【紹介/試走】LEXUS RX

2015.12.4

  • 2015120403
    • プレミアムSUV
    • レクサス
  •  今や国内外で人気の自動車カテゴリーとして定着した「プレミアムSUV」。この十数年間、各メーカーから続々と新たなモデルが投入されてきたが、その先駆となったのが1990年代末期の北米市場に登場したレクサスのLXおよびRXだ。


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プレミアムSUVの元祖として正常進化

同クラスの他モデルよりもかなり高額だったこれら2モデルの北米市場における成功は実にセンセーショナルなものであり、その後リンカーン・ナビゲーターやキャデラック・エスカレード、そしてBMWのX5やメルセデスのMクラスなどといったフォロワーが続々と登場したが、そのいずれもが大変よく売れ、以来プレミアムSUV市場は今まで順調に拡大してきた。特にオフロード性能よりも乗り心地や装備、スタイリングを重視したRXは、いわゆるアーバンSUVの元祖であり、それまでSUVをラインナップしていなかったBMW、メルセデス、ボルボ、アウディといった欧州勢のプレミアムSUV市場参入のきっかけを作ったエポックなモデルと言える。

 

そんなプレミアムSUV のオリジネーターであるRXも、この10月にフルモデルチェンジした新型で4 代目となった。3代目との大きな違いは、ボディーデザインおよびエンジンで、フロント・マクファーソンストラット&リア・ダブルウィッシュボーンというサスペンションを始めプラットフォーム自体は従来型のブラッシュアップ版である。ブラッシュアップ版と言っても、「RXでありながら、RXを超える」を開発テーマとしているだけに、その改良内容は多岐にわたっている。特にフロントまわりはエンジン搭載位置やサスペンションの構造が変更されており、スプリングレートを下げる一方、スタビライザーを大径化するなどチューニングも見直されている。また、レーザー・スクリュー・ウェルディングや新たなボディー用接着剤の採用、スポット溶接点の増加などでボディー全体の剛性が高められている。

 

最新レクサスの外見的なアイコンとされる大型スピンドルグリルを採用し、やや丸みを帯びた先代よりもエッジの効いた押し出しの強いフォルムとなった新型RXのボディーサイズは、全長4,890㎜×全幅1,895㎜×全高1,710㎜と全長で120㎜、全幅で10㎜拡大。ホイールベースも50㎜長い2,790㎜となり、レクサスSUVのエントリーモデルであるNXと明確にサイズの差別化が図られている。なお、最低地上高は185㎜から200㎜にアップしているが、より低く張り出したフロントバンパーの形状からして実質的なロードクリアランスが向上していることはないだろう。

 

パワーユニットはガソリンエンジンとハイブリッドの2タイプ。ガソリンエンジンは、従来の2.7リッター直4と3.5リッターV6から2リッター直4直噴ターボにダウンサイジングされ、ハイブリッドは従来同様3.5リッターV6とモーターの組み合わせだが、V6エンジンには燃料噴射装置の変更など大幅な改良が施されており、パワーと燃費が向上している。4×4システムは、2リッターガソリンにはFFベースのオンディマンド式である「ダイナミックトルクコントロールAWD」、ハイブリッドにはフロントモーターとリアモーターによって駆動する「E-Four」が組み合わされる。なお、どちらのエンジンにも2WD(FF)が設定されている。

 

まず、2リッター直4直噴ターボモデル「RX200t“version L”」に試乗。前後左右に充分なゆとりがありながら適度な包まれ感のあるコックピットは、なかなか心地のいい空間に仕上がっている。凝った造形と加飾が施され、本革トリムがふんだんにあしらわれたインテリアは、レクサスらしく大変上質な仕上がりだ。

 

