【紹介/試走】SUZUKI ESCUDO 1.4 turbo

2017.11.1

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  • 全盛期には2ドア・コンバーチブルから5ドア・ステーションワゴンまで豊富なボディーバリエーションとエンジンの選択肢を誇ったエスクードだが、ふと気付けばラインナップは1.6リッターNAガソリン搭載モデルのみ…そんな状況の中、この夏に登場した新種「1.4ターボ」は、エスクード久々の新風ということで、注目しているファンも少なくないだろう。


エスクードに新たな旋風
1.4リッター直噴ターボの実力

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文/内藤知己

写真/佐久間清人

 

欧州生産のエスクード
1.4リッターDOHCターボを追加

 

前回エスクードの試走を行ったのは、現行型である4代目モデル(1.6リッター直4ガソリン)の発売時だったので、ちょうど2年前だ。

 

当初は既存型の2.4リッター直4ガソリンエンジンを搭載する3代目モデルも「エスクード2.4」の名称でしばらく併売されたが、これは今年に入って間もなく、ひっそりとカタログから姿を消していたので、7月にこの「1.4ターボ」が追加されるまでは1.6リッターモデルの“1択”となっていた。

 

「追加」という形で登場したこの新型1.4ターボも、既存の1.6と同様、

ハンガリーの子会社マジャールスズキ社(Magyar Suzuki Zrt.)で生産し輸入車として販売されており、これはシャーシの大部分をを共有するSX4 S-CROSS(エス・クロス)も同じだ。

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新型車のエンジンは1.4リッター直4・DOHC直噴ガソリンのターボ付きで、型式はK14C型。最高出力100kW(136PS)/5,500rpm、最大トルクは210Nm(21.4kgm)/2,100〜4,000rpmを発生する。

 

これに対し既存の1.6リッター直4・DOHCガソリン(M16A型)は、最高出力86kW(117PS)/6,000rpm、最大トルクは151Nm(15.4kgm)/4,400rpmということで、最高出力/最大トルク値とも新型が大きく上回り、しかもそれぞれがより低い回転域で発揮されるという点に注目すべきだろう。

 

ただし、燃費の面では自然吸気エンジンだけあって1.6の方がややリードしている(1.4ターボ⇒16.8km/l、1.6⇒17.4km/l ※JC08モード/国土交通省審査値)。

なお、両者とも4WDモデルのみで、いずれもモノグレード、つまり内装や装備によるグレードの設定はない。

 

1.4リッターでもパワフル
1.6を上回るパフォーマンス

 

1988年に、「ジムニー1300(JA51)よりちょっと大きな1.6リッター搭載の本格クロカン4WD」というポジションでデビューしたエスクードには、その後も積極的なスケールアップが行われ、エンジンは3.2リッターV6まで大型化する。

 

そして、2009年を境に今度はダウンサイジングされていき、現行の最新型には1.4リッター直4ターボを採用。3.2リッターV6時代から排気量が1/2以下になったわけだが、もちろん退化はしていない。

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エンジンがサイズダウンされてきた分、車体もコンパクトになっていき、車重も3.2リッターV6搭載時代より500kg近く軽くなっているので、200PSオーバーを誇った頃に決して引けを取らない軽快な走りが可能なのだ。

 

発進時の立ち上がりや、その後の加速フィーリングは、俊敏かつ軽快そのもので、メリハリを利かせたドライビングが楽しめる。1.4リッターという排気量を無駄なく使い切って走っているという実感も満足度のレベルを押し上げている。

 

排気量が小さいがゆえ、フル加速時にはそこそこ“振り絞った感”はあるのに、どの回転域からでも瞬時に立ち上がるレスポンスの良さは快感だ。

 

これは現ラインナップの1.6リッターモデルを大幅に上回る性能と言ってよく、もはや走行性能で1.6リッター版を選ぶ理由はない…と言い切ってしまえるほどのパフォーマンスを1.4ターボは備えている。

 

街中での取り回しもラクラク!
最新のレーダーブレーキサポート搭載

 

すでに既存モデルから採用されているESP(車両走行安定補助システム)やEBD(電子制御制動力配分システム)等の電子制御デバイスに加えて、ミリ波レーダー技術を用いた衝突被害軽減システム「レーダーブレーキサポートⅡ」が標準装備され、自動ブレーキ関連から、オートクルーズ機能に連動した車間維持システム等、今や半ば常識となった最新技術も抜かりなく採用されており、快適かつ安心感の高い高速移動を可能にしている。

