【紹介/試走】JEEP COMPASS

2017.12.29

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com_01ライトJEEPを味わう

FFモデルが主流な4×4ブランドのSUVも最近では珍しくなくなったが、その最右翼とも言えるモデルがこのJEEPコンパスだろう。
この12月から販売が開始された2世代目も「JEEP」へのエントリーモデルとしてさらなる装備充実が図られている。
文:内藤知己/写真:宮島秀樹

 

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初代コンパスのデビューは2006年だったので、既に11年が経過しているということになるが、未だJeepファミリーの中で“新参者”感が漂うのは、日本での発売が2012年からだったこともあるだろう。

 

丸目2灯+7スロットグリルでいわゆるJEEP顔を強調した初代コンパス(初期型)では、その強引なデザインに正直なところ違和感を覚えたものだ。しかし、後にフロントまわりをグランドチェロキー風に意匠変更(後期型)し、今回のフルモデルチェンジでさらにスケール感が増し、よりグランドチェロキーのイメージに近づけられた姿は、これなら以前より多くのユーザーに受け入れられそう…という印象である。

 

JEEPファミリーの中では、スモールSUVのレネゲードとミッドクラスSUVのチェロキーとの中間に位置するサイズだが、プラットフォームはレネゲードと共通の「スモールワイド4×4アーキテクチャー」が採用され、レネゲードより全長で145ミリ、ホイールベースで65ミリ延長された設定。一方、先代コンパスと較べると全長は75ミリ短縮されており、市街地での取り回しに配慮した仕様とのことだ。

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ラインナップは全3モデル、4×4モデルは「Limited」のみ

ラインナップは、4×2(前輪駆動)モデルの「Sport」と「Longitude」、4×4モデルの「Limited」の全3タイプ。つまり四駆の選択肢は「Limited」のみだ。

 

エンジンは全車共通の2.4リッター直4ガソリンを搭載。電子制御可変バルブリフト機構を採用する高効率が図られたエンジンで、最高出力 129kW(175PS)/6,400rpm、最大トルク229Nm(23.4kgm)/3,900rpmを発揮する。

 

トランスミッションは、Limited(4×4)に9速AT、SportとLongitude(4×2)には6速ATが組み合わされる。Limitedの9速ATは、第5速が1:1、第6〜9速はすべてO/D(オーバードライブ)で、このシフト領域を細かく制御することによって高速走行時の騒音や振動の低減、燃費向上が図られている。

 

ストレスのないパワー、4×4モデルの元気が良い!

試乗車両はもちろん4×4モデルであるLimitedがメインだが、比較のため4×2モデルにも試乗した。今回は輸入販売元が主催する試乗会という限られたエリアでの試走だが、そもそも苛酷なオフロード走行は想定されていないモデルでもあるので、一般路のみのインプレッションとなることをお断りしておきたい。

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発進加速は、さほど劇的なものではないが、自然吸気であることを考えれば充分にパワフル。1.6トン(Limited)のボディーを軽々と加速させるに充分以上のパワーだ。

 

また、エキゾーストノートが明らかに甲高く迫力たっぷりに味付けされているので、フル加速時はけっこうその気にさせられる。

 

車両重量で約110kg軽い4×2モデルと加速フィーリングを較べてみたが、4×4モデルのほうがATもファイナルも減速比が全体的に低い設定なためか元気が良い。4×2モデルでは、回転を落ち込ませないよう意識的な操作が必要だ。

 

ただし、峠道などでは高速ギアを使わないので、6速ATと9速ATの性能差はあまり感じられなかった。

 

新型コンパスの前後マクファーソンストラット式サスペンションには、「FSD」と呼ばれる機械式可変ダンピングダンパー機構が採用されている。これは路面からの入力に応じてダンパーの減衰力を調整し、オフロードでの突き上げを抑えたり、コーナリング時の踏ん張りを利かしたり…という機構だ。ワインディングではこのシステムがどの程度機能しているのか判断は難しいが、通常走行時に硬さを感じない脚でありながらコーナリング時にフワフワせず、姿勢が安定する脚であることは確認できた。

 

 

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オススメのモデルは…

Limitedに搭載される4×4システムは、「ジープ・アクティブドライブ4×4」と呼ばれるオンデマンド式の4×4機構で、通常走行(AUTOモード時)ではリアアクスルを切り離して前輪を駆動し、スリップを検知すると後輪も駆動するタイプの4×4である。

 

また、セレクテレインシステムと呼ばれる制御機構も備わっており、ドライバーは「AUTO」「SNOW」「SAND」「MUD」の走行モードを選択することができる。アクセル特性やシフトスケジュール、ABS回路を利用したトルク分配等を最適化することで、各ステージに応じた走行パターンを得られるシステムだ。

 

苛酷なオフロード走行を想定していないモデルと言えど、期せずして雪道、泥濘地等を走行するハメに陥るケースは普通に考えられる。4×4を有効に使うための機能としては、とりわけ「JEEPのエントリーモデル」としてコンパスを選ぶユーザーには非常に有効なシステムと言えるだろう。

 

4×2モデルを主体とするラインナップ設定から見ても、4×4モデルは“高級グレード”という位置付けに見えるが、たとえオンロード走行のみであっても楽しめるのは4×4であるLimitedと言っても良さそうなJEEPコンパス。

 

これをJEEPのエントリーモデルと位置付けるかどうかはユーザーの使い方次第だが、このコンパクトクラスにはこのサイズでしか享受できない多くのメリットもあるので、上級車種に乗れないから…という意識は無用だろう。

 

ただし、乗るなら4×4モデルであるLimitedが間違いなくオススメである。

 

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2.4リッター直列4気筒ガソリンは無鉛レギュラー仕様。最高出力 129kW(175PS)/6,400rpm、最大トルク229Nm(23.4kgm)/3,900rpmを発生する。

 

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写真上)視認性の良いアナログメーター。

写真下)ブラック基調で統一されたインパネ。

 

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写真左)トランスミッションは、電子制御式9速ATを採用。4×2モデルは6速ATが設定される。

写真右)セレクテレインシステムの走行モード選択ダイアル。4WD LOCKを押すとトルク配分が前後50:50に固定となる。

 

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Limitedはレザーシートを標準装備。運転席は8ウェイパワーシート、助手席は4ウェイマニュアル。リアシートは3人掛けで、リクライニング、スライド不可。

 

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助手席の座面下にある収納スペース。さほど容量は大きくないが、気の利いたスペースだ。

 

 

 

 

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完全なフラットフロアにはならないが、容量は充分。※写真は4×2モデル

 

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Limitedはバイキセノン・ヘッドライトを標準装備。オートハイビーム機構やデイタイムランニングランプも装備する。

 

 

 

 

 

 

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燃料は無鉛レギュラーガソリン。給油口にフタの無いタイプ。

 

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Limitedの標準タイヤサイズは、225/55R18。