【紹介/試走】三菱アウトランダー&アウトランダーPHEV

2015.8.7

    • 四輪駆動車
    • 三菱
  • 文/宮島秀樹 写真/佐久間清人


大胆にイメチェン
走りもブラッシュアップ!

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新たなデザインコンセプトで
スポーティーなルックスに

 

今年6月にマイナーチェンジが施されたアウトランダー。三菱のSUVとしてはパジェロとRVRの間にあるモデルと言えるが、ホイールベースは 2,670㎜、サスペンションは前:マクファーソンストラット&後:マルチリンクと、プラットフォームはRVRと同一だ。ただし、RVRよりも全長は 400㎜、全高は65㎜長く、かなり堂々とした体躯となっており、RVRが5人乗りであるのに対してアウトランダーは7人乗りとなっている。ただし、ハイ ブリッドモデルであるアウトランダーPHEVは後輪の上にリア駆動用モーターが搭載されているので5人乗りとなっている。

 

今回のマイナーチェンジの大きな目玉はエクステリアの変更だ。特にフロントまわりには、三菱車の新たなフロントデザインコンセプトとされる、バ ンパーサイドがフロントセンター部分を包み込むような「ダイナミックシールド」デザインが採用された。シャープなメッキラインが大きなアクセントとなって いる新たなフロントまわりは、ちょっとおとなしめだった従来型と比べてかなりスポーティーな印象だ。

 

メカニズムは、基本的に従来型から大きな変更はないが、サスペンションなどの取り付け部の剛性アップやショックアブソーバーの大径化などの大幅 な改良が施されている。また、ガソリンモデル、ハイブリッドモデル(PHEV)ともにエンジンやモーターなどの駆動制御系の最適化が施されている。

 

ガソリンモデルはコンフォート性重視

2015080702ガソリン車のコーナリング。PHEVと比べて若干ロール大きく、乗り心地はコンフォート志向。

 

まず、2.4リッター筒MIVEC(可変バルブタイミング機構)ガソリンエンジンを搭載する4WDモデルの24Gに乗る。4気筒の4J12型エ ンジンのスペックは最高出力124kW(169PS)/6,000rpm、最大トルク220Nm(22.4kgm)/4,200rpm。エクストレイルや ハリアー、フォレスターといった2リッターエンジンをメインとしているモデルと比べると、排気量が多い分スペックにも余裕がある。実際、低回転域からのト ルク感は上々で、多少勾配のきつい登り坂でもアクセル操作に遅れることなく加速する。

 

ガソリンエンジンに組み合わされるトランスミッションはINVECS–Ⅲ 6速スポーツモード CVTで、CVTらしいシームレスでスムーズな加減速のフィーリングだ。スポーツモードでは、パドルシフトによりメリハリの効いた変速操作が楽しめるのだ が、サスペンションは乗り心地重視のゆったりとしたセッティング。ロールはそれほど感じられないものの、路面のホールド感に今ひとつ欠け、ワインディング を積極的に楽しめるようなキャラクターとはなってない。ガソリンモデルは全車7人乗り仕様となっていることもあって、ファミリーユースを意識した味付けと なっているようだ。

 

このマイナーチェンジでは、制振材や吸音材などの改良により静粛性が向上しているとのことだが、車内の快適性は明らかに一皮むけたという感じで、より洗練された乗車フィーリングの実現に寄与している。

 

EV走行が基本となるPHEV

2015080703PHEVはEV走行モードが基本。エンジンは主に発電機の役割を担う。

 

次にアウトランダーPHEVに試乗。アウトランダーPHEVの駆動システムは、三菱独自のツインモーター4WD。前後輪をそれぞれ独立したモー ターで駆動するシステムで、2リッターの4気筒MIVECエンジンは、フロントモーターに組み合わされている。アウトランダーPHEVのハイブリッドシス テムは、トヨタやホンダのハイブリッドシステムと違ってモーターの駆動のみで走行する「EV走行モード」が基本となっており、バッテリー残量が減少した場 合や、急加速や上り坂などでよりパワーが必要とされる場合はエンジンが発電した電力を使って走行する「シリーズ走行モード」に、エンジンの効率が高くなる 高速走行時には、モーターがエンジン駆動をアシストする「パラレル走行モード」に切り替わる。

 

EV走行モードが基本と書いたが、実際に街中をドライブすると、バッテリー残量がある限り、エンジンが始動することはかなり少ない。上り坂でア クセルを踏み込んでも、まずモーターの駆動のみでなるべく加速を行い、ある程度の速度を超えてからエンジンが始動するという感じだ。結果、通常の車内で聞 こえるのは、多少のロードノイズと風切り音だけという、非常に静粛性の高いドライブが楽しめる。また、エンジンが始動しても、シリーズ走行モードではエン ジンはあくまでも電力供給のための発電機としての役割なので、エンジンの駆動力がパワートレインに伝達されるときのショックやトルク変動などもない。これ は他のハイブリッドシステムとの大きな違いである。

