【紹介/試走】フォード・エクスプローラー

2015.10.23

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    • 四輪駆動車
    • FORD
  •  デビュー4年目にしてビッグ・マイナーチェンジが施されたフォード・エクスプローラー。日本では今月末から発売されるが、それに先だって3.5リッターV6を搭載する「リミテッド」(4×4)と、新たな2.3リッター直4エンジンを搭載する「XLTエコブースト」(FF)試乗する機会を得た。


洗練度を更に高めた米ベストセラーSUV

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まず大きく変わったのがフロントまわりのデザインだ。「ラギッド(武骨・頑丈)」をデザインテーマにフロントグリル、ヘッドライト、バンパーが一新され、従来型とはまったく異なる印象となった。また、リアコンビネーションランプのデザインも変更されている。インテリアは、基本的なデザインは従来型と同じだが、エアコン・オーディオの操作系がタッチパネル式から、手探りでも操作しやすいスイッチ方式に変更。トリム素材や加飾も若干変更されている。

 

もうひとつの大きな変更点は、FFモデルに搭載される直4直噴ガソリンターボのエコブーストエンジンが、2リッターから2.3リッターになったことだ。これにより、エンジンスペックは、最高出力が179kW(243PS)/5.500rpmから192kW(261PS)/5,500rpmに、最大トルクが366Nm(37.3㎏m)/3,000rpmから420Nm(42.8㎏m)/3,000 rpmへと向上している。エンジンのダウンサイジング化が潮流となっている中での排気量アップだが、新たなエコブーストは 従来型より燃費を5%向上していることは、新型エクスプローラーの見逃がせない点だ。なお、4×4モデルに搭載される3.5リッターV6エンジンのスペックは、最高出力216 kW(294 PS)/6,500rpm、最大トルク345 Nm(35.2㎏m)/4,000rpmと従来と変わりはない。組み合わされるトランスミッションは、どちらのエンジンもマニュアルモード付きの6速AT。従来型のシフトレバーに装備されていたマニュアル操作スイッチが廃止され、新型にはパドルシフトを採用。ステアリングから右手を離すことなくギアチェンジが可能となった。
20151023022.3リッター直4エンジンを搭載するFFモデルのXLTエコブースト。リミテッドとの外見上の違いは、フロントグリルとドアハンドルの色ぐらいで、パッと見にはリミテッドと区別がつかない。

 

2015102303配色が変更されたリアコンビネーションランプ以外、リアビューは従来型とほとんど同じ。

 

まず、2.3リッターのFFモデル、「XLTエコブースト」に試乗。従来の2.0リッターエコブーストも、この排気量でこの巨体をよく走らせるなと感心させられたが、新型の2.3リッターはよりパワフルになった。高速道路はもちろん、急勾配の山道でも、ターボとは思えぬほど低回転域からスムーズにパワーが盛り上り、2.040㎏のボディーをグイグイと加速させる。3,000rpmを超えたあたりからエンジン音は多少に賑やかになるが、決して不快な音量や音色ではない。
エンジンパワーにも感心したが、何より印象的だったのはコーナリング性能の良さだ。腰高な見た目から想像されるような、大きくて前後バラバラに感じるようなロールがほとんどない。上物と足まわりの一体感が高く、インからアウトに至るまでビシッと安定した姿勢でコーナーを駆け抜けることができるのだ。踏んだ分だけジワーッと確実に効くブレーキも大変好感触。上り下りにかかわらず、2トン超の車重、全長5,050×全幅2,000×全高1,820㎜というボディーサイズを意識することなく、ヒラリヒラリとアメリカンSUVらしからぬ軽快感のあるドライブが楽しめる。
20151023044×4モデルとなるリミテッド。デュアルパネルサンルーフや電動格納式リモコンドアミラーが装備される。

 

次いで、3.5リッターV6を搭載する4×4モデル「リミテッド」に乗る。2.3リッターエコブーストに対し、3.5リッターV6エンジンの最高出力は30PS以上高いが、最大トルクは20%弱小さく、発生回転数も1,000rpm高い。そんなスペックからも分かるよう、V6モデルはより軽快に回り、高速域でも伸びやかにパワーを発揮する。車重はXLTエコブーストよりも140㎏重いが、その差を補って余り有る動力性能と言えるだろう。

