【紹介/試走】LEXUS LX570

2016.1.8

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    • プレミアムSUV
    • レクサス
  •  これまで北米マーケットを中心とした海外のみで販売されていたレクサスLXが3代目にしてついに国内ラインナップに加えられた。つまり、初代はランクル80ベースのLX450、2代目は同100系シグナスベースのLX470、そして3代目となる同200ベースのLX570が、2度目のマイナーチェンジを期に昨年9月から日本国内でも発売されたのである。


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秘めたるポテンシャルまでもプレミアム!

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満を持して日本市場にデビュー
レクサスSUV初の“本格四駆”

 

このLX570、国内ラインナップでは初のLXであると同時に、これがレクサス初の“本格四駆”ということにもなる。というのも、既存のレクサスSUV国内ラインナップであるRXとNXのAWD(4×4)車は、FF車をベースにフロントモーターとは独立したリアモーターによって後輪を駆動させるE-Four(電気式AWDシステム)を採用したハイブリッド4×4であり、これによって滑りやすい路面での発進性や走行安定性をアシストする、という4×4だ。

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したがって、ローレンジ付きの2速トランスファーを介して前後に駆動力を振り分け、タフなオフロード走行に対応できるランドクルーザーの駆動系と脚まわりを備えたLX570は、これらとは一線を画するレクサス初の本格四駆…ということになる。

 

なお、ランドクルーザー200系がベースとなっているが、エンジンはランクルに設定のない5.7リッターV 8-DOHCガソリンが搭載されており、これがランクル200との差別化では最大のポイントだ。レクサスとは言え、国内のランクルと同じエンジンを搭載していた従来のLX450/470に較べ、ランクルとの違いを強く実感できるモデルとなっている。

 

フル装備のラグジュアリー仕様
触れるモノ全てに備わる上質感

 

試乗車には、メーカーオプションである高級オーディオのマークレビンソン・リファレンスサラウンドシステム、リヤシートエンターテイメントシステム、おくだけ充電(スマホ用)といった豪華装備と21インチ・タイヤ&ホイールが装備され、車両価格1,100万円にオプション代59万1,840円(いずれも消費税込み)が加算された仕様。ボディーカラーは、スターライトブラックガラスフレークだ。

 

さすがに、もうこれ以上足すモノは何もありません…と言わんばかりのフル装備状態で、エンジンやインテリアが違うとは言え、ランクル200とは、プラドのガソリン車がもう1台買えてしまうほどの価格差がある。

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乗り込んでみると、なるほど、上品なステッチが施された肌触りの良いレザーシート&トリムにしろ、ウォールナットの本木目パネルやステアリングホイール、アルミと本革を組み合わせたシフトノブにしろ、とにかく、手に触れるモノ、視界に入るモノの質感が高い。ダッシュボード中央に配置されたアナログ時計も、さり気なく車内の高級感を高めている。

 

インパネも基本レイアウトはランクルと共通だが、デザインやスイッチ、ダイアル類のマテリアルが異なるので、印象は全く違う。パーキングブレーキもレバーではなく電動スイッチ式となったので、機能性はともかく、見た目はスマートでスッキリしている。

 

インテリア全体的に“ランクル感”は完全に消されていて…というよりは最初からレクサスとしてデザインされている、という印象だが、唯一跳ね上げて収納する方式のサードシートと荷室スペースだけはランクルと同じだ。

 

大柄ボディーをキビキビ走らせる
5.7リッターV8の実力と余裕

 

エンジンは5.7リッターV8ガソリンの3UR-FE型で、8速ATと組み合わされる。最高出力は277kW(377PS)/5,600rpm、最大トルクは534Nm(54.5kgm)/3,200rpmということだが、車重が2,720kgもあるためか加速フィーリングはさほど劇的なものではない。同じ価格帯の輸入SUVでは、このクラスのエンジンに過給器が付いて500PS超というモデルもあるので、その手のライバルと較べると物足りなさを感じるドライバーもいるかも知れない。

 

しかし、全長5m超、車重2.7超のボディーをストレスなくキビキビと走らせるエンジンであることに変わりはなく、その点ではパワーに不満を感じるレベルではない。

 

