【BACKWOODS】 宮島秀樹

2015.2.27

    • コラム
    • 三菱

「自助」のための強力なツール

 

最近、各地でマグニチュード5前後のちょっとした地震が頻繁に起こっており、あまりいい気分ではない。そんなこともあり、この時期にどうしても思い起こされるのが、いや決して忘れてならないのが4年前の3月11日に起きた東日本大震災だ。被災地では、震災がれきの撤去が昨春にほぼ完了し、生活インフラもかなり整備されたそうだが、復興の実感はまだ湧かないという被災者が多いという。仮設住宅や親類宅等で生活しなければならない避難者はまだ20万人以上もおり、福島第一原発に関しては暗いニュースばかり耳に入ってくる。復興の道はまだ志半ば、これからも引き続き支援が必要だ。

 

地震に限らず、日本は自然災害大国だ。昨年だけでも、首都圏を襲った大雪、広島や京都に甚大な被害をもたらした集中豪雨、火山災害では戦後最多の犠牲者を出した御嶽山噴火、そして超大型台風の襲来といった大きな自然災害が発生しているが、こうした自然災害に対して、被害を完全に防ぐことは不可能だ。特に広域に甚大な被害が及ぶ地震や台風においては、国や自治体による救助・救済活動がピンポイントですべてをカバーできる訳ではなく、またどうしてもタイムラグが生じてしまう。20日付の毎日新聞でこんな記事が掲載された。<国土交通省は20日、首都直下地震が起きた際、優先的に放置車両やがれきなどを撤去して緊急車両が通行できるようにする「道路啓開」の対象となる候補ルートを公表した。東京都心に向かう8方向別にそれぞれ3ルート(南東方向のみ1ルート)を設定。地震発生から48時間以内に、各方向で少なくとも上下各1車線を通行可能にすることを目指す>。これは、裏を返せば、最大で丸2日間、国や自治体による陸路での救助・救済活動が一切行われない可能性があるということだ。

 

災害に備えて2〜3日分の食料や物資を備えておけとよく言われるが、それを裏付ける記事であり、少なくともその間は、自分達で身を守らなくてはならないことが理解できる。よく国や自治体による救助・救済活動を「公助」、自分達が自ら命を守ることを「自助」というが、災害直後ではこの「自助」が極めて重要になってくる訳だ(ちなみに近隣が助け合って救助・救済活動・防災訓練などを行うことを「共助」というが、これはまず自助ができてこそ可能な概念だと思う)。

 

そこで4×4オーナーに知っておいて欲しいのが、4×4はこの「自助」において極めて強力なツールとなることだ。居住性の良さや積載性の高さが、避難生活や支援活動の大きなメリットであることは言うまでもないが、4×4はやはりその機動性の高さが大いに役立つのだ。筆者は、新潟県中越地震や東日本大震災の被災地取材で、普通の乗用車ではまず走行不能な、道路の亀裂や陥没、橋と道路の乖離、がれきの散乱や土砂崩れなどの現場を見て来たが、4×4ならば走れそうな状況もかなり多かった。緊急避難や火急を要するけが人の搬送など、自助や公助に大いに役に立つのは間違いない。また、ウインチやハイリフトジャッキ、牽引ロープ、そしてスコップといったレスキューツール類は、自車や他車のレスキューだけでなく、障害物の撤去にも有効だろう。前出の記事には<同省は首都直下地震で、放置されたり立ち往生したりする車両が国道だけでも計2万4400台に上ると試算。倒壊した建物のがれきや電柱なども道をふさぎ、多くの幹線道路で、支援物資を運ぶ車や緊急車両が通れなくなる事態を想定している。>とも書いてあるが、レスキューツールを搭載してある4×4であれば、自らがこうした放置車両となってしまう確率を減らせることはもちろん、放置車両や障害物の撤去でも役立つかも知れないのだ。そして実際、こうした災害時における4×4の有用性を認識して、山梨県地震対策四駆隊というNPO法人が既に地道な活動を行っている。なお、同法人の設立は2010年5月と東日本大震災前。まさに先見の明あり! である。また、東日本大震災では、かなり早い段階から、全国各地の四駆ショップや4×4クラブが各地に出かけ支援活動を行ってきたことは記憶に新しい。

 

ただし、4×4、そしてレスキューツールを自助に役立てるには、それを使いこなせることが必要だ。使い慣れた道具でなければ、いざという時に役立てることもできないだろうし、大きな危険が伴うからだ。まったくオフロードの経験がない人はもちろん、最近オフローディングしてないとかウインチが飾り物になってしまっている…なんていう人も、たまにはオフロードを走って、ちょっとスタックしてみる(?)ことをオススメしたい。年明け早々、地震調査委員会が首都圏の「30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を大幅に上方修正し、東京都庁で46%、横浜市役所と千葉市役所ではそれぞれなんと78%と73%となった。そう遠くない将来、あなたの愛車とオフローディングテクニックが命を救うことになるかも知れないのだから。

 

mit_12AC100Vコンセントは2か所に配置されている。ひとつは、センターコンソールボックスの後ろ側、そしてもうひとつはラゲッジルームの右側(3極タイプ)にある。