【比較/試走】 MERCEDES-BENZ GLC,VOLVO XC60

2016.8.6

    • プレミアムSUV
    • Mercedes Benz
  • 今、2リッター直4ガソリンが熱い。これはここ数年、多くのSUVファンが感じているであろう流れであり、従来は3リッター、4リッターが当たり前だった、ちょっとヘビーなSUV(特に4×4モデル)に省燃費&ダウンサイジングの波が押し寄せ、コンパクトな4気筒の2リッターガソリンエンジン搭載車がその数をメキメキ増やしてきている。


注目の2リッターガソリン
コンパクト・プレミアム対決

MERCEDES-BENZ GLC 250 4MATIC Sports
VOLVO XC60 T6 AWD R-DESIGN
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2リッター直4ターボが旬!
話題のニューカマーを比較試乗

今、2リッター直4ガソリンが熱い。これはここ数年、多くのSUVファンが感じているであろう流れであり、従来は3リッター、4リッターが当たり前だった、ちょっとヘビーなSUV(特に4×4モデル)に省燃費&ダウンサイジングの波が押し寄せ、コンパクトな4気筒の2リッターガソリンエンジン搭載車がその数をメキメキ増やしてきている。

 

ちょうど4代目フォード・エクスプローラー(2010年〜)にエコブーストと呼ばれる2リッターエンジンが搭載されて以降(ただし4×2のみ)、この流れは一気に加速したように記憶しているが、今や欧米製4×4の主要モデルのほとんどにこのクラスのエンジンが設定されている状況だ。

 

ひと昔前、と言うより往年の四駆ブームを知る人たちにとって「2リッター直4」は、低速トルクが細く非力な、あるいは、ガスっ食いなエンジン…というイメージがつきまとうことだろうが、今どきのそれはパワフルで低回転域でのトルクもあり、おまけに省燃費ときている。

 

今回は、そんな2リッター直4ガソリン搭載の、とびっきり旬な4×4モデル2台にスポットを当ててみた。1台は、昨年フルモデルチェンジを受け、モデル名もGLKからGLCと改称されて日本では今年2月から発売されているメルセデス・ベンツGLC250 4MATIC。そしてもう1台は、やはり今年2月に新開発の2リッターガソリンエンジンを搭載して発売開始されたボルボXC60 T6 AWDである。

 

この2台、もちろん排気量だけでなく車体サイズを始めとする各種スペック、価格帯等もほぼ近似しており、コンセプトや味付けは異なるものの、ほぼ同じ方向に向かっている良きライバルと言える。
201608060320160806042016080605試乗車両はそれぞれ最上級グレードで、「GLC250 4MATIC Sports(本革仕様)」と「XC60 T6 AWD R-DESIGN」。正面から見ると顔つきが似ていて、フロントグリルのバッジを入れ替えても違和感がないくらいだが、それぞれサイド&リアビューがひと目でそれと分かる個性をアピールしている。

 

全長はGLC250が25mm長く、全高はXC60が70mm高い。全幅は両者同じ。ホイールベースはGLC250の方が100mmも長いが、最小回転半径はXC60の方が0.1m大きい。

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一方、エンジンは、両者2リッター直4ガソリンDOHCターボだが、XC60にはさらにスーパーチャージャージャーも採用されており、最高出力/最大トルク値の差は小さくない。具体的にはGLC250の155kW(211PS)/350Nm(35.7kgm)に対して、XC60は225kW(306PS)/400Nm(40.8kgm)と、95PS/50Nmの差がある。

 

また、GLC250はタテ置きエンジンのFRベース・レイアウトだが、XC60は横置きのFFベース・レイアウトで、出力やトルクの差以上にドライビングフィールの特性の違いが出そうだ。

加速性能ではXC60に軍配
扱いやすさではGLCがリード

まずは高速道路に乗り、追い越し加速や高速巡航時の乗り較べからスタートする。100PS近いパワーの差は、当然ながら加速性能の違いを歴然と見せつけるが、XC60の加速は体感的には3.0〜3.5リッターエンジンのフィーリングで、2リッターとは思えないパワー感だ。

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ただし、断っておきたいのはGLC250の加速フィーリングがけっして悪いワケではない、ということ。スーパーチャージャー付きのXC60と比較しなければ、これはこれで充分パワフルな加速を楽しめるエンジンである。さらに付け加えれば、1,200rpmという極低回転域から最大トルクを発生するGLC250のエンジンは、立ち上がりにも余裕があり、いわゆる“ふり絞った感”のないパワーの出方をするので、高速道路ではともかく、一般道では、XC60との95PSもの差は感じにくかった。

 

この他、高速では両者とも標準装備されている最新の運転支援システム…レーダーセンサーとカメラによる車間距離の維持(先行車追従)や接触回避のための自動ブレーキ、あるいは車線キープのためのステアリング修正等の先進システムを使用して、非常に安全かつ安心なドライビングが可能であることが確認できた。

20160806082016080609このクルーズコントロール機構と連動した車間維持機構の操作系は、両者とも使いやすく、操作マニュアルを読まなくても、数分あれば感覚的に操作方法が理解できるので、優秀な操作系だと感じた。

