【紹介/試走】プリウス

2019.5.30

    • 最新クルマ事情
    • トヨタ


昨今、街中を走るクルマを眺めていると、多数を占めるようになったなぁと感じる「ハイブリッドモデル」。そのパイオニアとなったのが、1995年にデビューを果たした「プリウス」だ。
 
当時、異次元と感じさせた環境・燃費性能はもちろんのこと、必要にして十分のパワー。そして快適性も相まって、大ヒットモデルとなったことはご存知の通り。そんなプリウスも現行型で4世代目を迎え、昨年、大改良が行われた。
 
最新プリウスのポテンシャルはいかがなものか、紹介していこう。

文章:吉田直志/写真:山岡和正

 

4世代目プリウスの正常進化

ハイブリッドモデルのパイオニアである「プリウス」も誕生から20年以上が経過。最新型モデルである4世代目は、2015年末に先進を纏って登場したばかり…、と感じていたが、昨年末にはさらにコネクティッドカーたる価値を求めて、大きな進化を遂げた。そもそも4世代目プリウスは、ハイブリッドモデルたる技術的な先進性に加えて、実用性や快適性といった、この先、クルマに求められる価値観をハイバランスさせてデビューした。
 
具体的にはスポーティーさを求めて描かれた流麗なフォルム、まだ見ぬテイストという近未来を抱かせるデザイン、そして、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)コンセプトによる快適性と操縦性という走行性能のブラッシュアップなど、アドバンテージといえる要素を数多くもったモデルだった。また、地味であったが、雪国地域からのリクエスト、つまり、4WDモデルの追加に、ようやく応えたことも、大きなトピックだった。
 
しかし、デビュー後、マーケットからの反応を分析すると、走りや4WDモデルの追加といった期待される走行性能に対しては満足を感じる人は多けれど、デザインテイストやパッケージングなどに少々先を行き過ぎた感を抱いた人も少なからずいたようだ。
 
今回のマイナーチェンジでは、そういった意見を大切にしながら、プリウスのイメージである先進性を3年分の進化をさせながら、より多くの人が満足できるモデルへと大改良が施された。

 

ナビゲーション、オペレーターサービス、安全性のさらなる進化

デザインは、近未来的であることに加えて、ひと目見ただけで、スマートさ、クールさといった、昨今クルマに求められるテイストを表現し、なんとランプ類はもちろん、グリル、バンパーにいたるまで手が加えられることになった。
 
内装もブラックの加飾パネルを組み合わせたこと、カラーコンビネーションも相まって、質感を覚えさせる雰囲気を手に入れている。
 
また、メーカーオプションとして設定された11.6インチサイズのモニターを備えたT-Connect SDナビゲーションシステムを組み合わせると、ナビ画面はもちろんエアコンやオーディオまでを大画面にて分かりやすく表示し、さらいタッチパネル式パネルによるよりイージーな操作を実現している。
 
今回の改良のトピックであるコネクティッドサービスについては、専用通信機DCMを全グレードに標準装備することでT-Connectサービスを3年間無料で利用可能とし、多くの人が繋がるサービスを活用することができるようになった。
 
具体的には、地域の情報といったドライバーのリクエストに応え、それをナビゲーションに設定してくれるオペレーターサービス、LINEを通じて目的地情報などを共有できるLINEマイカーアカウント、エアバッグ連動タイプのヘルプネットなど、実に、さまざまだ。利用料については、3年は無料と延べたが、4年目からは有料(1万2960円/税込み)となる。
 

そして、先進安全装備については、オートマチックハイビームを含めたトヨタの衝突回避支援パッケージである「Toyota Safety Sence」を全グレードに標準装備。駐車からの後退発進時に、左右から近づいてくる車両を検知し、ドライバーに教えてくれるリヤクロストラフィックアラートもオプション設定とし、よりハイレベルの安全性を提供してくれる。

 

そしてハイブリッドカーとしての進化

走りについては、環境・燃費性能まで含めて、プレスリリースでは特にアナウンスされていないが、走り出してすぐに改良前モデルとの差を感じた。
 
ひと言で表現するならば、とにもかくにも乗り心地がいい。
 
現行型デビュー時には、TNGA採用によってしなやかさを得たサスペンションに好印象を抱いたが、個々はしなやかでも四輪というバランスに関しては、“もう少し“を感じるところもあった。
 
しかし、改良後モデルでは、路面のアンジュレーションを4つのタイヤがそれぞれに捉えて路面状況をキャビンに伝えつつ、その情報を他のタイヤに手渡していくような、そんな連携ともいえる、バランスの良さを感じた。それは乗り心地に対して快適性を強く覚えさせると同時に、高速道路では直進安定性を強く感じさせ、ワインディングでは素直な動きとして、ドライバーはもとより、乗員に、アッパークラス感を堪能させてくれるものだ。
 