 

乗り心地は、XLTエコブーストとはかなり違う印象だ。リミテッドは、連続する段差や継ぎ目などを通過する際に少しゴツゴツした印象があり、ボディーの上下動も大きい。リミテッドのタイヤサイズは255/50R20で、XLTエコブーストの245/60R18に対して、より扁平率の低いタイヤが大径ホイールに組み合わされており、まずこのタイヤが路面の凸凹をダイレクトに拾っているようだ。最近のSUVは、モデルキャラクターに関わらず、グレードが高くなればなるほど高級感を演出するために低扁平タイヤ+大径ホイールの組み合わせが装着されている場合が多い。オフロード走行を考慮しているモデルでは、こうしたタイヤの組み合わせがオンロードでの乗り心地も損なっていると思うのだが…。

 

ワインディングでは、カッチリしたXLTエコブーストに対して少しロールを感じるコーナリングとなり、ステアリング・インフォメーションもエコブーストほどダイレクト感はない。もちろん、かなりスポーティーに走れるのだが、いわゆるアメリカン4×4的な挙動が若干残っているのだ。しかし、これは決してネガな要素ではない。フォードは今回のモデルチェンジにあたって、サスペンションをモデルごとに再チューニングしたとのことだが、4×4モデルはオフロード走行を考慮したサスペンション設定が施されていることが窺われるからだ。フォードの真面目さに感心するとともに、横置きエンジンの四輪独懸モノコックボディーになっても、こうしたアメリカン4×4的なフィーリングが残っていることを少し嬉しく思ってしまった。今回オフロード走行する機会はなかったが、オフロードではこのサス設定が大きくプラスに働くはずだ。

 

 

フォード・ジャパンによれば、日本市場における4代目エクスプローラー購入者の約7割が、FFのエコブーストをチョイスしているという。エクスプローラーは、全モデルで子供用としてなら十二分に実用に耐える3列目シートを備えており、この新型XLTエコブーストはスポーティーなドライビングも楽しめるシティコミューターとしての最適解のひとつと言える。家族が快適に乗れる高級車が欲しいけどミニバンはちょっとなぁ…、というユーザーこそ注目すべきモデルだ。もちろん、アウトドア派には4×4モデルが魅力的な選択肢となるだろう。ちなみに、ツインターボを装着し、272kW(370 PS)という大パワーを発揮する3.5リッターV6エコブーストエンジンを搭載する最上級モデル「タイタニウム(Titanium)」も来年から発売される予定。こちらは4×4モデルということで、今から上陸が楽しみである。
2015102305新採用された2.3リッター直4エコブーストエンジン。V6を上回る豊かなトルク特性で、2トン超のボディーをグイグイ引っ張る。

 

20151023063.5リッターV6エンジンは従来型から大きな変更はなし。

 

2015102307XLTエコブーストのタイヤサイズは245/60R18。

 

2015102308リミテッドのタイヤサイズは255/50R20。

 

2015102309フォグランプ脇にはスリットが設けられている。ここから取り込まれた空気が、タイヤ・ホイールまわりの空気の流れを整流。空力特性を向上させている。

 

2015102310ウッド調パネルがアクセントとして採り入れられているリミテッドのインパネまわり。基本デザインは従来型と変わらない。

 

20151023113列目シートはクッションの厚さも充分にあり、座り心地もまずまず。足元の前後空間はそれなりだが、フロア面は低くなっており、小学生程度の身長であれば自然な着座姿勢で過ごせるだろう。

 

20151023123列目シートは折りたたんで床下にきれいに収納できる。リミテッドでは電動タイプになり、スイッチ操作で左右別々に展開・収納が可能だ。

 

2015102313この手のSUVではパンク修理キットで済まされてしまうことが多いが、エクスプローラーには、3列目シート下に、テンパーだがスペアタイヤが収納されている。3列目シートを備えながら、フロア下にこうしたスペースを確保できることは、モノコックボディーならではの恩恵とも言える。

 

2015102314リミテッドには、エクスプローラーの良き伝統である電動アジャスタブルペダルを採用。これと、調整幅の大きいパワーシート、電動チルト&テレスコピックステアリングで、小柄な女性でもベストな運転ポジションを取ることができる。

 

文/宮島秀樹、写真/浅野修司