【紹介/試走】MERCEDES-BENZ GL 350 BlueTEC 4MATIC

2016.4.22

    • プレミアムSUV
    • Mercedes Benz
  •  モデル名にGが付くメルセデスのSUVの中で、Gクラスに次ぐ価格帯と高級装備を誇る3列シート/7人乗り5ドアステーションワゴンがGLクラスだ。


GL最後のプレミアムディーゼル

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本国では既に名称変更済み
Gクラスに代わるプレミアムSUV

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 GLは旧ダイムラークライスラー社(現ダイムラー社)がクライスラー部門を売却する前年の2006年にデビューしており、プラットフォームを当時のジープ・グランドチェロキーと共有するモデルとしても知られている。

 

 現在、日本市場で販売されているGLクラスは2012年にリリースされた2代目だが、本国では既に後継モデルとなる「GLS」が発表されており、これでGLE(MLから改称)やGLC(GLKから改称)と足並みが揃った形になる。

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 そんなわけで現在販売されているモデルは2代目にして最後のGLということになるが、実際のところ、さほどの”モデル末期感”は感じられない。というのも、「GLS」と名称変更されたこの新型には、フェイスリフトが施され新しい9速ATや最新のドライバーアシストシステム等は搭載されるものの、外観デザインや大きさ、パッケージング、エンジンのスペック等、基本的な部分に大きな変更がないためだ。

 

 今回試乗したクリーンディーゼル搭載車に関しても、新型GLSには同型エンジンが踏襲されるため、それほどの目新しさはない。デビュー時は、最長老で最高峰であるGクラスの後継者と見られていたモデルならではの貫禄とプレミアム感はいまだ健在というわけだ。

 

 現在、日本でのGLクラスのラインナップは3タイプ。3リッターV6・DOHCディーゼルターボを搭載する「GL350ブルーテック4MATIC」、4.7リッターV8・DOHCガソリン・ツインターボ搭載の「GL550 4MATIC」、そして5.5リッター V8・DOHCガソリン・ツインターボ搭載の「GL63 AMG」と、いずれも税込み1,000万円オーバーの豪勢なラインナップである。

 

クリーン&パワフルなディーゼル
実用回転域でパフォーマンス発揮!

 試乗車両はGL350 BlueTEC 4MATIC (ブルーテック4マチック)。電子制御可変ターボを採用した3リッターV6・DOHCコモンレール式ディーゼルは、最高出力190kW(258PS)/3,600rpm、最大トルク620Nm(63.2kgm)/1,600〜2,400rpmを発生するパワフルで扱いやすいエンジンだ。

 

 ちなみに「BlueTEC」とはディーゼル排出ガス中に尿素水溶液(AdBlue)を噴射し、アンモニアを生成させてからSCR触媒コンバータを通過させることによってNOx(窒素酸化物)のほとんどを無害な窒素と水に還元する排ガス浄化システムで、現在メルセデスベンツのディーゼル搭載車のほとんどに採用されている技術である。

 

 もはや、低ノイズや低振動であることを特筆する必要がなくなった新世代ディーゼルだが、それでもアイドリングストップ機構が頻繁に働く街中では、エンジンが停止しているのかアイドリング中なのか判別が付かず、タコメーターで確認…という場面が幾度となくあり、あらためてその静粛性と振動の小ささ(と言うより、ほとんど無振動)に驚く。

 

 パワー面でも、”ディーゼルにしては”という表現は全く不要で、2.5トン超のボディーをスイスイ加速させる力強さにはストレスの欠片もない。わずか1,600rpmから最大トルクを発生し、3,600rpmで最高出力に達するこのディーゼルは、パワー/トルクバンドが広く、とにかく扱いやすいのだ。ワインディングを走らせるとき、うっかり回転を落としてしまっても踏み込めばモリモリとトルクが湧き出してキビキビと加速できるし、7速ATのメリットを活かし、低回転でハイウェイを巡航中でもいざとなればすぐにシャープな加速態勢にもっていける。

 

