【BACKWOODS】電子書籍編集人 宮島秀樹

2017.1.7

    • コラム
    • トヨタ

明けましておめでとうございます。

 

4×4MAGAZINEとしては記念すべき年となる2017年がスタートした。4×4MAGAZINEは1977年7月に創刊号が発行されたので、今年7月で40周年を迎えることになるのだ。

 

ひと口に40年前といっても、創刊当時の国産四駆といえば三菱・ジープ、トヨタ・ランドクルーザー40系、日産・パトロールぐらいのもの。あの空前の四駆ブームに先駆けること10年以上前のことである。こうした四駆のほとんどは自衛隊や警察、消防、電力会社などで実用車として使用されていたのであり、一部のもの好きなユーザーがその走破性や機能性に注目してレジャーカーとして乗り始めた頃だ。乗用車雑誌は数多く出版されていたが、実用車である四駆に関する記事や情報も皆無だった。当然、ユーザーは四駆の機能やオフローディング・テクニック、また四駆乗りとして持つべきモラルなどについての知識も乏しかったのである。

 

こうした状況下で創刊されたのが4×4MAGAZINEだ。創刊メンバーは全員無類の四駆好きの四駆乗りで、ジープ、ランクル、パトロールといった名車を生産しながらもまだ四駆途上国であった日本で、四駆乗りのためのあらゆる、そして正しい情報を世界中から集めて発信し、四駆の素晴らしさや面白さを世に知らしめつつ、ユーザーの輪を日本中に広げていくことを大きな目的としていた。当初は四駆クラブの会報誌としてのスタートであったが、やがて発行部数も伸びて全国の書店で取り扱われるようになり、それと並行して四駆ブームが巻き起こり、ビッグホーン、パジェロ、ハイラックス・サーフなど続々と登場してくるのはご存知のとおり。

 

創刊からしばらく4×4MAGAZINEは日本で唯一無二の四駆専門誌であり、その内容もメカニズム解説などは一般的な乗用車雑誌にはない、言い方を換えれば乗用車系の自動車評論家では決して書けないほど密度の濃いものであった(4×4MAGAZINEさんに四駆のことを教えてもらいに行ったことがあります…というベテラン自動車評論家も結構いるのだ)。特にサスペンションや4×4システムという四駆の根幹たるメカニズムに関する解説や考察は4×4MAGAZINEの独擅場であり、それは自らもオフローディングやメンテナンスを実践する根っからの四駆乗り達が編集者であったからこそ可能な記事だったと言える。今や硬軟取り混ぜ様々なスタイルの四駆が登場しているが、それは今でも、そしてこれからも4×4MAGAZINEがこだわっていきたい部分である。

 

一昨年、ランクル70系が期間限定で復活販売された際、さなげアドベンチャーフィールドでマスコミ向けの試乗会があった。編集スタッフが開発陣にインタビューしている際、開発者の方が「あそこでサスペンションの写真を腹ばいになってずっと撮っている人がいる。どこの雑誌だろう?」と感心して(あるいは呆れてかも、笑)言っていたという。そして、その写真を撮っていた記者こそ、何を隠そう筆者なのである。取材後、編集スタッフからこのことを聞いて、筆者はなんとなく嬉しく、また誇らしく思った覚えがある。

 

4×4MAGAZINEでは、他の自動車メディアではほとんど載せることのないサスペンションの地味な写真を、どんな四駆やSUVであれ必ず載せるようにしている。脚まわりやパワートレインへのこだわり、それは4×4MAGAZINEの本能と言ってもいいだろう。サスペンション形式の違いはもちろん、ドライブシャフトやホーシングの太さ、デフの大きさ、スプリングやアーム・リンク類の長さや太さ、ショックアブソーバーの形式や配置など、写真から得られる情報は多い。これまであまりサスペンションやパワートレインに興味なかった人も、これからはちょっと意識して見ていただければと思う。

 

そんなわけで、本年も「四輪駆動車専門誌」である4×4MAGAZINEをよろしくお願いいたします。

 

 

20170107これが、さなげアドベンチャーフィールドで撮影したランクル70のサスペンションの写真。これ以外にも10カット近く撮影している。