【紹介/試走】JEEP RENEGADE TRAILHAWK

2015.9.18

    • 四輪駆動車
    • Jeep

新世代スモールJEEP発進!

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4×2は1.4リッターターボ
4×4には2.4リッターNAを搭載

2015091801 というのも、かつての「レネゲード」は、1960年代に登場したCJシリーズのみならず、後のラングラー(YJ)や、日本では「チェロキー」の名で販売されていたリバティ(KJ)等に設定されていたグレード名だったからだ。

 

 そのレネゲードがJeepファミリーの1車種として独立したモデルとなったのが、9月1日付けで日本での販売が開始された「ジープ・レネゲード」である。

 

 発表当日に行われたメディア向けの試乗会には、本国から開発陣も駆けつけプレゼンテーションを行うなど、この新種Jeepに賭ける意気込みと、日本市場への期待の大きさを窺わせた。

 

 日本に導入されたレネゲードは、「Opening Edition(オープニング・エディション)」「Limited(リミテッド)」「Trailhawk(トレイルホーク)」の3グレード構成。この内、オープニング・エディションとリミテッドは1.4リッター直4ガソリンターボ搭載の4×2(前輪駆動)モデル、そしてトレイルホークは2.4リッター直4ガソリン搭載の4×4モデルというラインナップだ。

 

 元祖4×4とも言うべきJeepでありながら4×2モデルが存在するのは、すでにコンパスやチェロキーという前例があるため、もはや驚くには当たらないラインナップなのだろうが、古くからのJeepファンにとっては、やや残念な設定ではある。

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クラス唯一の9速ATを搭載
エンジンは吸気系にポイントあり

 

 試乗車はもちろん2.4リッター直4搭載の4×4モデル、トレイルホーク。今回は試乗会という限られた時間枠の中での試走であったため、オフロード走行や騒音計測等まで実施できなかったが、一般市街路から自動車専用道、ワインディング路までをひと通り走行することができた。

 

 発進時から軽快なこのクラスならではのフットワークの良さは、さほど丁寧なアクセルワークを意識しなくても、ごくスムーズなシフトチェンジが行われるATと相まって、街中走行をストレスなく楽しませてくれる。

 

 トレイルホークにはクラス初にして唯一の電子制御式9速AT(ZF 製)が採用されており、常に細かく滑らかなシフトチェンジが行われ、高速化による燃費向上も図られている。

 

 第6速から9速がオーバードライブ設定で、市街路走行では実質第1〜5速までが実用域だ。

 

 街中では細い道や駐車場での車庫入れ等でも持て余さないコンパクトな車体と車両感覚を掴みやすいボディー形状のおかげで、狭い路地でも躊躇なく入って行ける。

 

 エンジンは吸気系に高効率バルブリフトシステムを採用した、通称「タイガーシャークマルチエア2」を搭載。シリンダーごと、ストロークごとに吸気バルブ・タイミング、リフト量および時間を制御する電気油圧アクチュエーターを採用しており、ピックアップの良さ、静粛性の高さ、低燃費等を特徴とするNAエンジンである。1.5トンのボディーを引っ張るには必要充分なパワー感で、加速時のサウンドも心地良い。

 

 ATのマニュアル操作はセレクトレバーをDレンジの右側にシフトしてから+/−を前後に倒すことで行うタイプ。ただし、ワインディング走行時等では、コーナー手前で充分に減速しないとシフトダウンできないため、回転を高めに保って…という積極的な走りが少々難しい。

 

 ソフト寄りなサスペンション設定も含めて、ハイウェイをゆったりと流す場面が似合うクルマと言える。

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オンデマンド式4×4制御
低速走行モードも設定されている

 

 新世代Jeep初のスモール・クラスというポジションで登場したレネゲードは、1.4リッターというスモールエンジンを搭載し、300万円(税抜き)を切る戦略的な価格設定が行われたという点でも、4×2モデルが話題の中心である。

 

 しかし、本来あるべき姿である4×4モデルにも、固有のアピールポイントが与えられている。その最たるものが、”オフロード性能”だ。

 

 4×4システムはオンデマンド方式。トランスミッションからの出力をパワートランスファーユニットによって分配し、駆動力を必要とする車輪に適切なトルクを送るシステムだ。リアアクスルには分離機能があり、リア駆動が不要な時は後軸を切り離すことができるため、燃費の向上にも大きく貢献する。

 

 「Jeepセレクテレインシステム」は、AUTO(自動)/SNOW(雪)/SAND(砂)/MUD(泥)/ROCK(岩)の各モードが用意され、それぞれのステージで適切な駆動制御やギア選択が行われる。

 

 また、目新しいところでは、トランスファーにLoレンジを持たないこのクラスのために、39km/h以下で機能する「Jeepアクティブドライブロー」を採用。「4WD LOW」スイッチによりギアが第1速に固定され、総減速比20:1の低速走行を保持する、という機構だ。

 

 これらの電子制御に加え、基礎的なデザインにおいて対地障害角が大きめに設計(アプローチ角:30.5°ランプブレークオーバー角:25.7°ディパーチャー角:34.3°)されており、根本的なオフロード走破性能の確保が考慮されている。

 

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 今回、実際のオフロード性能確認は行えなかったが、何よりコンパクトで軽量であることが最大のオフロード性能であることは、今も昔も変わらない。その意味でも、レネゲード・トレイルホークはなかなかに楽しめそうな四駆だ。

 

 日常使用でもこのコンパクトボディーはストレスのないJeepライフを約束してくれそうだし、気軽に乗れるポップな雰囲気も、新世代Jeepファンには受け入れられるだろう。

 

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【細部写真】

20150918072,359cc 直列4気筒DOHCガソリンエンジンを搭載。最高出力129kW(175ps)、最大トルク230Nm(23.5kgm)を発生する。

 

20150918082015091809上: 外観のポップさに較べてスッキリ系なメーター。視認性もよい。
下:20代の若いデザイナー案が採用されたという、遊び心に溢れたインテリアデザイン。

 

2015091810トランスミッションは電子制御式9速AT。マニュアルシフトはDレンジ右側にシフトして前後(+/−)操作。

 

2015091811走行モードスイッチ。4WD LOWはローレンジではなく第1速固定。

20150918seatトレイルホークのシートはプレミアム・ファブリックシート。滑りにくく、高級感のある素材が使われている。

 

20150918back2015091818リアシートは背もたれが倒れる方式の可倒シートで、中央のみを倒して4 名乗車+長尺物(スキー等)積載も可能。床下にはフルサイズのスペアタイヤを格納。

 

20150918sus前後とも、マクファーソン・ストラット式サスペンション。柔らかめの設定で、乗り心地良好。

 

2015091821標準タイヤは215/60R17サイズ。オールテレーン系寄りのタイヤで、走行ノイズもさほど気にならない。

 

20150918222015091823米軍ジープで使用されていたジェリ缶(ガソリン補助タンク)のイメージをデザインキーにした×マークが至る所に。

 

2015091824オフロード車たるモノ、牽引フックには拘りたいとのことで採用されたというリアフック。

 

2015091825発表試乗会には、FCA.US(フィアットクライスラーオートモビルズUS)からインテリアデザイン担当副社長のクラウス・ブッセ氏(右)と、インターナショナル製品企画車両ライン計画マネージャーのディビッド・ビジー氏(左)が、日本初公開となる試乗会にプレゼンテーションのため駆けつけた。

 

文/内藤知己 
写真/宮島秀樹、FCAジャパン広報部