【雪上試走】 NISSAN X-TRAIL & JUKE

2016.3.11

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    • 四輪駆動車
    • 日産
  • 一般に4輪駆動車が持つメリットを考えるとき、まず頭に浮かぶのは、"4×4はオフロードや雪道に強い"という模範解答だろう。だから、購入対象車種が4×4と4×2の両方をラインナップしている場合、ユーザーは自分のライフスタイルや用途を考慮してどちらかを選択する、ということになる。


ドラテク無用!? ながらも愉しさ全開コンパクト

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電子制御効果が分かりやすい雪道で
日産コンパクト4×4の実力を体感

s_A14K7802 しかし、4×4がオフロードを走るための特殊車両的存在だった時代とは違い、現代の4×4の場合、そのメリットは通常の舗装路、つまりオンロードでも大いに発揮されているのだ。その最も大きな要素としては、「電子制御化によるメリット」が挙げられるだろう。

 

 ご存知のとおり、現在、多くのクルマにスタビリティコントロール等の電子制御システムが採用されているが、これらは4×2よりも4×4のほうが、より細かく、効率の良いコントロールが可能となるケースが多い。

 

 大まかに言うと、例えば、リアに荷重がかかる発進時や加速時には、後輪にも駆動力を配分したほうが、パワーをより効率良く路面に伝えられる。より強いトラクションを得られる車輪に積極的に駆動力を配分するトラクションコントロールにおいても、それを前輪(あるいは後輪)だけで行うよりも4輪で行ったほうが効率良く、そして細かく制御できる。もちろん、コーナリングをより安定させるためのトルク配分制御もまた然りである。

 

 ただ、このような最新技術が投入された電子制御は、ごく自然にコントロールされるため、(とりわけオンロードでは)ドライバーに分かりにくいし、その分かりにくさ(=違和感が無い)こそがメリットでもある。

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 前置きが長くなったが、今回の試走の趣旨は、そんな最先端の制御システムが最も明確に体感できるステージと言える雪道(圧雪、アイスバーン)で試走を行い、その効果や扱い方を検証してみよう、というもの。

 

 試乗車両は日産コンパクトSUVの代表モデルであるエクストレイルとジューク。いずれも4×4モデルが用意された。

 

細かい制御で安定した走り
VDCがパフォーマンスを全面発揮!

 

 エクストレイルは、2リッター直4・DOHC(MR20DD型)を搭載するガソリン車と、それに電気モーター(RM31型)を組み合わせたハイブリッド車の2モデルに試乗。4×4機構は「オールモード4×4-i」と呼ばれる「LOCK」「AUTO」「2WD」の3モードが選べるシステムが採用されている。

 

 原動機のトルク特性の違いにより、滑りやすい圧雪路上では低回転からググッと立ち上がるハイブリッド車よりも、低速では比較的立ち上がりが緩慢なガソリン車のほうがスムーズに発進できる感覚。しかし実際に走り出してしまえば、挙動変化の面で両者に大きな差は感じられない。立ち上がりのシャープなハイブリッド車でガンとアクセルを踏んで発進しても、すぐさまトラクションコントロール制御がかかるので、実際の発進はあくまでもスムーズだ。ちなみにハイブリッド車は、「LOCK」モード(前後50:50固定)にするとエンジン駆動のみとなるため、ガソリン車との違いはほぼなくなる。

 

 路面コンディションは、圧雪の下にアイスバーン、しかも気温が上がるにつれて表面が解け出す…という非常に滑りやすい状態だが、この状況下でのコーナリングでは、まさに電子制御デバイスの晴れ舞台だ。

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 テスト車両が何度も往復するため、さらにツルツルになった路面上でドライ路面とほぼ変わらない感覚で曲がっていけるのは、電子デバイスによる細かい4輪ブレーキ制御と前後トルク配分、エンジン出力制御のおかげだ。コーナリング中にワザとアクセルを過大に踏み込んでも、タイヤがトラクションを失う前にエンジンは最適な回転数に制御されるので挙動は全く乱れない。

