【紹介/試走】BMW X6

2015.2.20

  • A14K6603
    • プレミアムSUV
    • BMW
  • 文/中村文大 写真/山岡和正


BMW渾身のクロスオーバーモデル

A14K6603

SUVとクーペを融合させた新機軸を一新

A14K6413BMWが初めてSUVをリリースしたのが2000年。そのX5はSUVと言わず、SAV(スポーツアクティビティビークル)として、 既存のSUVとは一線を画すとした。具体的にはオンロードにおける走行性能の優位性を主張したのだが、月日が経ち、Xシリーズのオンロード性能はアベレー ジが引き上げられた。新型X6をリリースするにあたってもSAVといった表現が使われることもない。とはいえ、X6のオンロード性能は凡庸とは言わせまい とする気概に満ちた仕上がりになっている。

 

初代X6が登場したのは2008年。すでにデビューしていたX5のルーフを斬新に削り取り、SUVでありながらクーペのようなフォル ムが与えられ、この造形的な新提案は大いに注目を集めた。その後X3をベースにした、X6の弟分ともいえるX4が登場したことからも、このカテゴリーは拡 大路線にあり、成功していると見られる。

 

今回、試乗したX6 xDrive50iは2014年にフルモデルチェンジが発表された2世代目にあたる。かろうじて2mに収まる1,990㎜の全幅など、その体躯は威風 堂々。長いボンネットフードの下には4.4リッターのV8 DOHCツインパワー・ターボ・ガソリンエンジンが息を潜め、その気になればあっと言う間に最高出力330kW(450PS)、最大トルク 650Nm(66.3㎏m)を発生する。この巨体を4.8秒で停止状態から100㎞/hへ押し上げるパワーユニットだ。

 

2世代目のトピックスは安全装備も挙げられる。カメラとミリ波レーダー・センサーを利用する「衝突回避・被害軽減ブレーキ」。そして 車間距離をキープしながら自動的に速度制御を行う「アクティブ・クルーズ・コントロール」など、ドライバー支援システムが充実。車載の通信モジュールを 使って乗員の安全と車両の状態をみる「BMW SOSコール」や「BMWテレサービス」なども採用され、これらはすべて標準装備だ。

 

ドライビングシートに乗り込むとアイポイントが高い。周囲の状況を見渡すのに好都合でボディーサイズをさほど苦にせず取り回せる。か つてランドローバーブランドを傘下においたとき、BMWはオフロード走行における造詣を瞬く間に深めた。コマンドポジションと呼ばれるドライバーポジショ ンはオフロードではなく市街地でも有効だ。

 

操作系はエンジンをスタートさせて、小ぶりなシフトレバーにあるパーキングブレーキのスイッチを押してから、ドライブにシフトして発進。一連の流れは現在のBMW共通のもので独特のインターフェイスを備える。ただし慣れるためのラーニングカーブは極めて低い。

 

走り出すとすぐに奥深いフィーリングに感心させられる。ボディーの重さを感じさせないと思ったのだが、それでは舌足らずだ。重い質量 が動くなめらかさと、ドライバーが求める軽快さが巧みにバランスしている。これには、触れたことのないテキスタイルの手触りを言葉で人に伝えるもどかしさ を感じる。

 

ステアリングフィールはまさしくBMWのそれだ。正真正銘のクーペである4シリーズや6シリーズの精緻さと同じと言えば嘘になる。し かし、加飾の少ないステアリングに入力しただけX6にヨーが働く感触は、一度味わってしまうと他のSUVには戻れない、一種の不可逆性がある。

 

シフトレバー脇にある「ドライビング・パフォーマンス・コントロール・スイッチ」では走行モードが切り替えられるようになっている。 「SPORT」と「SPORT+」で、アクティブステアリングの反応、ダンパーの減衰、左右輪へのトルク配分、さらにはアクティブスタビライザーの調整に よって、スポーツマインドへの応え方を絶妙に変えてくるのだ。ドライバーが熱いときには「SPORT+」がよりマッチする。

 

もうひとつの「ECO PRO」モードでは、ドライバーがルーズに運転しても燃費効率重視の走り方をX6が徹底してくれる。走りのフィーリングにもほんの少し牧歌的なSUVのフ レーバーが加わり、音楽を聴きながらノンビリと移動したいと思わせてくれる。そういった懐の深さもX6の魅力として挙げておきたい。

 

A14K6405【エンジン】
最高出力330kW(450PS)/5,500 rpm、最大トルク650Nm(66.3㎏m)/2,000〜4,500 rpmを発生する。今時のターボにラグはない。低回転からいきなり力強い。

 

A14K6440【インパネ全景】
コクピットはドライバーズオリエンテッド。操作性を第一にインターフェイスがデザインされている印象だ。ウッドパネルや革張りのフィニッシュに隙はない。実に贅沢だ。

 

A14K6457【メーター】
シンプルな2連メーターは、左側に速度計、右側にタコメーターを配置する。BMW共通のものだ。

 

A14K6460【インパネまわり】
BMW独特の操作系となるシフトレバーやパーキングブレーキボタン、そしてiDriveなどが並ぶ。iDriveは先進的だっただけに、そろそろタッチコントロールが併用されてもよいのでは…と思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A14K6477【カーゴ】
ルーフが低いとはいえ使いごたえのある荷室。リモコンキーを持っていれば、バンパー下で足を動かすだけでゲートが開くコンフォート・アクセス機能を搭載する。

 

A14K6387

A14K6394●SPECIFICATION…全長×全幅×全高:4,925×1,990×1,700㎜/ホイールベース:2,935mm/定員:5名/ エンジン形式:V型8気筒DOHCガソリン・ターボ/排気量:4,394cc/最高出力:330kW(450PS)/5,500 rpm/最大トルク650Nm(66.3㎏m)/2,000〜4,500 rpm/トランスミッション:電子油圧制御式8速AT/駆動方式:四輪駆動/サスペンション:前ダブルウィッシュボーン・後インテグラルアーム/ブレー キ:前後ベンチレーテッド・ディスク/ステアリング形式:ラック&ピニオン/タイヤ(標準): F:275/40R20、R:315/35R20/ホイール(標準):F:10J×20、R:11J×20/車両本体価格10,972,222円(税抜)