首都高で実感!スバル・アイサイト最新版の「使える度」

2017.9.22

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    • 紹介/試走
    • スバル
  • 最近、IT関連企業をも巻き込んで話題を呼んでいるクルマの完全自動運転化。「完全」の実現はまだまだ先になりそうだが、半自動運転とでも言いたくなるドライブアシスト機能を搭載したモデルは、もはや珍しくない時代になりつつある。衝突・誤操作防止機能などを含め、こうしたドライブアシストの世界をリードしてきたのは名実共にスバルだが、その最新バージョンと言える「アイサイト・ツーリングアシスト」搭載モデルのマスコミ向け公道試乗会が実施され、そのパフォーマンスを体感してきた。


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スバルは運転支援システムの草分けなのだ

スバルが、レガシィ・ランカスターにEyeSight(アイサイト)の前身技術である「ADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)」を初めて搭載したのは約20年前のこと。開発段階含めれば、30年近い歴史を誇るスバル独自の運転支援システムだ。

 

初期のADAは、現在のアイサイト・ツーリングアシスト同様、ふたつのカメラ(ステレオカメラ)をフロントウィンドゥ内側上端に搭載し、その画像を立体的に解析することで前方の道路状況を解析し、車間距離制御クルーズコントロールをはじめ、車間距離警報、車線逸脱警報などを行う運転支援システムであった。2003年には、ミリ波レーダーも備えて、天候などに左右されにくいシステムへと進化し、ブレーキ制御機能も採用された。しかし、ADAは、運転支援システムに対するユーザー認知が低いことや高額だったこともあって、広く普及しなかったことも事実である。

 

その後、レーザーレーダーを採用したより安価な「SIレーダークルーズコントロール」もADAとは別に設定されたが、2008年にADAの進化形としてアイサイトが登場。衝突被害の軽減から、より積極的に衝突を回避する「プリクラッシュブレーキ」を採用し、「ぶつからないクルマ?」として4代目レガシィに搭載された。

 

アイサイトは、ADA同様にステレオカメラを使った運転支援システムだが、画像解析性能の向上によってレーダー類を廃止し、コストを低減。また、運転支援システムのユーザー認知向上などもあって、より多くのモデルに搭載されることになった。

 

現在、アイサイトは、MT車を除くスバルのほとんどのモデルで標準装備となっており、ボクサーエンジン、AWDシステムと並び、もはやスバルの顔となっていると言っていいだろう。なお、スバルによれば、この8月にビッグマイナーを受けたレヴォーグおよびWRXにおいては、アイサイトを補完するオプション装備「アイサイト・セーフティプラス」(スバルリヤビークルディテクション、ハイビームアシスト、フロント&サイドビューモニターなど)の装着率は、いずれも90%以上になるとのこと。スバルユーザーのほとんどが、安全装備を重視していることが分かる。

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新機能「ツーリングアシスト」

現在のアイサイトは、2014年6月にデビューしたレヴォーグから採用されているバージョン3。しかし、マイチェン後のレヴォーグ/WRXには、アイサイト(衝突被害軽減自動ブレーキ、誤発進・誤後退抑制制御、車線中央維持、車線逸脱制御、お知らせ・警報機能)をコア技術として、新機能となる「ツーリングアシスト」が追加されている。

 

ツーリングアシストは、主に高速道路での運転支援を想定した機能で、自動アクセルと自動ブレーキで車間距離と速度をキープしてくれる。この機能自体は従来からあったものだが、ツーリングアシストは作動速度域を0〜100㎞/hから120㎞/hまで拡大。片側の白線が消えてしまうような状況でも、もう片側の白線を認識し、それまでの車線幅や先行車の走行状況などを判断して、ハンドル制御を可能としているという。

 

また、スバルが渋滞速度域とする60㎞/h以下で、車線の白線が消えてしまっている路面やトラックなどで隠れてしまう場合には、先行車を認識して、それに追従しながら走行するようにハンドル制御を行う機能が追加されている。これらの機能追加により、より実際の走行状況に即した運転支援を実現しているのだ。スバルはこれを「リアルワールド性能」といい、より作動率が高く「使える」運転支援システムを実現したという。

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スムーズな加減速とハンドル制御

今回試乗してアイサイトの実力を実体験したのは、1.6リッター直噴ターボを搭載したレヴォーグ1.6STI Sport EyeSight。このモデル専用にチューニングされたビルシュタイン製ショックアブソーバーを採用したフラッグシップモデルである。なお、レヴォーグの駆動方式は全てAWD(常時四輪駆動)となっている。コースは、東京タワー下の駐車場をスタートして、最寄りのインターから首都高に入り、湾岸線を船橋で折り返して、再び東京タワーに戻るというもの。ツーリングアシストが想定する高速道路主体の試乗となった。

 

まず、アイサイト・ツーリングアシストの操作だが、これはハンドル3時位置にあるセットスイッチを右手親指で押すだけでOKだ。設定速度もこのスイッチで変更可能だが、一度セットしてしまえば、アクセル操作もブレーキ操作も、そしてハンドル操作もアシストする、ほぼ本当の意味でのオートクルーズ状態となり、前走車がいれば、それに合わせて自動的に速度と車間をキープしてくれる。高速道路の渋滞などでも自動的に速度を落とし、ノロノロになった場合でも、加速&ブレーキでのギクシャクを感じさせずにスムーズにクルマを動かしてくれるのには感心。先行車との間が空いて加速中、隣車線から前方に他車が入り込んできた場合でも、こちらがブレーキ操作をしようと思う前に、きっちり減速して車間をキープしてくれる。また、ストレートでもコーナーでも、ハンドル制御によって、ジワリとその作動感を手に伝えながら、走行車線をトレースしてくれるのだ。

 

もっとも、ツーリングアシストはその名称の通り「アシスト」であり、あくまでもドライバーの操作を補助してくれるシステムだ。アクセル、ブレーキ、そしてハンドルの制御も行ってくれるが、ドライバーがしっかり運転操作をしていることが前提である。試しにハンドルから両手を離すと、ディスプレーにすぐに警告が表示される。また、首都高にあるようなかなりきついコーナーでは、ハンドル制御アシストだけでは曲がりきれないことがあり、ハンドルを増し切りしたり、ブレーキを踏んだりして、少し慌てる場面もあった。加減速や直線でのステアリング制御のタイミングが自分とは少し違うなと感じあることもあったが、要は「基本的には自分でちゃんと運転しなさい」ということである。ユーザーが、ツーリングアシストだけでは制御できいない状況を判断できるようになれば、より快適にこの機能を使いこなすことができるだろう。

 

ツーリングアシストの最初の作動を確かめるまでは、本当にクルマが自動的に車線をキープしたり減速したりするのかどうか、ちょっとドキドキであった。しかし、首都高に乗ってしばらく走ってみると、これは想像していた以上に違和感なく「使える」機能だと実感できた次第である。これまで衝突回避やオートクルーズなどのドライブアシスト機能は、付加価値を高めるためのちょっとしたギミックというような感覚があったのが正直なところであったが、スバル・アイサイトや日産・プロパイロットなど最新のものの性能は、その作動感覚を含めて劇的に向上していると言っていい。まだ、この手のシステムを使ったことがない人は、一度ディーラーを訪ねて試乗車などで体験してみてはいかがだろうか。きっとその「使える度」に感心するはずだ。

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