センターコンソールのシフトレバー手前にあるダイアルで、ドライブモードがセレクトできるが、これはよくあるATシフトスケジュールのエコモード/スポーツモードの切り替えだけではなく、サスペンション(ショックの減衰力)設定やエアコンの制御までも連動させることが可能なシステム。「加速性能を抑えて燃費優先。しなやかな乗り心地で」「加速性能優先で、スポーティーなハンドリングで」など、さまざまな組み合わせの設定も可能だ。

 

そして、ここでの操作は設定どおりにキチンと体感できるので、これはこれでけっこう楽しめる。ワインディング路で「SPORT S+」を選ぶと、エンジンはパワーモード、ATは低めのギアをキープし、サスは硬めの設定になり、メーターの照明がホットな赤い光になる。このあたりの演出もなかなかだ。

 

街中ではやや気を遣う大柄ボディーだが、アクセルを積極的に踏めるステージに移動すれば、このサイズが全く気にならなくなるだけのポテンシャルを秘めている。

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このほか、このLX570には、ランクルでお馴染みのアクティブハイトコントロール(車高調整機構)や、アクセル&ブレーキ操作を電子制御に任せて極低速走行ができるクロールコントロール、ステージ別モードを選択すれば最適なトラクションコントロールを行うマルチテレインセレクト等も全て備わっている。言うまでもなく、これらはオフロードでこそ活きるシステムである。

 

しかし、これらの優秀な最先端テクノロジーが、ほとんど活かされることはない…ということが容易に像できてしまうことも、このレクサスSUVの特徴だ。

 

しかしながら、潜在性能、あるいは万が一の時の保険…と割り切ってしまうにはあまりに惜しい優秀な最新鋭技術とオフロード性能…。

 

ただ、カタログの主要装備一覧表を眺めていて、興味深い発見もあった。それはタイヤサイズの設定で、標準仕様は285/50R20だ。冒頭で触れたように今回の試乗車はメーカーオプションの275/50R21を履いている。どちらも整備されたアスファルト上でのみ性能を発揮するサイズであり、見た目のカッコ良さも魅力的だ。しかし、レクサスはもうひとつ285/60R18というサイズのオプションも用意していた。もちろんこれとてオフロード走行に最適なサイズとは言えないが、60扁平であればそこそこのオフロード走行もイケる。そんなユーザーも想定の範囲内になくはないのだろう。

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1,000万円超えという価格設定から想定されるライバルたちの中では、おそらくダントツのオフロード性能を持っているLX570。もちろん国によっては、レクサスと言えどもそれを100%活かした使い方をされるケースもあるだろうが、日本では、このポテンシャルを秘めているがゆえの風格が一番の魅力、ということになるのだろうか。

 

【細部写真】
0108075,662cc V型8気筒DOHCガソリンNAエンジンの3UR-FE型を搭載。最高出力277kW(377PS)/5,600rpm、最大トルク534Nm(54.5kgm)/3,200rpmを発生する。
【騒音計測データ】
●車内・・・・41.5dB
●ボンネット閉・・・・63.5dB
●ボンネット開・・・・68.0dB
※エアコンOFF、電動ファン非作動時アイドリング時。

 

010808010810上: シンプルなデザインのオプティトロンメーター。トヨタ系高級車の証。
下:ランクル200とは全く雰囲気の異なるインパネ。本革、本木目を多用した質感の高い空間。

 

010811トランスミッションは電子制御式8速AT。シフトノブの隣は、「リモートタッチ」と呼ばれるナビ&オーディオ類のコントローラー。

 

010812左からAHC(車高調整)、トランスファー(HI-LO切換)、ドライブモードセレクト、クロールコントロールの各スイッチ&ダイアル。

 

0108seat010815試乗車のシートは、ガーネットのセミアニリン本革仕様。アイボリーのステッチが上品。8人乗りもレクサス初。

 

0108gate010820サードシートは跳ね上げ収納式シートで、収納、展開は電動。ただし、展開時の背もたれとヘッドレストは手動で起こす。

 

010821010822フロントサスは、ダブルウィッシュボーン+コイル(上)、リアサス(下)はマルチリンク式コイル・リジッド。車高調整機構、減衰力調整機構は標準装備。

 

0108side左がLOモード(乗降時)、右がHIモード(オフロード)。前110㎜、後100㎜上下する。

 

010825標準タイヤサイズは285/50R20。メーカーオプションとして275/50R21と285/60R18が用意されている。

 

文/内藤知己
写真/山岡和正