【紹介/試走】BMW X1 xDrive 18d M Sport

2017.4.8

  • 【紹介/試走】BMW X1 xDrive 18d M Sport
    • プレミアムSUV
    • BMW
  • SUV、とりわけコンパクトSUVは人気が衰えない。オンロードでの俊敏性をいち早く訴求したBMWは、そのラインナップを充実させてトレンドをけん引してきた。中でもX1シリーズはもっともコンパクトで日本の道路事情にマッチしている。そのX1シリーズに昨年秋に追加されたのがX1 xDrive18dだ。


20170415_1重厚感と裏腹に身のこなしが軽い。前後重量バランスはフロントが940kg、リアが720kg。後部座席にも人を乗せて、ラゲッジルームに荷物を積むと前後バランスが50対50に近く。

 

「BMWなのに前輪駆動モデル?」と言わせない

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Xシリーズのラインナップにあって
もっともコンパクトで安価な四輪駆動

20170415_2まずはどうでもよい話から。最新のX1は、エンジンを横置きにする前輪駆動レイアウトがベースだ。ちなみに旧型となった初代X1は、エンジン縦置きの後輪駆動レイアウトがベースだった。初代が現役当時から、次期X1はMINIや2シリーズ・アクティブツアラーなどとパワートレインが共通化されて前輪駆動ベースになると噂されていた。そして噂は事実になった。

 

「ベンベーは後輪駆動だろ!」
BMWのアイデンティティは後輪駆動にある。そう考えているドライバーは今も少なくないはずだし、かつてはBMWもそのように考えていた。前輪駆動のミニブランドを儲けて、後輪駆動のBMWブランドと巧く棲み分けていた。では、誰が前輪駆動導入を決めさせたのだろうか。

 

他ならぬユーザーである。
BMWが独自に行ったとされる調査では、後輪駆動を購入時の動機に挙げるドライバーが少なかったという。いや、後輪駆動であることすら知らなかったというのだ。駆動方式など、一般的なユーザーにとってはどうでもよい話なのである。これがきっかけとなり、BMWブランドでも前輪駆動が投入されたと想像される。

 

とはいっても、BMWはやはり後輪駆動だろう。そう頑なに考えるBMW信奉者にとって、X1 xDrive18dはギリギリ譲れるボーダーライン上にあると言っていい。必要に応じて後輪も駆動する四輪駆動であり、BMWなのに前輪駆動?という揶揄に対するエクスキューズを担保できる。

 

しかも、遅れて追加されたX1 xDrive18dの導入以前、四輪駆動のxDriveを手に入れようとするとX1 xDrive20i(2.0Lガソリン4気筒)が最も安価な選択肢だった。これはX1シリーズ最安のX1 sDrive18i(1.5Lガソリン3気筒/前輪駆動)に比べると約100万円アップ。四輪駆動を選ぶだけで、それだけの差額が必要だったのだ。今や二駆のSUVが珍しくない時代。エクスキューズ代にしては少々お高い…。しかし、嬉しいことにX1 xDrive18dの車両価格は449万円であり、X1 sDrive18iの405万円から44万円アップ。グッと食らいつきやすくなっている。ちなみに、試乗車は内外装がアップグレードされているX1 xDrive18d Mスポーツであり、車両価格は486万円だ。

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ところが、いざ走り出してみると、駆動方式なんてどうでもよくなる。とてもバランスがいい。通常は前輪だけで駆動しているはずだが、そのことを意識させる状況はまったくなかった。相対的に重くて背の高いSUVであるのは間違いないものの、マスがX1の挙動軸にギュッと集まっている感覚があり、軽快とはまた違う身のこなしの良さがある。ハンドリングにストレスがない。

 

しかも、脚を固めてフットワークを高めている印象が希薄。どちらかといえば、しなやかな印象さえある。これは一早くランフラットタイヤを導入して研鑽してきたBMWの努力が実っている部分だ。この部分について後手に回っているメーカーはゴツゴツ感が拭い切れていない。

 

このハンドリングに18dのディーゼルは相性がいい。そもそも10年以上前から、ドイツ本国では新車販売におけるディーゼルの割合は過半数を超えていた。アウトバーンを同じ速度で巡行した場合、ディーゼルはガソリンよりもエンジン回転数が低く、長距離になるほど疲労が少なかった。発進時には明らかにディーゼルとわかるノイズも、スピードが乗るにつれてまったく気にならない。

 

そういうネガが解消されているのに加え、アクセルワークへの反応が気持ちいい。ドライバーの意図に応えるリズムやマナーが、ハンドリングやエンジンレスポンスに共通している。こっちの操作感は重くて、こっちは軽い。こちらのレスポンスは鋭いが、こちらは鈍い…。と、いったことがない。

 

これが当たり前のことのようでいて、意外に統一されていないクルマが存在する以上、BMWに乗る価値は変わらず色褪せないと思う。そのことは、前輪駆動ベースの四輪駆動であるX1 xDrive18dでも確信できた。

 

 

【エンジンルーム】
20170415_5横置きされる直4ディーゼルターボエンジン。最高出力は110 kW(150PS)/4,000rpm、最大トルクは330Nm(33.7kgm)/1,750-4,000rpm。

 

 

【インパネ】
20170415_6試乗車のMスポーツは内外装がアップグレードされている。内装は「アルミニウム・ヘキサゴン・インテリア・トリム/パール・グロス・クローム・ハイライト」仕様。モノトーンが軽快な印象だ。

 

 

【メーター】
20170415_7左にスピードメーター、右にタコメーターのシンプルなレイアウト。試乗車はオプションの「アドバンスアクティブセーフティパッケージ」を装備。

 

 

【シフトレバー】
20170415_8X1 xDrive20iなどが8速ATなのに対して、X1 xDrive18dは6速AT。このあたりのコストカットが車両価格に反映されている。ただし、低速トルクのある18dだと6速ATに不足はない。

 

 

【シート】
20170415_seat前席はスポーツ・シートが採用されており、電動調節式サイド・サポートが装備される。シート素材は「マイクロ・ヘキサゴン・クロス/アルカンタラ・コンビネーション・シート(カラー:アンソラジット)」。肌触りが良い。

 

 

【荷室】
20170415_11後席のシートバックが40:20:40 の3 分割可倒式となっており、積む荷物に応じて荷室をアレンジできる。また、両手が荷物でふさがっているときに、リアバンパー下に足をかざすだけでリアゲートが開く「コンフォートアクセス」を装備する。

 

 

文/中村文大 写真/山岡和正