 もちろん、いくらDOHCとは言えディーゼルであるから、タコメーターのレッドゾーンは4,300rpm辺りからで回転の頭打ちは早い。しかし、常用(実用)回転域で最も力強いという特性は、全てのドライバーにとって有り難いキャラクターと言えるだろう。

 

最先端ではないが熟成度高し!
新型の進化にも期待が高まる

 脚まわりには、前:ダブルウィッシュボーン、後:マルチリンク、4輪独立懸架のエアサスが採用されている。電子制御のエアスプリングは乗車人数や積載量を検知して車高を一定に保つセルフレベリング機能を持ち、これに加えてショックアブソーバーが状況に応じて減衰力を自動調整するADSも標準装備されている。

 

 これらの機能によって、コーナリング中は踏ん張りが利いてローリングが抑制され、直線ではしなやかで快適な乗り心地が提供される。

 

 また、この自動制御とは別に、任意に乗り心地(SPORT/COMFORT)を選択できる機構も装備されており、これを操作すると明確に車体の挙動変化が体感できる。

 

 この他、オフロード走行などで有効な車高調整(任意に75mmアップ)も可能であり、この辺はエアサスならではのメリットと言える。

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 メルセデスベンツ独自のフルタイム4×4システムの名称でもある「4MATIC(フォーマチック)」は、このGLの場合、前後輪にそれぞれ50%ずつのトルク配分を行うというシンプルな方式(GL63 AMGは前輪:40%、後輪:60%)を採用しており、これにESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)のエンジン出力制御や各輪ブレーキ制御によるトラクションコントロールが加わって、走行中の挙動を安定させる制御が行われている。

 

 また、センターコンソールのスイッチで任意に機能させることができる”オフロードモード”により、ABS特性やシフトタイミング、アクセル開速度等の最適化も行われている。

 

 最新の電子制御技術を踏まえてGLを眺めてみると、さすがにシステムが一昔前のモノ…という部分もあるが、4輪駆動の高級SUVとしての成熟度を見る分には、けっして最新型SUVと較べて大きく見劣りするほどでもない、というのが現時点での正直な印象である。

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 既に本国でリリースされた新型GLSでは、ATが9速となり、エアサスもさらに進化しているという。また、ローレンジを備えるトランスファー・ギアボックスやデフロック機構が含まれる「オフロード・エンジニアリング」パッケージもオプションで用意されている(欧州仕様車)とのことで、日本にはどのような形で入ってくるのか、に注目したい。

 

【エンジン】
20160422062,986ccV型6気筒・DOHCディーゼルターボエンジンを搭載。最高出力190kW(258PS)/3,600rpm、最大トルク620Nm(63.2kgm)/1,600〜2,400rpmを発生する。排出ガス中に尿素水溶液(AdBlue)を噴射して主にNOxを浄化する「BlueTEC」システムが採用されている。

 

 

20160422072016042208上:タコメーターのレッドゾーンがディーゼルエンジンであることを主張するメーターパネル。
下:本革張りのダッシュボードにウッドトリムが落ち着いた高級感を演出するインパネ。

 

 

2016042209センターコンソール左側にオフロードモード、ヒルディセント、車高調整、ADSモード選択の各スイッチが並ぶ。右側はエアコン、オーディオ、ナビ等、各種装備の操作ダイアル。

 

 

20160422seat2016042212試乗車は「レザーエクスクルーシブパッケージ仕様」で、アーモンドベージュの本革シートを装備。サードシートも余裕のレッグスペースを誇る。

 

 

20160422rearラゲッジルームは最大フロア長1,932mm、最大容積2,300リッター。サードシートは展開、格納とも電動スイッチにより操作できる。

 

 

20160422susフロントサス(左)は、ダブルウィッシュボーン+エアスプリング式、リアサス(右)はマルチリンク式エアスプリングの独立懸架。

 

 

2016042219「レザーエクスクルーシブパッケージ」のタイヤサイズは275/50R20。標準モデルには275/55R19が装着される。

 

 

文/内藤知己
写真/山岡和正