【BACKWOODS】電子書籍編集人 宮島秀樹

2016.7.29

  • 20160729m
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  • たかが牽引フック、されど牽引フック


先日公開して好評をいただいているダイハツ・キャストアクティバとスズキ・ハスラーの比較試乗レポートだが、その中でも4×4MAGAZINEらしいこだわりをお分かりいただけるのが牽引フックを検証しているところだろう。

 

キャストアクティバには、フロントに脱着式の牽引フックが装備されるが、リアは車両運搬時にトラック荷台に車体を固定するためのタイダウン用フックのみ。ハスラーには、フロントに牽引フックが一応装備されてはいるが、オフロードにおけるスタック時などで使用するには不安のある華奢な造りのものだ。また、リアのフックはキャストアクティバ同様タイダウン用となっており、取扱説明書にもこのクルマで他車の牽引ができないことが明記されている。

 

この2台に限らず、パジェロやランクルなどのクロスカントリー四駆を除くいわゆる最近のSUVでは、頑丈な牽引フックを備えていないクルマが多い。ほとんどのSUVが、強度的にやや不安のある脱着式のボルトフックを採用しており、それもフロント側のみの場合もある。

 

日産・エクストレイルには、先代モデルまではリアにそれなりの強度がありそうな固定式の牽引フックが装備されていた。しかし、現行モデルでは、リア側の牽引フックは脱着式すら装備されていない。一方、スバル・フォレスターは、現行モデルに至るまで、フロント・リア共に脱着式の牽引フックが装備されている。ちなみに、スバル車は、XV、レガシィ・アウトバックなどほとんどのモデルに前後牽引フックが装備されている。また、トヨタ・ハリアーは、先代モデルではフロントに脱着式、リアには2カ所に固定式の牽引フックが装備されていたが、現行モデルでは、フロントに脱着式フックが装備されているものの、リアには他車の牽引には使えない緊急用フック(スタック時に他車に引っ張り出してもらうためのフック)が1つのみとなっている。

 

そして、国産唯一の前後リジッドモデルであり、オフローダーから絶大な支持を得ているスズキ・ジムニーJB23でさえ、その牽引フックが頼りにならないものであることはユーザーにとって周知の事実だろう。ハスラー同様、このクルマで他車を牽引できないことが取扱説明書に明記されており、多くのユーザーが、強度に優れたアフター品を装着しているのだ。もっとも、ジムニーに限らず、多くのSUVで牽引フックとされているものが、「牽引される」ための装備となっており、それはオンロードでの使用が前提となっている。つまり、オフロードにおけるスタック脱出のための牽引や他車レスキューのための牽引は、ほとんどの場合考慮されていないのだ。

 

最近のSUVの多くは、本格を謳ったり、オフロード用の走行モードを備えたりしている。つまり、ある程度のオフロード走行を前提としているのだ。
そして、オフロードではスタックは付き物である。
当然、こうしたSUVにとって他車の牽引によるレスキューは多少なりとも考慮されるべきだと思う。しかし、そのほとんどが、そのためのしっかりとした牽引フックを備えていないのだ。山奥の林道で泥にハマってしまったり、雪に頭から突っ込んでしまったり、前輪が側溝に脱輪してしまったら、一体どうすればいいのだろうか?

 

たかが牽引フック、されど牽引フックである。アフター品や自作品を装備すればいいという考えもあるだろうが、モノコックボディーのクルマに、強度の高い牽引フックを装備するのはそれなりの工夫が必要だ。自動車メーカーがオフロード性能を謳うならば、それにしっかり応じることができる牽引フックを初めから装着するべきだと思う。

 

20160729m本格SUVのエクストレイルも、現行モデルではリアフックが省略されてしまった。なお、SUVだけでなくほとんどのクルマで、牽引フックに見えるものが、輸送用のタイダウンフックなどである場合が多い。また、たとえ牽引フックであっても、使い方にさまざまな注意が添えられている。愛車の牽引フックについてあまり意識していなかった人は、一度取扱説明書を読んでみるといいだろう。