【紹介/試走】SUBARU FORESTER 2.0XT EyeSight

2016.5.20

    • 四輪駆動車
    • スバル
  •  現行型フォレスターに関しては、昨年10月のマイナーチェンジ時に行われた試乗会での試走レポートを既にお届けしているので、今回は2度目のレポートということになる。


フラットダートで真価を発揮!

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現行ラインナップは全6タイプ
マイナー後のフォレスターに再試乗

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新型あるいは変更/改良型の発表時に行われる試乗会では、多くの場合、限られた場所と時間内で試乗を行うため、車種や内容によっては多くを伝えきれないこともあり、このフォレスターはオフロード試乗が課題として残されていた。

 

そんなわけで今回は未舗装の林道等、フラットダート走行をメインとする試乗を行った。マイナーチェンジの内容等、仕様の詳細は前回の記事をご参照いただくとして、まずはフォレスターの概要をおさらいしておこう。

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フォレスターの現行ラインナップは「2.0XT EyeSight(アイサイト)」「S-Limited(エスリミテッド)」「X-BREAK(エックスブレイク)」「2.0i-L EyeSight」「2.0i-L」「2.0i」の全6タイプ。全車2リッター水平対向4気筒DOHCガソリンエンジンを搭載し、最上級グレードの「2.0XT EyeSight」のみターボ仕様となっている。もちろん全車AWD(4×4)だが、標準グレードの「2.0i-L」「2.0i」にのみ設定のある6速MT車にはビスカスLSD付きセンターデフ式AWD、そしてその他のリニアトロニック(マニュアルモード付き無段変速AT)車には「アクティブトルクスプリットAWD」と呼ばれる電子制御式4×4システムが採用される。

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最上級グレードのみターボエンジン+スポーツリニアトロニック、大容量ブレーキが採用されている以外は、全車ほぼ同等の基本走行性能を与えられており、グレード選択の基準を最新の運転支援システムであるEyeSightの有無や内装レベル、機能装備などに絞ることができる設定、つまり “標準グレードでも上位グレードと同等(あるいはそれ以上)の走りが可能な”ラインナップとなっている。
パワフルなターボエンジン
トルクバンドの広さも魅力

 

試乗車両は「2.0XT EyeSight」。ベース車両本体価格は289.7万円で、メーカーオプションの「ハーマンカードンサウンドシステム&SDナビゲーション」を含めた合計価格で322.7万円(いずれも消費税別)の最上級グレード車である。

 

最高出力280PSを発生する2リッターDOHCターボのシャープな加速フィーリングも圧巻だが、最低地上高220mmを確保する四駆としては、2,000〜5,600rpmという広い回転域で最大トルクを発揮し続ける特性は、オフロードでも扱いやすいはず。

 

また、スバル車最大のアピールポイントでもあるシンメトリカル(左右対称な)パワートレインと重心の低さを武器とするバランスと安定感に優れた車体は、高速道路やワインディング路ではすぐにそれを体感できるが、さらにそれが活かされるステージは、やはり足元のグリップやトラクションの確保が困難なオフロードだろう。

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というわけで、今回は高速道路を降りると早々に未舗装の林道に向かう。途中、タイトコーナーの連続するワインディングでは、スバル車で最も腰高でグラウンドクリアランスの大きなモデルであるにもかかわらず、キビキビとコーナーをクリアしていけるのでここでも充分楽しめる。ガチガチに固められた脚とは違い、適度に車体をロールさせつつ自然な収束感が心地良いセッティングで、車高の高さにも不安を感じずに済む。アクセルレスポンスが良く、立ち上がりもシャープ、そしてシームレスで細かいステップ変速を行うスポーツリニアトロニックATもさらにスムーズなコーナリングを可能にしている。

 

このオンロードでのコーナリングの安定感やコントロールの容易性が果たしてダートでは? という期待が膨らむ中、いよいよ林道へ。

 

フラットダートで真価を実感
絶妙な電子制御も好印象

 

まずは凹凸の少ない細かい砂利が敷き詰められたフラットダートへ。凹凸が少ない分乗り心地は良好だが、浮き砂利が多く接地感が希薄で、とにかくグリップしない路面である。大パワーエンジンであればあるほど、また車高が高ければ高いほど、操安性や挙動が気になるステージだ。

 

ラフにアクセルを開け急発進してみるが、トラクション制御が働くためかひと呼吸置いて安定したままスムーズに発進。タイヤの空転はほとんど感じない。

 