 

 また、操舵角やアクセル開度等からドライバーが意図する走行ラインを推測し、それに沿って旋回するための制御…車両にかかっている横Gなど車両姿勢も考慮したトルク配分やブレーキ制御を行うビークルダイナミクスコントロールやヨーモーメントコントロール機構がしっかり働いている。そしてこれらはごく自然に機能しているため、ドライバーは自分の腕が上がったような錯覚に陥ってしまう。

 

 「AUTO」モードで走る場合、たとえ圧雪路上であっても、タイヤの空転や回転差が発生しない直進時には、前後100:0の4×2になるシステムなので、不安を感じるかも知れない。やはり雪道に入れば、前後配分50:50に固定して確実な4×4状態である「LOCK」モードを選びたくなる。しかしここは、常に最適な駆動配分を行う「AUTO」モードが正解だ。ただし、この「LOCK」モードは、機械式のセンターデフロックではないので、直進性が強くなり極端に曲がりにくくなるわけでもないので、的確なステアリング&アクセル操作ができるドライバーなら問題なく雪道を楽しめるはずだ。

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さらに楽しいコンパクト3ドア
走り自体を愉しめるジューク4WD

 

 次に試乗したのは、さらにコンパクトなボディーにホットな1.6リッター直4・DOHCターボ(MR16DDT型)を搭載するジューク16GT FOUR 4WD。2.5m弱のショートホイールベースで機敏な走りと人馬一体感がハンパない楽しい4×4である。

 

 ドライ路面を普通に走っても楽しいこのクルマでのスノーステージは、まさに圧巻だ。ショートホイールベースゆえ、エクストレイルほどの安定感には及ばない分、トリッキーな動きと操る悦びを堪能させてくれる。

 

 とはいえ、エクストレイルのそれをさらに進化させた「オールモード4×4-iトルクベクトル付き」を搭載し、VDCも標準装備と、全く見劣りしないパフォーマンスを備えている。この「オールモード4×4-iトルクベクトル付き」では、前後トルク配分に加えてリア・ファイナルギアに左右トルク配分機構を追加し、左右輪間で100:0〜0:100までの最適トルク配分によってより積極的なヨーモーメントコントロールを行うシステムだ。

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 コーナリング時、外輪側に大きなトルク配分を行うことで車体にヨーモーメントを与えるという性格上、これは明らかにドライ路面で”より速くコーナーを駆け抜ける”ためのシステムだが、最適なトラクションコントロールを行うという面においては、低μ路でもその効果は充分発揮された。

 

 路面はエクストレイルの時よりさらに氷解が進み、滑りやすくなっていたが、ジュークは水を得た魚のごとく元気に走る。やはりコーナリング中の安定感はエクストレイルに及ばないが、ステアリング操作に対するレスポンスのダイレクト感が楽しい。

 

 また、エクストレイルと同様、トランスミッションは無段変速のCVTながら、7速のマニュアルシフト機構が付くので、積極的なシフトチェンジも可能。安全に走れることはもちろん、雪道を楽しむために出かけたくなる…そんな4×4だ。

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 今回の氷雪路試乗では、ふだんその恩恵に気付きにくい電子制御デバイスの実力を、あらためて明確に体感できた。ある意味”ドラテク無用”なこの最先端技術は、それに依存するのではなく、あくまでもドライバーをアシストするものと捉えたいが、これによってより多くのユーザーが4×4に乗ることの楽しさやメリットを感じられれば素晴らしいことだと思う。

 

【JUKE NISMO RS 4WD】
s_A14K79242016-03-11 12.16.11 当日はジュークのニスモ・バージョンである「NISMO RS 4WD」にも試乗した。専用チューンされたエンジン、CVT(8速)エクステリア、インテリア等がその気にさせる仕様で、さらに楽しい1台だ。

 

 

文/内藤知己  写真/山岡和正