 

操作系といえば、GLC250のATセレクターはステアリングコラムに配置されており、ハンドルから手を離さずに素早くシフトできるスグレモノだ。

ワインディングで性格が明らかに
タイヤサイズも大切な要素

SUVの4×4モデルとは言え、身軽な2リッタークラスならワインディング路は得意科目だ。
GLS250 Sportsには“スポーツサスペンション”が組まれているとのことだが、ハードすぎずソフトすぎず、コーナリング姿勢は安定させつつも乗り心地は良い、というセッティングで非常に快適。状況に応じてダンパーの減衰力を可変させる「セレクティブダンピングシステム」も採用されており、常に最適なセッティングを得られるとのことだが、路面にピタッと素早く追従するこのサスペンションの基本性能がしっかりしているので、小洒落た機械仕掛けはさほど必要を感じない。
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一方のXC60は、車高が高い分コーナリング時のロールを気にしてか、やや硬めのセッティング。これに「Rデザイン」の専用装備である255/45R20タイヤを履くため、路面の凸凹を細かく拾う。この超扁平ワイドタイヤのゴツゴツ感が乗り心地に大きく影響しているのが気になるが、舗装状態の良いワインディングではすこぶる快適だ。ステアリングにクセがあり、切り始めが重いのだが、慣れてしまえば、むしろ安定した操作ができそうだ。

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注目の2リッターガソリン
期待が高まるカテゴリーだ

最後は、内装およびユーティリティー面での比較だ。両者とも質感や高級感の演出には抜かりなく、総じて好印象。個人的には、XC60の、と言うより、ボルボのシックで落ち着いたインテリアと、シート&トリム類の手触り、質感に軍配が上がる。インパネ全体がドライバー側に向き、包み込まれるような落ち着き感も好ましい。

 

一方のGLC250は、装飾や演出よりも機能性で一歩リード。前述のATセレクターの操作性の良さを筆頭に、とにかく全ての操作系が扱いやすく、視認性にも優れている。

 

また、リアシートの居心地の良さもポイントは高い。見た目はフラットな外観ながら、座ってみると思いのほかホールド感が高く、足元も頭上も余裕の空間。リアシートのフォールディング、つまり、カーゴルームのアレンジは両者同じ構造で互角、という結論に至った。
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パワフルで経済的な2リッター直4ガソリン、軽快なフットワーク、取り回しの良さ、それでいてプレミアム感も充分…。ライバルも多い分、まだまだ進化が期待できる楽しみなカテゴリーである。

 

【GLC250】
20160806131,991cc 直列4気筒DOHCターボ・ガソリンエンジンを搭載。最高出力155kW(211PS)/5,500rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1,200〜4,000rpmを発生する。
【エンジン騒音計測データ】
●車内・・・・41.5dB
●ボンネット閉・・・・63.5dB
●ボンネット開・・・・70.5dB

 

【XC60 T6】
20160806141,968cc 直列4気筒DOHCターボ+スーパーチャージャー・ガソリンエンジンを搭載。最高出力225kW(306PS)/5,700rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/2,100〜4,500rpmを発生する。
【エンジン騒音計測データ】
●車内・・・・39.0dB
●ボンネット閉・・・・63.5dB
●ボンネット開・・・・69.0dB
※いずれもエアコンOFF、電動ファン非作動/アイドリング時。

 

【GLC250】
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【XC60 T6】
2016080616機能性に優れたGLCのインパネに対して、シックで落ち着いたデザインが目を引くXC60のインパネ。

 

【GLC250】
20160806172016080618タッチパッドとCOMANDシステムのコントローラー(上)。8.4インチワイドディスプレーにはナビ画面、各種車両情報やオーディオ関連の表示ほか、各種設定が可能(下)。

 

【XC60 T6】
201608061920160806208速ATのシフトレバーは、マニュアルシフト操作も可能。空調も走行機能関連も全て1箇所に集められたスイッチ類。

 

【GLC250】
20160806seat1包まれるような感覚のリアシートが快適。意外にホールド性に優れたシート。

 

【XC60 T6】
20160806seat2肌触りの良いXC60のシート。フロントシートのホールド性能は秀逸。

 

【GLC250】
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【XC60 T6】
2016080626両者とも、後席は40:20:40分割式シートだからフラットで使いやすいのも両者同じ。

 

【GLC250】
20160806sus1GLCのフロントサスは、4リンク式と呼ばれるダブルウイッシュボーン+コイル式(上)、リアサス(下)はマルチリンク式コイルの独立懸架。主要リンクはアルミ製で軽量な逸品。

 

【XC60 T6】
20160806sus2XC60のフロントサスは、マクファーソンストラット(上)、リアサス(下)はマルチリンク式コイルの独立懸架。

 

2016080631「GLC Sport」(左)の標準タイヤサイズは235/55R19。XC60 T6はR-DESIGN専用装備で255/45R20が装着される(右)。

 

文/内藤知己
写真/佐久間清人