【トヨタ最新自動車情報】ヴェルファイア

2018.6.27

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日本のラージクラスミニバンを代表するトヨタ・アルファード、ヴェルファイアが、昨年末マイナーチェンジモデルを発表した。
 
2015年にデビューした現行型は、ユーザーが求めるミニバンのフラッグシップ感をデザインや装備に採用しながら、アルファード、ヴェルファイアそれぞれの個性を強調し、大ヒットモデルとなったことはご存知のとおり。しかし、その個性をさらに極めるべく大改良を行った。
 
今回、新しくなったヴェルファイアを連れ出して、その魅力を改めて確認することにした。

  文章:吉田直志/写真:山岡和正

 

人気の“フラッグシップ”ミニバンが大改良を果たす!

今回紹介するヴェルファイアは、トヨタのラージクラスミニバンとして人気を博していたアルファードの兄弟車として2008年にデビューしたモデルだ。
 
アグレシッブな表情が与えられたことを特徴とするが、アルファードの販売チャネル違いモデルとしての役割もある。ちなみに、デザインに違いはあれど、走りのキャラクターまでは大きく変えられていない。ラージクラスたるボディサイズは、全長4935mm、全幅1850mm、全高1935mmと、まさに大柄。トヨタのランドクルーザーと比較すると、200系よりも全長はわずかに短く(-15mm)、プラドよりも全幅はわずかに狭い(-35mm)といったサイズだが、ランドクルーザーシリーズのFRレイアウトベースとは異なり、FFレイアウトベースを採用したことによって、キャビンはランドクルーザーよりも”広々”としている。
 
それゆえに、世の多くの奥様方が使い勝手と広さに惹かれて、このアルファード、ヴェルファイアを選ぶのも十分に納得がいく(ランドクルーザーの生い立ちや、走れるシーンが違うといくら訴えようとも、正論で攻められるとお父さんも納得せざるを得ない……)。実際、家庭の事情から、過去のランドクルーザーからアルファード、ヴェルファイアに乗り換えたという方も多い。

 

マイナーチェンジトピックの数々

さて、ヴェルファイアに話を戻そう。今回取材に連れ出したヴェルファイアのグレードはZG。これは、専用エアロパーツをまとい、235/50R18サイズのタイヤと切削光輝+ブラック塗装を施したアルミホイールを組み合わせて、そのアグレッシブたるイメージを強調し、セカンドシートにはトップグレードとなるエグゼクティブラウンジのエッセンスを用いたエグゼクティブパワーシートを採用したモデル。パワーユニットはV6/3.5Lガソリンエンジンを搭載。そう、エクゼクティブラウンジに不採用の18インチホイール、そしてV6エンジンを組み合わせた、スペシャル仕様となっている。
 
昨年末に行われたマイナーチェンジのトピックは数多く、その内容はフルモデルチェンジに匹敵するところもあるほど。変更点を挙げてみると、まずは、最新世代となるトヨタの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sence」を全グレードに標準装備したこと、次にフロントマスクをはじめとしたエクステリアデザインの大幅な変更、インテリアにおける質感向上、さらには、大改良を受けたV6エンジンに8速ATを組み合わせたこと、ボディ剛性アップによる走行性能の向上などが、挙げられている。
 
しかし、実際に試乗してみると、プレスリリースに書かれていた変更点だけではなく、その走りがかなり極められていたことが強く印象に残った。

 

フラッグシップたる堂々とした走り

そもそも、今回取材に連れ出したヴェルファイア、または兄弟車であるアルファードと訊くと、そのデザイン性や装備に話題が集中するが、個人的にはそれらよりも、乗り心地まで含めた走行性能を高く評価している。
 
では、それはどんな乗り味なのかといえば、アグレシッブといわんばかりのフロントフェイスからスポーティーな走りを連想するかもしれないが、実際には、ミニバンたる快適性がしっかりと作り込まれ、さらにはアッパークラスたるラグジュアリィー性が表現されたもの。つまり、スポーツカーを連想させるようなシャープなハンドリングではなく、ステアリングを切り足した分だけノーズを向ける素直な操縦性があり、シートに身体を押し付けるような加速Gではなく、フラットなトルク感によって不快な加減速を感じさせずにストレスなく加速していくパワーユニット、ロールを消し去るのではなく、ロールすら快適な動きに変換して乗員に提供するシャシー性能など、まさにラージクラスミニバンに求められる走りをしっかりと手に入れている。
 
今回のマイナーチェンジでは、それらが全てブラッシュアップされており、そこに世代差を感じてしまうほどだった。特に乗り心地については、ボディ剛性アップも手伝って、シャシーの動きにさらなるきめ細やかさが与えられており、路面からの衝撃を受けてサスペンションがバウンドする際には、その衝撃を強く感じさせず、リバウンド時にはその衝撃をなだらかに解放していくため、まさに心地よさとも言えるフィーリングを作り上げていた。
 
ただ、今回取材したZGグレードが採用していた235/50R18サイズのタイヤは、そのサイズに少々の行き過ぎ感があり、路面からの衝撃をいなし切れずにコトン、トタンとそのままにキャビンへと伝えてくるところがあった。もちろん、不快感には遠く及ばずだが、サスペンションチューニングがコンフォート性を極めている分、目立ってしまっているといった感じだ。
 