 

また、見ての通りのコンパクトなボディーは、市街地での取り回しも非常に良く、車両感覚も掴みやすい。これ以上の車体サイズを持つクラスでは少々窮屈な古めのコインパーキングやタワーパーキングなどでも、気軽に進入していけるサイズ感と小回りの利きはありがたい。アップライトな着座姿勢のおかげもあって、とにかく車庫入れや縦列駐車がラクなのだ。

 

バランスに優れたダート走行
4WDシステムはお馴染みの「ALL GRIP」

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアはトーションビーム+コイルのリジッド式で、これは1.6や姉妹車のSX-4 Sクロスと同様だ。ソフトライドで高速道路等でも快適で、ワインディング路でも無理をしなければ問題なし。安定感の高い脚まわりである。

 

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4WDシステムはこれもSクロスと同様、4通りの走行モードが選択できる電子制御機構「ALLGRIP(オールグリップ)」を採用。例えばこの4WDシステムで「SPORT」モードを選択すると、直進加速中は4WD走行、コーナー進入手前でアクセルOFFすると前輪駆動(2WD)に切り替わって旋回性を高め、その後コーナー出口で再び加速すると後輪にも駆動力が分配される…という先進の制御を行う。

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こういった制御はごく自然に行われるため、舗装された一般道では体感しにくいので、滑りやすいフラットダートを走らせてみた。

 

持て余すような大パワーではないため、トラクションデバイスの電子制御が効きっぱなしになって逆に興ざめ…という、最近のハイパワーSUVで時々経験するネガティブな部分が、このエスクードには無い。

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路面μの低い浮き砂利多めのコーナーでも、そこそこアクセルを踏んで行けて、ごく自然に介入してくるESPに身を任せつつ、キビキビと走ることができる(走っているつもりになれる)快感は、ボディー剛性の高さやバランスの良さも大いに関係しているはずだ。

 

 

エスクード1.4ターボは、確かに愉しく操れて、普段使いの街中でも取り回しが良く、優秀なクルマ。しかし、これは姉妹車のSクロスでもいいのでは? という思いが常につきまとう。棲み分けがよく分からないのだ。

 

ジムニーを上回るクロカン4WDの登場か? そんな前評判だった初代エスクードが登場した時のワクワク感が未だに忘れられない。今さら“クロカン4×4に特化”は現実的ではないにしろ、エスクードにそんな「特別感」を求めるユーザーは、まだまだ多いと思うのだが…。

 

 

【細部写真】

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1,371cc 直列4気筒DOHC直噴ガソリンターボエンジンを搭載。最高出力100kW(136PS)、最大トルク210Nm(21.4kgm)を発生する。VVT(可変バルブタイミング)機構を採用。

 

【騒音計測データ】

  • 車内・・・・40.0dB
  • ボンネット閉・・・・52.5dB
  • ボンネット開・・・・64.5dB

※エアコンOFF、電動ファン非作動/アイドリング時。なお、当コーナーでの騒音計測は毎回微妙に異なる環境下(天候、気温や地形等)で実施されるため、計測値を他車と比較することはできません。

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上:奇を衒わずオーソドックスにシンプルにデザインされたメーター類。中央はマルチインフォメーションディスプレイ。

下:スポーティーなインテリア。メーターとエアコン吹き出し口の赤色がアクセント。

 

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1番左はエンジンON/OFFボタン。大ぶりなボタンは操作性良好。

 

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1番左はエンジンON/OFFボタン。大ぶりなボタンは操作性良好。

 

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ALL GRIPのシフトダイアル。2WDポジションはないが、状況により2WD(前輪駆動)にもなる。LOCKモードでは前後トルク配分が50:50に固定となる。

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ホールド性、質感とも良好なシート。フロントには手動調整式のシートリフターを装備する。

 

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シートバックのみ60:40分割可倒式のリアシート。簡単な操作で折り畳みが可能。荷室フロア下にも蓋付き収納スペースが。

 

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オートレベリング機構付きのLEDヘッドランプ。(ロービームにLEDを採用)

 

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フロントサスは、マクファーソン・ストラット(上)、リアサス(下)はトーションビーム式コイル。

 

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標準タイヤは全車215/55R17サイズ。ダート程度のオフロードならリムの干渉を気にせず走れるサイズ設定だ。