無謀…。そこでスノードライブを楽しもうと積雪が少ない林道を検索。その結果、長野県の茂来林道へ行くこととなった。ついでに露天風呂に浸かりながら、雪化粧した景色を楽しみたいところだが…!?


mag-1703-01行き止まりだがUターンスペースがないためバックで下っているシーン。道幅が狭い上に急勾配でブレーキを掛けるとスリップして思わぬ方向へ…。かなりスリリングだった。

定番メニューのひとつ

今年の冬は例年とは違って意外な場所で大雪を記録している。「雪を避けるのであれば選択肢は千葉県か静岡県の林道くらいだな…」と思っていたら。相棒の山岡カメラマンが「久しぶりに露天の雪見風呂に浸かりたいな〜。スノーアタックごっこなら舗装路でも問題ないだろ? ちょっと調べてみるわ!」と提案。そこで今回のプランは彼に任せることにした結果、林道は長野県の『茂来林道』、温泉は少し離れているが小諸にある『中棚温泉』に決まった。

 

ところが、予定していた数日前に大寒波が押し寄せて八ヶ岳の南側は記録的な大雪が降った。「東側にある茂来林道もダメかも…」と役場に確認したら「積もっているところでも10㎝くらいです。四駆なら大丈夫だと思いますけれど、くれぐれもお気を付けて走ってください」との返答。念のためにスコップやハンドウインチなどのレスキューアイテムに加えてチェーンを搭載して茂来林道を目指すことに。

 

茂来林道は長野県南佐久郡佐久穂町と北相木村を通っている林道。手持ちの地図だと北側から南東方面に舗装路で三分割されていて、中間部分は『信濃山林道』という周回路の林道と繋がっている。一年前は北側の茂来林道を走ったので、中間部分と『信濃山林道』をチョイス。時間に余裕があれば南側の茂来林道も走ることにした。

 

『信濃山林道』はハート型をした周回路で、ダート距離は約4.1㎞。やや短いが一日中遊び回れるほど多くの支線が縦横無尽に走っている。一年前に北側の茂来林道を走った時に訪れたのだが、その時は路肩の補修工事のためごく一部しか走れなかったからリベンジも兼ねているのだ。

 

上信越自動車道の佐久小諸Jctで中部横断自動車道に乗り継ぎ、終点の佐久南ICまで進む。そこから国道141号で南下して、小海町役場を過ぎてひとつ目の信号を左折。小さな集落があり細い道が枝分かれしていて分かりづらいので、スマホにダウンロードした白地図を駆使して『信濃山林道』を目指す。おかげで迷うことなく入り口に辿り着けた。周辺を見回したが、積雪は日陰にわずかあるのみ。高度を上げればもっと深くなるのだろうか?

理想的な積雪量で「これは楽しいぞ!」

ダートに切り替わった地点から百メートルちょっと進むと路面こそ土のままだが、斜面の積雪が増えてきた。そして高度を上げると深さが増し、陽の当たらない北側になると銀世界が広がっていたのだ。

 

雪の深さは10㎝位だが、しっかりとしたワダチがついているので走りやすく、スタックの心配は皆無。まさに願ったり叶ったりの積雪状態だった。「こりゃ〜楽しいぜ!」とテンションアップ!

 

走れそうな支線を見つけてはアタックすること数回、斜度がそこそこキツくて上まで伸びているヒルクライムのような支線を見つけた。取りあえず普通にトライしたら途中でエンジンがストール気味になって上れず…。その場所からだと路面が掘れて進めないので、傾斜が緩やかな所までバック。エンジンの回転数を上げて再チャレンジしたら、先ほどの所はクリアしたものの、さらに傾斜がきつく、また路面も一段と柔らかくなっていてスタック。

 

上を見たら稜線まで続いていそうなので「絶対に上ってやる!」と筆者は本気モードに突入。少しでもスピードを稼ぐために約70㎏の荷物となっていた(?)山岡カメラマンを下ろし、ひとり乗車でチャレンジすることに。

 

ハイレンジだと1速で吹け上がってしまい、2速だとパワー不足なので、ローレンジにシフト。まずは1速でトライしたらかなり良い所まで行けたのだが吹け上がってしまった…。もちろんそれで諦めるワケがない」。下見しながら傾斜が緩くなっている場所を確認して、「ここで2速にすれば行けるだろう!」と4度目のトライをしたところ、3度目よりも高い地点まで行けたのだが稜線までは届かず…。

 

それから何度チャレンジしたことだろう? 路面がヌタヌタでどうやっても進めない箇所があり、悪戦苦闘を繰り返した。その間暇を持て余した山岡カメラマンが上まで確認しに歩いていったところ「この道だけど途中で木々に阻まれているから、稜線までは行けないみたいだよ」。目的を失った筆者はすぐにトライを諦めた。そして「やっぱりLSDを入れないとダメかな?」と山岡カメラマンに負け惜しみを言いつつ、その場を去ったのであった(笑)。悔しかったが楽しかったので良しとしよう!