高速道路に入ると、路面接地性はすこぶる高くなり、フラット感を増し、アルファードらしさを強く感じさせる。一方、ワインディングではどうかといえば、最近のトヨタ車のチューニングの例に漏れず、リアタイヤをしっかりと接地させて踏ん張るスタイルへと誘導し、安心感とスポーティーさをハイバランスさせながらコーナーを駆け抜けていく。これは、後期モデルのアドバンテージとも言えるところだ。
 
V6エンジンについては、8速ATを得たこともあって、滑らかな吹け上がりとパンチたるパワーフィールをバランスさせており、存在価値を強く感じた。ただし、ハイオク仕様となること、取材時のトータル燃費も9.2km/Lであることを考慮すると、やはり一部の人のためのユニットであることは否めない。
 
今回は、マイナーチェンジにおける変更点からは伝わってこない、大きくブラッシュアップされた走りを中心に語ってきた。途中で触れたように、ヴェルファイアの魅力は、ミニバンのフラッグシップたる存在感にあるが、それはデザインや装備だけに止まらず、走りにもあることをどうぞお忘れなく。

 

現行型ヴェルファイアが登場したのは2015年1月のこと。約3年が経過した、2017年12月に大胆なフェイスリフトを含むマイナーチェンジが行われた。その改良は、デザインや装備だけに止まらず、走りまでも大きく進化させていた。
取材車両はエアロパーツをまとい、18インチホイールを組み合わせたZG。メーカーオプションとなる、アダプティブハイビームシステム、3眼LEDヘッドランプ+LEDクリアランスランプ+LEDアクセサリーランプ、LEDシーケン シャルターンランプ、LEDコーナリングランプによって、さらに精悍なフロントフェイスを手に入れていた。

 

エクステリアデザインは標準ボディに対して、フロントバンパー、リアバンパー、サイドマッドガードを採用した、このエアロボディが設定されている。

 

切削光輝+ブラック塗装を施した18インチアルミホイールを標準装備。ちなみに18インチホイールは2.5Lガソリンエンジンを搭載したグレードにも採用されるが、その中で同様の加工が施されているのはZ”Gエディション”のみ。タイヤサイズは235/50R18。

 

V6/3.5Lエンジンはほとんどを一新し、吸気側VVT-iWの採用により実現したアトキンソンサイクル、直噴+ポート噴射となるD4-Sを加え、今に求められる環境・燃費性能とハイパワーをバランス。パワースペックは、最高出力は301PS、最大トルクは361Nmへと向上。

 

インパネにはメタルウッド +スパッタリング加飾パネル、エアロボディ専用となるオプティトロンメーターを採用。ステアリングは本革巻きにメタルウッドとのコンビネーションタイプ。ナビ&オーディオはメーカーオプション(71万2800円)となるT-ConnectSDナビゲーションシステム+パノラミックビューモニター(シースルービュー機能付)を搭載。

 

大柄なサイズによって、サイズ感だけではなくサポートにもゆとりをもたらしているフロントシート。運手席は8ウェイパワータイプで、イグニッションオフ時には後方へと自動的に下がるオートスライドアウェイ機能を搭載。メーカーオプションとなる本革シート(アクセサリーコンセプト付き・33万1560円)を採用していることもあり、ラグジュアリーテイストも十二分。

 

 

 

 

 

 

 

 
助手席シートは前後スライドとリクライニング機能(オートタイプ)を備えているほか、オットマン機能(パワータイプ)も採用。フロントシートは、いずれも快適温熱&ベンチレーション機能付き。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
セカンドシートは、エグゼクティブラウンジに採用されたシートの雰囲気を感じさせるエグゼクティブパワーシートを2脚採用。ヘッドレストを含めて、身体を包み込むかのような形状を特徴としているが、さらにクッションもしっかりと身体を支えるサポート感を作り上げている。

 

 

 

 

 

 

 

 
セカンドシートのエクゼクティブパワーシートは、パワーリクライニング、パワーオットマン機構を備え、さらに手動となるが最大で500mmのスライド量を誇る。まさにファーストシートといわんばかりのくつろぎを提供。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
サードシートは5:5分割左右はね上げ式を採用。リクライニング、スライドといった機能の他、シート格納時のアシスト機能も備えている。セカンドシートほどの寛ぎには届かないがサイズ感、ポジション含めて、不足は少なく。

 

ラゲッジルームの奥行きは大きく確保できないが、ボディが大柄であること、また、薄型とした左右はね上げ式サードシートによって、必要にして十二分のスペース。センターにサードシートのスライドレールは残したままに、そのフロア下に収納を設定。148Lの容量を備え、倒して積むことを避けたい観葉植物などの積載を可能とした。

 

セカンド&サードシート用に12.1型リアシートエンターテインメントシステムをメーカーオプション(18万3600円)として設定。オーディオのほか、HDMI端子、VTR入力端子によって外部機器からの映像を映し出すことも可能。また、後席独立機能によって、フロントシートとは異なる音声を楽しむこともできる。

 

2tをオーバーする車両重量ながら、V6/3.5Lエンジンによって、軽快に、そしてパワフルに走らせることができる。ワインディングでは自然な姿勢変化によって快適性を失うことなく、駆け抜けていく。

 

今回のマイナーチェンジにおけるトピックのひとつに、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sence」の採用がある。単眼カメラとミリ波レーダーの性能アップによって、自転車を運転する人や夜間の歩行者も検知することができるプリクラッシュセーフティシステム、180km/hまでの設定を可能としたレーダークルーズコントロールにはレーントレーシングアシストを搭載する。