試乗したのは、17インチタイヤを採用したA“ツーリングセレクション”だったため、ダイレクト感が高められていた印象だが、一方で、凹凸のある路面ではコトンコトンといった角を感じたり、その際に、タイヤの空気圧の高さが起因した甲高い音が聞こえてくることもあった。
 
しかし、それも快適な乗り味をベースとし、静寂のままに走り往くプリウスゆえに、ついつい気になってしまったところ。つまり、不快とか不満といったレベルではないことをお伝えしておきたい。
 
このあたりは、試乗できなかった15インチタイヤを履いたグレードであれば、先に述べた、サスペンションに対して感じたダイレクト感がもたらす質感は、少々変わってしまう予感もある。
 
パワーフィールについては、低燃費を引き出しやすい制御はもちろん、モーターによる高トルクを感じさせるパワーモードの存在など、ドライバーの幅広いリクエストに応えられるだけではなく、満足させるだけのポテンシャルを感じた。特に、日常での渋滞や、駐車時といった時に、ペダル操作に気を遣うことなく操作できることに、感心したほどだ。
 
残念ながら、リアシートへの乗り込み時に頭を少し下げなければならない、といったパッケージングに関するところは、フルモデルチェンジでしか対応できず、今回は見送りとなってしまったが、そういった細かな面以外は、これまでのプリウスユーザー以外でも、満足できる、そして欲しくなる魅力を手に入れていた。
 
そう、ハイブリッドモデルといえば「やっぱり、プリウスだよね」そう言葉にしたくなる進化を遂げていた。

 

日常はもちろん、非日常へと出掛けたくなる魅力をさらに高めたハイブリッドモデルのパイオニア「プリウス」。撮影車のボディーカラーは、昨年末のマイナーチェンジで追加した新色「ブルーメタリック」。
しなやかなサスペンションは四輪をしっかりと路面に接地させたままにコーナーを軽快に駆け抜けていく。そのスタンスは、最近のトヨタ車流であり、ドライバーに信頼感(安心感)を伝えることで同時にハンドリングに愉しさを提供している。
最新型プリウスの乗り心地をひと言で表現するならば、とにもかくにも快適。ハンドリングを優先してサスペンション締め上げるのではなく、路面からの入力に対してしなやかさで対応させながら、ハンドリングに対してはしっかり感を与えている。直進性もすこぶる高く、高速走行時の安心感も高い。

 

当初、先を行き過ぎた感を覚えたエクステリアデザインは、少し先を行くテイストに変更。シンプルなラインで描き、誰が見ても、すぐに目に馴染むデザインとした。
そしてフロント同様に、リアもシンプルなラインでまとめながらも、少し先を行くデザインテイストを採用。ランプ類だけではなくバンパーデザインも変更されている。

 

ヘッドランプユニットは、バンパーへと大きく切り込むようなデザインではなくなった。バンパーからも改良前モデルのような複雑な造形は消え去り、すっきりとしたイメージへと進化。

 

 

 

特に賛否両論が大きかったテールランプデザインは、縦方向のラインから、ゲートへと繋げる横方向へのテイストへと変更。リアコンビネーションランプは、全グレードで光源にLEDを採用。

 

 

ツーリングセレクションに標準装備される17インチアルミホイールは、チタンテイストをデザインした樹脂加飾部によりスポーティーさを強調。タイヤサイズは215/45R17。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インパネやコンソールトレイなどにブラック加飾を組み合わせ、また、カラーリングも手伝って質感を手に入れた。撮影車のナビゲーションは、ディーラーオプションのT-Connectナビ9インチモデル。

 

コンソールパネル前側に配置されたおくだけ充電(Aグレード以上でメーカーオプション設定)は、昨今のスマートフォンのサイズ拡大傾向に伴って、そのサイズを大型化。

 

 

 

新車登録時から3年間無料で利用できるコネクティッドサービスのひとつ、ヘルプネットスイッチ。事故や急病といった緊急時に、ルーフ前方に配置されたスイッチを押すことで、位置情報や車両データを送信しつつ、オペレーターとの会話が可能。エアバッグ作動時には自動で接続を行う。
 

十二分のサイズ感と、適切なサポート性をバランスさせたフロントシート。肩や腰といった負担のかかるところ、また、低温時に冷えを感じる脚部に快適なぬくもりを与えてくれる快適温熱シートを標準装備(Aプレミアム以上、そのほかツーリングセレクション)。運転席は8ウェイ電動タイプ(助手席は4ウェイ電動)となる。

 

 

 

 

 

 


居住性としては足下スペース、ヘッドクリアランスともに不足なく、包み込まれるテイストも加わって、居心地の良さを感じるリアシート。乗降時に少々頭をかがめる必要あるが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアシート使用時(2WD・スペアタイヤレスモデル)のラゲッジ容量は502Lを確保し、ゴルフバッグを4つを積み込むことも可能。アレンジについては、6:4分割可倒式リアシートの採用により、ひと通りをこなす。スペアタイヤ装着車や4WDモデルは、容量が少々犠牲になっている。

 
◆ホームページ:https://toyota.jp/prius/