 

高速走行では、エンジンによるFF駆動をメインとするパラレル走行モードに切り替わるが、走行モードが切り替わる際のショックやトルク変動は皆 無。車内には微かなエンジン音が加わるが、それでも静粛レベルの高い快適な高速ドライブが楽しめる。もっとも、かなりの高速で走っても、パラレル走行モー ドに切り替わること自体少なかったのだが…。ちなみに、バッテリーが満充電状態であれば120㎞/hまでEV走行が可能であるという。

 

ただし、EV走行モードではかなりバッテリーの減りが早いという印象だ。メーター内の液晶ディスプレイにはバッテリー残量が表示されるのだが、 60㎞/h程度で巡航していると、見る見る目盛りが減っていく。試乗時間は1時間半ほどだったのだが、あと30分ほどそのまま乗り続けていればシリーズ走 行モードに切り替わっていたのではないかと思う。ちなみに、アウトランダーPHEVには、「バッテリーセーブスイッチ」と「バッテリーチャージスイッチ」 が用意されており、駆動用バッテリーの充電残量を管理することが可能だ。前者はEV走行モードをシリーズ走行モードやパラレル走行モードに切り替えること によって現在のバッテリー残量を維持するためのスイッチで、後者はバッテリーに充電させたいときに使用するスイッチとなっており、バッテリーチャージス イッチをオンにすれば、走行中はもちろん停車中でもエンジンを動かしてバッテリーに充電することができる。

 

よりスポーティーなPHEV

2015080704ハンドリング、乗り心地ともにPHEVの方が好印象を受けた。

 

アウトランダーPHEVは、モーター駆動によるEV走行をメインとしているのでトランスミッションが採用されていないことも特徴だ。しかし、ス テアリングにはパドルシフトが採用されている。これは、「回生レベルセレクター」と呼ばれるもので、回生ブレーキの回生力をB0〜B5の6段階に切り替え るスイッチだ。右パドル操作で回生力減、左パドル操作で回生力増となり、左パドル操作によりエンジンブレーキと同様の感覚で車速を落とすことができる。 もっとも、回生力が一番大きいB5にしてもブレーキの効きは甘く、下りの峠道ではAT車のLレンジ以上にフットブレーキを積極的に使う必要がある。また、 回生ブレーキはバッテリーの残量が多ければ多いほど効きが弱くなり、満充電時には効かなくなるということなので、使いこなすには少々慣れが必要になると思 われる。

 

肝心のパワーフィールだが、EV走行がメインとはいえ、低速からの図太いトルクで車体をグイグイ引っ張るようないかにも電気モーターらしいもの ではなく、ナチュラルにパワーとトルクが立ち上がる印象だ。もちろん、急な上り勾配であっても、パワーに不満はなく、1.8トン以上ある車体は軽やかに加 速する。それが、洗練されたガソリン車と同じような、非常にスムーズでジェントルなフィーリングなのだ。

 

サスペンションも、ガソリンモデルとは違って、かなりカッチリしたフィーリングだ。ロールセンターはガソリンモデルよりも明らかに低く、四輪の トラクション感もしっかりしており、安心してコーナーに進入できる。PHEVはスポーティーなルックスに見合ったハンドリング性能を手に入れたと言えるだ ろう。道中ダートも少し走ってみたが、ここでもPHEVの方が挙動が安定しており快適だった。ガソリン車はサスペンションがバタつき気味で、ボディーの揺 れも大きかった。駆動用バッテリーを床下に配置したことによる低重心化、前後モーター搭載による理想に近い前後重量配分などが、総じてプラスに働いている ようだ。

 

今回はメーカー主催の試乗会での短い試乗であったが、アウトランダーが確実にブラッシュアップされていることが実感できた。もっとも、オフロー ドや雪道における実力は、筆者にとってまだ未知数。キャンプの電源として使用することも含め、オフロードにおけるツインモーター4WD の実力を検証してみたいと思う。トランスファーもセンターデフもないのに、「4WD LOCK」モードなんてあるのも気になるでしょう?

 

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2015080706ラゲッジルームとフィロアコンソールにAC100Vのアウトレットを備える。最大出力は1,500Wと、キャンプでドライヤーや炊飯器など消費電力が大きい家電も使える。災害などの非常時にも大いに役立つこと間違いなしだ。

 

 

 

 

 

2015080707PHEVはジョイスティックタイプのセレクターレバーを採用。シフトパターンにある「B」は回生ブレーキモード。駆動系に関係するスイッチには、 バッテリーセーブスイッチ、バッテリーチャージスイッチ、4WD LOCKスイッチのほかに、ECOモードスイッチもある。それぞれを理解して使い分けるのが大変…。