2リッター直4直噴ターボ8AR-FTS型エンジンのスペックは、ダウンサイジングしながら従来型の2.7リッターを大きく凌駕する、最高出力175kW (238PS)/4,800〜5,600rpm、最大トルク350Nm(35.7㎏m)/1,650〜4,000rpm。最大トルクは従来型の3.5リッターV6を上回っている。スペックからも分かるように2リッターのガソリンエンジンとしては低速トルクが充分に太く、またターボラグを感じさせることもなく約2トンある車体はスムーズに加速する。6速ATのシフトフィールも粗野なところが全くなく、まさしく高級車にふさわしい仕上がりだ。極低速での取り回しでもたつくこともないが、最小回転半径が従来型の5.7mから5.9mと大きくなっており、狭い路地などでは少し神経を使わなければならない場面もあるだろう。乗り心地は、路面状況や速度によらずほぼフラットライドでとにかく快適だ。コーナリングではわずかにロールを感じるが、そのスピードは遅く、ステアリング操作に忠実にノーズを向けてくれる。

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次はハイブリッドモデル「RX450h“version L”」だ。3.5リッターV6の2GR-FXS型エンジンに前後モーターの組み合わせで、それぞれのスペックは、3.5リッターV6が最高出力193kW (262PS)/6,000rpm、最大トルク=335Nm(34.2㎏m)/4,600rpm、フロントモーターが最高出力123kW(167PS)、最大トルク335Nm(34.2㎏m)、リアモーターが最高出力50kW(68ps)、最大トルク139Nm(14.2㎏m)となっている。

 

ハイブリッドのパイオニアの最新モデルだけあって、そのパワーフィールは大変ナチュラル。モーターからエンジンの切り替えもシームレス。2リッターガソリンも充分パワフルだと感じたが、130㎏も重くても、やはりこちらの方が加速も高速巡航もゆとりがある。ステアリングフィールは2リッターガソリンと同様のベクトルだが、乗り心地はよりしなやかだ。ハイブリッドモデルには、車両の揺れをセンシングし、路面の凹凸に応じて駆動用モーターのトルクをきめ細かく制御して車体の揺れを抑制する「Body Control With Torque Demand」というばね上制振制御が採用されており、これがかなり効果的に働いているようだ。

2015120404格子形状の専用グリルが与えられたF SPORT。タイヤサイズも標準の235/65R18に対し235/55R20となる。

 

最後に、ナビと連動する統合車体制御機能であるNAVI・AI-AVSと電動アクティブスタビライザーを標準装備し、専用のサスペンションチューニングが施されたハイブリッドモデル「RX450h“F SPORT”」に試乗。F SPORTは、これまでの2モデルよりも明らかにカチッとスポーティーなフィーリング。RXには、ノーマル、カスタマイズ、エコ、スポーツ(NAVI・AI-AVS非装着車)、スポーツS(NAVI・AI-AVS装着車)というドライブモードが選べるのだが、F SPORTではよりスポーティーなスポーツS+モードが選択でき、このモードではよりスポーティーでハンドリングが楽しめる。それも、ただ単に足まわりをガチガチにしたというものではなく、しなやかな乗り心地もしっかりと残されているのが好印象だ。短時間の街中の試乗でもその違いはかなり感じられたので、ワインディングなどではかなり楽しく走れそうである。

 

スタイリングだけでなく、都会派プレミアムSUVとしての走りにも更なる磨きをかけたRX。従来のRXファンだけでなく、欧州SUVファンも一度乗ってみる価値のあるモデルだと言える。
2015120405RX450h “version L”のインパネまわり。インテリアの仕上がりの上質さはレクサスならでは。

 

2015120406RX450h “version L”のバンブー+本革ステアリング。本木目+本革ステアリング仕様も選べる。パドルシフトが装備される。

 

2015120407ドライブモードの切り替えスイッチ。「CUSTOMIZE」は、パワートレインやシャーシーの制御を自分の好みに設定できる。

 

2015120410リアシートは6:4の分割可倒式。version Lは電動リクライニング&電動格納機能付だ。

 

文/写真:宮島秀樹