そのままやや高速でコーナーに進入すると、VDC制御によりエンジンの出力制御がかかり、アクセルを踏んでもエンジン回転は上がらず、結果、強制的にやんわりと減速。この場面では同時に「アクティブ・トルク・ベクタリング」機能の制御により、内輪側にブレーキをかけて外輪側駆動力を増大させてアンダーステアを抑制、つまり”曲がりやすく”しているはずだ。”はず”というのは、それが体感できると言うより自然にそうなる…からだ。

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もちろんこれは舗装路のコーナーであっても働く制御だが、グリップ限界が高いアスファルト上で通常の運転ならば、ここまであからさまな電子制御の介入を感じる場面は少ないはずだ。しかし、滑りやすいダートや冬場の雪道等では常に体感できる機能と言える。水平対向型というエンジン形式のおかげで低重心、左右バランスも良好、それに加えてこの電子制御…というわけで、結果としてドライバーの操縦スキルが向上したかのごとき錯覚を覚えるほど、扱いやすく安定感も大きい、という印象だ。

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身軽さはコンパクトSUVの美点
今後も楽しい進化に期待!!

 

最後に比較的凹凸の多い、やや荒れた路面の林道へ乗り入れてみる。この手のSUVにしては地上高も高く、3アングル(アプローチ/ディパーチャー/ランプブレークオーバー)もそれなりに確保されているフォレスターだが、フラットダートでは優れた路面追従性を誇る4輪独立懸架の脚も、ちょっとした段差や凹凸ではいとも簡単にタイヤが浮き空転…という場面は少なくない。

もちろん、サスペンション・ストロークの限界に達してタイヤが浮いたとしても、そこから先は前述した電子制御の働きにより前進は可能なので、グラウンドクリアランスが許す限り、つまりボディーが地面に引っかかって前進を阻まない限りは走行可能ではある。

フォレスターの良い点のひとつは、今回のような最上級グレードでなくても同じ楽しみ方ができることにある。アイサイトがなくても林道を楽しく安全に走ることができるし、他のSUVより一歩深く自然に分け入ることもできる。マニュアル車の設定もあり、走り屋にも「シンメトリカルAWD」の本来の愉しさを提供できる。

人気SUVはどんどん巨大化する…という今どきSUVの法則に陥ることなく、今後も楽しい進化を期待したい。

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【エンジン】
20160520101,998cc 水平対向4気筒DOHCターボ・ガソリンエンジン。最高出力206kW(280PS)/5,700rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/2,000〜5,600rpmを発生する。左右対称、低重心がもたらすメリットは大きい。
【騒音計測データ】
●車内・・・・40.5dB
●ボンネット閉・・・・65.0dB
●ボンネット開・・・・68.0dB
※エアコンOFF、電動ファン非作動/アイドリング時。なお、当コーナーでの騒音計測は毎回微妙に異なる環境下(天候、気温や地形等)で実施されるため、計測値を他車と比較することはできません。

 

 

20160520112016052012上:スポーティーなアナログ2眼メーター。シンプルで見やすいデザインだ。
下:メーター類は丸く、エアコン送風口は四角く、オーソドックスでありながら新鮮さや質感の高さが維持されているインパネ。

 

 

2016052013ダッシュボード中央に位置するマルチファンクションディスプレイ。燃費やトルク配分、ターボ過給圧、その他車両情報を切り替え表示する。視認性良好。

 

 

20160520142016052015トランスミッションは無段変速のスポーツリニアトロニックを採用。シフトレバーの奥にはエンジン、AWDシステム、VDC等を統合するXモードのスイッチを配置。

 

 

20160520seatフロントシート(右)はホールド性能良好なパワーシート。60:40分割式シートバックのリアシート(左)はワンタッチホールディング機能付き。

 

 

20160520rear最大で488リッターの大容量を誇るリア・ラゲッジルーム。フラットなフロアは使い勝手が良い。

 

 

2016052021ヘッドランプは1灯でハイ/ロービームを切り替えるバイファンクションプロジェクター式LEDランプを採用。照射方向がステアリング操作に連動する。

 

 

20160520susフロントサスは、ストラット式(左)、リアサス(右)はダブルウイッシュボーン式の独立懸架。ダートでの路面追従性は秀逸。

 

 

2016052024「2.0XTアイサイト」の標準タイヤサイズは225/55R18。

 

 

文/内藤知己
写真/佐久間清人