【紹介/試走】AUDI Q7 2.0 TFSI quattro

2016.6.17

  • 2016061708
    • プレミアムSUV
    • ヨーロッパ車
  •  アウディのSUVレンジであるQシリーズの最高峰に位置付けられたQ7の初代モデルが登場したのは2005年。日本上陸はその翌年だから、今年でもう10年目となる。


高品質に納得!の2リッタープレミアム

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エンジンもボディーもダウンサイズ
ディーゼルとハイブリッドは見送り

2016061701 アウディのSUVレンジであるQシリーズの最高峰に位置付けられたQ7の初代モデルが登場したのは2005年。日本上陸はその翌年だから、今年でもう10年目となる。

 

一時は販売が中断されていたり、もともとの日本市場への割り当て台数が少ないことなどもあって、街角で見かける数も少なく、プレミアムSUVのカテゴリーでは地味な存在ではあった。

 

しかし、今年1月、満を持してのお目見えとなった2代目Q7は、ボディーもエンジンもシェイプされ、最新テクノロジー満載で登場したのだ。

 

Q7の日本でのラインナップは、2リッター直4ガソリンDOHCターボを搭載する「2.0 TFSI quattro」と、3リッターV6ガソリンDOHCスーパーチャージドの「3.0 TFSI quattro」の2タイプ…と、実にシンプル。ただし、それぞれにエアサス+4WSのオプション設定があるので実質4種類の選択肢が用意される形だ。

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欧州では主流となっている「3.0 TDI quattro (ディーゼル)」や、これに電気モーターが追加された、ディーゼルSUVでは初となるプラグインハイブリッド「e-tron 3.0 TDI quattro」の導入が見送られたのは残念だが、初代モデルの4.2リッターV8から3.6リッターV6、そして3.0リッターV6と徐々にダウンサイジングを図り、今回2リッター版まで登場したQ7に注目しているアウディ・ファンも多いことだろう。

 

なお、蛇足ながら、全車とも車名の最後にquattro(クアトロ=4)が付く4×4モデルとなっている。

 

文句なしの元気な2リッター
グランドピアノ1台分の軽量化

 

そんなわけで試乗車は2リッターモデルに決定。実車に対面すると、「おいおい、この図体に2リッターって…」と思わず唸ってしまうが、新しいプラットフォームをはじめ、各コンポーネンツの徹底した軽量化により”先代モデルを325kg下回る車重”をアピールしており、この2リッターDOHCターボの実力や如何に? という期待も高まる。

 

余談になるが、カタログやホームページ(欧州版)ではこの325kgを”グランドピアノの重量と同等”と例えており、この手の話にピアノを持ち出すあたりは、さすがドイツのメーカー…と軽く感動。なお、アウディジャパンのホームページでは”最大300kgの軽量化”と表現されている。

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実際に走り出してみると、発進時も追い越し加速時にも余裕すら感じるパワーの出方だ。急加速時にはやや振り絞ったフィーリングの排気音とメカニカル・ノイズを響かせるが、それもスポーティーにチューニングされた心地良いサウンドと言って構わないだろう。かつて先代モデルに搭載されていた4.2リッターV8や上位グレードに搭載されているスーパーチャージャー付きの3リッターV6が持つトルクの厚さには及ばなくとも、低回転で流しているときにもまったく物足りなさを感じさせず、いざ踏み込めば大排気量エンジンにはないレスポンスと吹け上がりの俊敏さを見せてくれる。

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8速ティプトロニックのトランスミッションは第6速が1:1で7〜8速がO/D。常用するギアがクロスしているため、街中でも非常にスムーズなシフトチェンジを行う。パドルあるいはレバーによるマニュアルシフト時の反応も即座で、ワインディングではシフト操作が楽しい。

 

試乗車はエアサス装着車で、セットオプションの4WS(4輪操舵)仕様だったため、高速コーナリング時には後輪が前輪ステア角と同位相でわずかにステア(最大5度)する仕組み。これによって安定したコーナリングが可能になる仕掛けだが、そもそもこの前後ダブルウィッシュボーン式の電子制御エアサス自体が、状況に合わせて車高や減衰力を常に自動調整しており、コーナリングは至ってスムーズだ。したがって正直なところ、コーナリング時における4WSの恩恵がどの程度のモノなのかが明確に分からずじまいだった。

 

オフロードで実感する高性能サス
全てが高品質な新世代AUDI

 

