【紹介/試走】TOYOTA ハリアー 4WD ターボ車

2017.7.31

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90年代、質実剛健を必須としていたヘビーデューティモデルに対して、乗用車のプラットフォームを利用することで、カジュアルだったり、スポーティーなコンセプトを強めたモデルが登場する。その中でも高級車たる品格を与えたモデルの代表格が、97年にデビューを果たしたトヨタ・ハリアーだ。

 

その人気ぶりは御存知の通り、日本はもちろん、SUVの本場である北米マーケット(レクサスブランドで販売)でも大ヒットモデルとなる。その後、ラグジュアリィテイストを大きく引き上げていくが、3世代目へのモデルチェンジをきっかけに価格帯を引き上げ日本でもレクサスRXとして販売開始。

ハリアーはモデルチェンジすることなく2世代目モデルがそのままに販売が続けられていたが、ハリアーファンからは、ハリアーのサイズ感とクラス感、さらには価格帯をもった最新モデルを求める声が大きく、それに応えるため13年に3世代目となるハリアーが誕生した。

 

ただし、この3世代目ハリアーは、プラットフォームとしてはかつてよりもひとつ下となる新MCプラットフォームを採用。SUVではRAV4(日本最終型)やヴァンガードに使われていたものであり、もちろん、それを補うようにコストが掛けられ、最新技術も多く採用されたが、かつてのハリアーに表現されていたテイストとは異なることを訴えるユーザーも少なくはない。

 

 

DSC_0849さて、そんな現行型ハリアーだが、その人気はかつて以上といったところもあり、デビュー直後は納車までかなり待つ事態になったほど。

そして、デビューから4年目を迎えてマイナーチェンジを行った。その内容は、内外装に手を加えたこと、先進安全装備や快適装備を充実させたことのほか、注目はレクサスNX、クラウンほかに搭載されている2.0Lガソリンターボエンジンモデルを追加したことにある。

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今回は、その2.0Lガソリンターボエンジンを搭載した最上級グレードPROGRESS Metal and Leather Package 4WD に試乗した。

気になるのは直噴ターボ化を果たしたエンジンフィーリングだが、パンチを強めたというよりは全域におけるトルクを太くした、つまり、大排気量エンジン的であり、意外と思われるかもしれないが扱いやすさがある。ターボラグの存在が大きいと感じさせることはなく、どの回転域からもアクセルを踏み込めば、力強い加速を披露する一方で、日常シーンにおける発進や渋滞におけるギクシャク感は皆無だ。

ハンドリングについてはマイナーチェンジ前モデルでも感じられた素直さがあり、前後に採用したパフォーマンスダンパーも手伝って、ロールが調えられているといった印象を受け、そこに日常での安心感とワインディングでの愉しさが上手くバランスされていることを確認できた。

DSC_0897ただし、乗り心地についてはフラット感を作り込んだこともあって、路面の凹凸シーンにおける音、振動が気になることがあった。それは、ちょっとした段差、マンホールにおける段差、さらには工事を繰り返したことによって作られた路面変化などで感じられるもので、ダイレクトにドンという音・振動が伝わってくる。リアシートに座ると特に強く感じられることから、235/55R18というタイヤサイズだけではなく、大きな入力に対してサスペンションが追従できていないところが残っている、そんな印象を受けた。乗り心地からキャビンに至るまで質感に富んでいるモデルだけに残念でならない。

 

ターボモデルの価格帯は、ハイブリッドと2.0LNAガソリンの間に上手く収められている。これまではそこには大きな価格差があったため、よりハリアーを選びやすくなったとも言えよう。ちなみに、ハリアーの中でどれを選ぶかと訊かれたら、迷うことなく、このガソリンターボエンジンを選ぶ。理由は、使用燃料はハイオクとなるが、その燃料代を上回る愉しさにあふれているからだ。

DSC_0847国内専用モデルとして誕生した3世代目ハリアー。今回のマイナーチェンジでは、内外装に手を加えたほか、衝突回避支援パッケージToyota Safety Sence Pの装備、さらに2.0Lガソリンターボエンジン搭載などをトピックとしている。

 

DSC_0831アッパーグリルを薄く、ロアグリルをさらにワイドとすることで、トヨタのフロントデザインコンセプトであるアンダープライオリティをより強調した。フロントグリルはターボモデル専用タイプ。

 

DSC_0788ガソリンターボモデルには、スモークメッキ調加飾を施したヘッドランプユニットを採用する。

 

DSC_0783待望の2.0Lガソリンターボエンジンをハリアーにも搭載。最高出力は170PS/5200〜5600rpm、最大トルクは350Nm/1650〜4000rpm。全域でトルクフルであり、大排気量エンジン的なフィーリング。

 

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こちらもターボモデル専用となる、レッドステッチ×ディンプル加工が施された本革巻ステアリングホイール。

 

DSC_0799PROGRESSに標準装備される(ほかはオプション)T-ConnectSDナビゲーションシステムは、モニタサイズを9.2インチへと拡大し、視認性、操作性を高めた。

 

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Metal and Leather Packageの本革シートの表皮はプレミアムナッパを採用(レッドのステッチ入り)。フロントは快適温熱シート+シートベンチレーション、運転席は8ウェイ、助手席は4ウェイ式の電動タイプを採用。サイズ感、ホールド性に不足なし。

DSC_0813 ゆったりとしたポジションで座ることができるリアシート。ただし、乗り心地については路面が荒れたところではリアサスペンションが起因した硬さがあり、少々気になる。

 

DSC_0912高回転域までしっかりと回る2.0Lターボエンジンと素直さのあるハンドリングによって、スポーティテイストを手に入れている。マニュアル感覚でシフト操作ができるシーケンシャルシフトマチックを備えた6ATを組み合わせたことで、走りの愉しさをさらに高めてくれる。