 

mag-1703-02何度チャレンジしても超えられなかった場所。この写真だと分かりづらいが、斜度がキツくて路面はヌタヌタ状態。LSDを装着していればもっと先まで進めただろう。

 

 

mag-1703-03路面にはしっかりとしたワダチが付いているので、スタックの心配は皆無。静寂に包まれた白銀の世界を独り占めして気分爽快!

 

 

mag-1703-04林道の入り口こそ積雪は少なかったが、高度が上がるにつれて深くなっていた。それでも念のために用意していたスノーチェーンを使うことは一度もなかったのだ。

 

 

mag-1703-05もしかしたら大きな凸凹があるかも知れないので、いつも以上に用心しながら先へ進む。所々で動物の足跡を見かけたが、遭遇することはなかった。

 

 

mag-1703-06信濃山林道の本線ではなく、とある支線でのワンシーン。支線のほとんどは行き止まりとなっているが、それを散策するのが楽しいのだ。

 

 

その後も数本の支線を走り回って林道を十分に堪能。日没前に山を下りて宿に向かった。

島崎藤村ゆかりの温泉宿

今回宿泊する温泉宿は上信越自動車道・小諸ICから5㎞と離れていない場所にある『中棚温泉・中棚荘』。茂来林道から距離が近いのは『灯明の湯』と『稲子湯』のふたつだが、いずれも宿泊したことがあるのでパス。そして『露天風呂』を絶対条件に探したところ『島崎藤村ゆかりの宿』というキャッチコピーが目に止まって選んだのだ。

 

明治時代を代表する詩人・小説家の島崎藤村は、小諸義塾(私塾)に英語教師として赴任して、約7年間小諸で生活していたという。そして当時足繁く通ったのが中棚荘(当時は中棚鉱泉)なのだ。

 

そして名作『千曲川旅情の詩』を執筆した部屋が復元され『藤村の間』として人気を集めている。今回我々が泊まった部屋がそれだ。国道142号線から100m、しなの鉄道・小諸駅から直線で600mしか離れていないのだが、建物からは懐かしさを感じさせる風情が漂っている。

 

温泉は内風呂と露天風呂があり、露天風呂は源泉かけ流しとなっている。雪見の露天風呂は叶わなかったが、気持の良い温泉だ。内湯は地元のリンゴを浮かべた『初恋りんご風呂』(10月〜5月の間限定)で、どことなく甘酸っぱい香織が味わえてこちらも気持が良い。

 

夕食は旬の食材を活かした懐石料理で、豪華さは感じないもののとても丁寧に作られているのが分かる。気になる味付けは食材の旨みを非常に上手く引き出していてとても美味。食感にも気を配っているようで、それが美味しさをさらに引き立てている。「これは毎日食べたい!」と思わせるほどの料理だ。

 

ご主人と女将をはじめとするスタッフは笑顔が素敵で非常に気さく。そしてご主人と女将ともに我々と同じバイク乗りということで非常に話が盛り上がった。とにかく居心地が良い宿だった。

mag-1703-07洋食レストラン『アルペン ローズ』のランチ。スパゲティとグラタン(もしくはカレーorパン)、サラダ、デザートのセットで約1,500円とリーズナブルで美味い!

 

 

mag-1703-08国道141号線沿いのショッピングパーク・ラーチ内にある洋食レストラン『アルペン ローズ』。パスタのメニューが驚くほど豊富で味もGOOD! オススメです。

 

 

mag-1703-09中棚荘の懐石料理のひと品、お造り(手前)と先付け、食前酒(にごり酒)。シンプルな見た目通りに食材の味を活かした料理で美味しい。マグロと椎茸が合うとは驚いた!

 

 

mag-1703-10ご主人はワイン好きが興じて、ブドウそのものから栽培するオリジナルワインを製造販売。しっかりとした風味とまろやかな口当たりで飲みやすくて美味。

 

 

mag-1703-11合鴨と白菜、ゴボウ、三つ葉、よもぎ麩の鍋物。これをとろろ芋に付けて食べるのだが、出汁が絶妙で感動するほど美味しかった。思い出すとまた食べたくなる。

 

 

mag-1703-12源泉かけ流しの露天風呂。山奥ではなく街中にある温泉だが、思っていたよりも静かなロケーションで、熱湯とぬる湯ふたつの湯船があるのが嬉しい。

 

 

mag-1703-13内湯は10月〜5月の間『初恋りんご風呂』として、地元産のリンゴを浮かべている。昔ながらの日本家屋の造りで、露天風呂と同じようにのんびりと寛げる。

 

 

mag-1703-14島崎藤村が足繁く通った歴史のある宿『中棚荘』。建物の裏には広大な庭があり、山羊や合鴨、ウサギ、ニワトリなどが出迎えてくれるのだ。
http://nakadanasou.com/

 

 

mag-1703-15島崎藤村が『千曲川旅情の詩』を執筆した部屋を復元した『藤村の間』。数年前、近くに団地が建って風情がやや削がれたが、千曲川や北アルプスが望める。

 

 

文/内田 靖 写真/山岡和正