【紹介/試走】BMW X1 xDrive20i xLine

2016.4.9

    • プレミアムSUV
    • BMW
  •  Xシリーズのエントリーカーとして2009年に発売され、日本では2010年から販売されているX1。昨年10月、その第2世代モデルが発表されたが、エンジンをはじめ駆動系からシャーシーに至るまで大胆な変更が行われ大きな話題となったことは記憶に新しい。


X系初のFFベースモデル

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ミニと共通のプラットフォームに
2種類の2リッター直4ターボ

2016040901 一番の注目ポイントは、BMWブランドでは2番目、Xモデルでは初となる横置きエンジン、つまりFFベースのプラットフォームが採用された点だろう。2シリーズのアクティブツアラーやMINIと共通のシャーシーに、1.5リッター直3ターボ(FF)と2リッター直4ターボ(4×4)を搭載する、最近のコンパクトSUVではごくオーソドックスなスタイルだが、”BMWはFR”というイメージとは相反する「横置きのBMW」は、いろいろな意味で興味深い。

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 日本でのラインナップは、1.5リッター直3ガソリンDOHCターボを搭載するFFモデルの「sDrive18i」、そして、同型ながらそれぞれセッティングの異なる2リッター直4ガソリンDOHCターボを搭載する4×4モデル「xDrive20i(最高出力192PS)」「xDrive25i(最高出力231PS)」の3タイプが用意される。

 

 全てのモデルに「xLine」「M Sport」 と呼ばれるグレードが設定され、18iと20iには、これに加えて標準モデルもラインナップされている。

 

 なお、欧州圏で設定のある2リッター直4ディーゼル搭載車の投入は残念ながら見送られている。

 

パワフルなターボエンジン
流行に左右されないインテリア

 

 試乗車両は「xDrive20i」の中間グレードにあたる「xLine」。2リッターエンジンのいわゆる”馬力が小さい方(192PS)”だが、このモデルだけを試乗している分には、全く”非力”とは感じない。

 

 実は、これ以前に231PS仕様の方の25iにも試乗する機会があったが、なるほど両者を乗り較べてみれば確かに25iの方がワンランク上の加速を体験できる。しかし、今回の20i試乗では、街中にしろ高速道路にしろそのパワーに不満を感じる場面はなかった。

 

 低回転域からグンと立ち上がるトルク感といい、高速での追い越し加速といい全く申し分なく、メリハリあるドライビングが楽しめる。

 

 外観は、直6エンジンを縦に積んでいた先代モデルよりもノーズは短く、全高は高くなったため、SUVらしいバランスを持つシルエットとなり、見た目の安定感も増した印象。実際、全長は短くなっているが、車内空間はヘッドルームやリアシートのレッグルーム等は拡大されている。

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 ドライバーズシートに座ってみると、先代から大きく変わった印象を受けないが、実際のところ細部の造形やデザインはことごとくリニューアルされている。インテリアの印象が変わらないのは、BMWらしいシンプルな2眼メーターや主要操作系の基本レイアウトが変わっていないからだろうか。

 

 いずれにしても、あまり流行に左右されていないこのインテリアデザインは、代が替わっても古さを感じにくく、各種操作にも違和感が少ない、というメリットはありそうだ。

 

xDriveとDSCが連携制御
ワインディングが楽しいSUV

 

 低回転域から効果を発揮するツイン・スクロールターボと電子制御8速ATが、爽快でスムーズな加速をより快適なものにしているが、このX1が愉しいのはやはりコーナーだ。

 

 全高を抑えて「タワーパーキングに入庫可能」を売りにしていた初代(先代)モデルとは逆に、全高を高めて高いアイポイント(=良好な視界)や余裕のヘッドルームを謳う現行型X1だが、ほとんどスポーツクーペ感覚でワインディングを駆け抜けるポテンシャルを秘めている。

 

 コーナリング中のロールは最小限に抑えられているのに、乗り心地はしなやかで、けっしてガチガチに固められた脚ではない。

 