試乗車にはオプションの285/45 R20サイズの、整備された舗装路以外走るな!と言わんばかりのロープロファイルタイヤが装着されていたが、標準車両は235/65R18サイズが標準だ。この標準サイズなら、少なくとも地面とリムの干渉を気にせずオフロードを走ることができるタイヤと言える。走行モードにも「リフト」というオフロードを走る際にロードクリアランスを大きく、つまり車高を上げるためのモードが設定されている。

 

とは言っても、トランスファーにローレンジを持たないこのQ7ではフラットダートが限界だろう。

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「リフトモード」を選択し、エアサスが車高を最高レベルまで持ち上げたことを確認してからダートへ。ちなみに走行モードを「オート」にしておいても、車体挙動やタイヤのトラクションからオフロード走行であることを判断して自動的に車高を上げ、最適な変速比選択やステアリングの重さ、サスのダンピングレート等が電子制御される。

 

このようなダートでは、オンロード以上にこのエアサスの優秀さが体感できる。フラットだが砂利で滑りやすい路面を4輪がしっかりと捉え、車体がステアリング操作に忠実な動きをする快感が味わえる。もちろん電子制御によるトラクションコントロール、スタビリティコントロールに負う部分もあるが、それはむしろサス性能の限界を超えたところで大きく機能するものだ。このQ7のサスは、もともとの基本的な路面追従性の優秀さがしっかり伝わってくる、限界の高い脚と言えるだろう。

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気になる車両価格は、2リッターモデルで804万円(税込み)。ただし、オプションのエアサス+4WSや7シーターパッケージ、ナイトビジョン、コンフォートシートパッケージ等のさまざまな高級装備により試乗車両の仕様は、締めて1,101万円也。
もはや排気量でクルマの格は語れない時代であり、1000万超のクルマに2リッターエンジンが搭載されている…という現実に驚くのは時代遅れなのかも知れない。ただ、価格の妥当性はさておき、このQ7がさまざまな面で非常に質の高いSUVであることを実感するのに、それほど時間はかからないだろう。

 

 

【細部写真】
20160617091,984cc 直列4気筒DOHCターボガソリンエンジンを搭載。最高出力185kW(252PS)/5,000-6,000rpm、最大トルク370Nm/1,600-4,500rpmを発生する。
【エンジン騒音計測データ】
●車内・・・・41.0dB
●ボンネット閉・・・・59.0dB
●ボンネット開・・・・64.0dB
※エアコンOFF、電動ファン非作動/アイドリング時。なお、当コーナーでの騒音計測は毎回微妙に異なる環境下(天候、気温や地形等)で実施されるため、計測値を他車と比較することはできません。

 

 

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2016061713上:任意の切り替えによって表示が変わる12.3インチの高解像度液晶ディスプレイ。メーターを最小化してカーナビ画面表示等も可能。ナイトビジョン(受注オプション)の画面にもなる。
下:水平基調デザインのダッシュボードを中心に、シックで落ち着いた高級感が漂う車内。

 

 

2016061714トランスミッションは8速のティプトロニック。シフトレバーというよりジョイスティックに近い感覚のATセレクター。Pレンジへは親指のボタン操作でシフトする。

 

 

2016061715走行モード選択やカーナビ、オーディオ、その他、あらゆる切り替え、設定をこのダイアルやタッチパッドで行う。タッチパッドに関しては、左手での操作がやや困難なケースもある。

 

 

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2016061718フロントシート(右上)はシートクーラー付きのコンフォートシート・オプション。セカンドシート(左上)は3分割式で独立スライド&リクライニング可能。サードシート(下)はヘッドルームに余裕が無いものの、大人がヒザを抱えずに座れるレッグルームを確保。

 

 

20160617rear50:50分割のサードシートと、35:30:35分割のリアシートにより、多様なシートアレンジが可能なカーゴスペース。輸入SUVとしては珍しくフラットになる荷室フロアが使いやすい。

 

 

2016061723ロー/ハイビーム、ポジショニングライト、ハイウェイライト、インジケーター、スタティックコーナリングライト、オールウェザーライトを装備したLEDヘッドライト。ハイウェイライトは約110km/h以上で自動的に照射範囲を拡大。オールウェザーライトは、悪天候時にドライバーの眩惑を低減し、前方視認性を向上させる。

 

 

20160617side 自動車高調整機能を備えるアダプティブエアサスペンション。車高調整は任意の操作も可能。写真左が最高レベルで、右が最低レベル。

 

 

20160617susフロントサス(左)、リアサス(右)ともダブルウィッシュボーン式。エアサスはオプションで4WS機能もパッケージされている。

 

 

20160617282リッターモデルの標準タイヤは235/65R18サイズだが、試乗車にはオプションの285/45 R20サイズが装着されていた。

 

 

文/内藤知己
写真/佐久間清人