 ステップトロニック付き8速ATの、パドルシフトによるマニュアル操作(ATシフトレバーでも可能)は、レスポンスに優れ、ある程度思い通りのシフトダウン/アップが可能だ。

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 4×4システムは、モデル名にもなっている「xDrive」を採用。 これは、電子制御式多板クラッチによって前後アクスルへの駆動力配分を行う方式で、DSC (ダイナミック・スタビリティ・コントロール)と連携し、ステアリングの切れ角やホイールの回転速度などの車両データからオーバーステアやアンダーステアなどを察知して、フレキシブルな駆動力配分により最適なトラクションを確保するシステムだ。

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 電子制御によるトラクション・デバイスの介入はごく自然に行われるため、その効果を実感する場面は少ないが、フラットダートなどの低μ路でも安定した姿勢のまま、舗装路上と同様なコーナリングが可能だったりする場面で、その効果を実感できた。

 

 なお、一部のライバル他車に見られるような”ステージ別走行モード切り替え”的な、ドライバーの選択による機能拡張はないが、スポーツ走行かエコランかを切り替えるドライビング・パフォーマンス・コントロール機構が搭載されている。これは、「ECO PRO/SPORT」のモード選択によって、アクセルレスポンスやシフトタイミングの最適化、エアコンなどの作動も制御する、という機構で、モード選択によって明らかにドライブフィールが変化するので、低燃費走行やスポーツ走行時には非常に楽しめた。

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 低燃費走行のためのアイドリングストップ機能やブレーキエネルギー回生システム、衝突回避のための自動ブレーキ等のドライバーアシストシステム、足元のセンサーでリアゲートを開けられるコンフォート・アクセス等、最近のプレミアムSUVには必須となっているアイテムの装備も充実しているX1だが、やはりその真価は”走りの愉しさ”にある。

 ユーティリティー面よりも”走り優先”なSUVファンは要チェックな1台である。

 

 

【エンジン】201604090820iに搭載されるのは、1,998cc 直列4気筒DOHCターボ・ガソリンエンジン。最高出力141kW(192PS)/5,000rpm、最大トルク280Nm(28.6kgm)/1,250〜4,600rpmを発生する。直噴システムを採用。ターボはお馴染みのツインパワー・ターボが採用される。
【騒音計測データ】
●車内・・・・38.0dB
●ボンネット閉・・・・63.0dB
●ボンネット開・・・・68.5dB
※エアコンOFF、電動ファン非作動/アイドリング時。なお、当コーナーでの騒音計測は毎回微妙に異なる環境下(天候、気温や地形等)で実施されるため、計測値を他車と比較することはできません。

 

 

20160409092016040910上:BMWらしいシンプルなアナログ2眼メーター。視認性も良く高級感も充分。
下:先代モデルと変わらない印象ながら、実は細かい意匠変更が行われているインテリア。

 

 

20160409118 速AT(ステップトロニック付)を採用。シフトレバーの脇にはドライビング・パフォーマンス・コントロール(ECO PROモード付)のスイッチが配置される。

 

 

20160409seatフロントシート(右)はメモリー付きパワーシート。リアシート(左)座面は60:40分割式でスライド可能。

 

 

20160409rearリアシートは40:20:40分割式シートバックを備え、4人乗車+長尺物積載時に便利。ラゲッジルームには床下収納も。

 

 

2016040918ヘッドランプにはLED式を採用。ヘッドランプレンズが中央のグリル部分に繋がっていないデザインで他のXシリーズと識別可能。

 

 

20160409susフロントサスはストラット式(左)、リアサス(右)はマルチリンク式コイルの独立懸架。

 

 

2016040921「xLine」の標準タイヤサイズは225/50R18。ホイ-ルは7.5J×18アロイYスポーク・スタイリング569。

 

 

文/内藤知己
写真/佐久間清人、山岡和正