アジアクロスカントリーラリー2018

2018.9.16

    • タイヤ
    • トヨタ

飛翔への一助 〜「GEOLANDAR M/T G003」
 
Asia Cross Country Rally 2018
12th-18th August, 2018 THAILAND▶︎CAMBODIA

未舗装路の指定コースを走破しゴールを目指すクロスカントリーラリーにも特徴を持った
イベントがあるもの。
今回、紹介する AXCR(アジア・クロス カントリーラリー)は、アジア山間部の曲がりくねったコースと、ラインを外せばタイヤの半分以上が泥濘のウォーターベッドに埋もれ、行く手を遮られることが必至のトライアル要素を多く含んだ特徴的ラリーである。
果てしない砂漠や高速でガレ場に挑むことが目標といわれるアドベンチャー的ラリーと違い、
車両の改造はダート走行が満足できる程度で充分。ドライビング的には繊細さが求められる点、日本人ドライバー向きともいえる。
そうしたAXCRへの挑戦の容易さを手助けするのが「GEOLANDAR M/T G003」。
より上位入賞を求めるラリー・チャレンジャーのアイテムの一助になることは必至といえよう。

 



アジアの大地を2,000km駆け抜ける
今年で23回目を迎える伝統のAXCR(アジア・クロスカントリーラリー)は、8月12日タイ国の高級リゾート地パタヤでスタート・セレモニー。
 
全工程は2200km。公道を利用する移動セクション(リエゾン)は1100km、タイムを競うスペシャルステージ800kmの総延長1900kmで争われる。リエゾンといっても規定時間が定められ、またチェックポイント通過は必須で、ミスコースやポイント不通過となれば減点対象となるだけに、気を許すと大失点にもなりかねない。
 
8月13日。ホテルを出発した総参加車56台は、112kmのリエゾンを終え総距離197kmのSS1、SS2をアタック。SS後のホテルまでをもリエゾンとされ、ホテルにゴールしたところで1日の行程「LEG(レグ)」が終了し、この時点で順位が集計される。

 




「AXCRは、ボディーブローが蓄積してノックアウトされるイメージ…」
LEG-1で、多くの参加者から感嘆の声が上がったのは「TEAM GEOLANDAR」の塙郁夫/染宮弘和組。
 
世界有数のデザート・レース「BAJA1000」にも参戦している塙選手によれば、「BAJA1000は、パワーとスピードで攻めまくるデザート・レースのヘビー級の戦い。一方、AXCRは軽量級の戦い方で、コツコツとジャブやボディーを狙って執拗に攻めまくり判定勝ちを狙う感じです」
 
加えて「BAJA1000のコースでのトリプルコーション箇所は、車両がスッポリ落ち込んでしまうほどのクレバス・サイズの地殻変動溝や巨大な岩。ドライバーがワンミスで全損するイメージ。
AXCRはと言えば、畔道でのスタックも最初は容易に脱出しても、それが続々と襲ってくると、ボディーブローとなってダメージが蓄積して最後はノックアウトされやすいイメージですね」 とAXCRの難しさを語る。
 
その塙選手は、今回がAXCR挑戦2回目。タイ国内の農道が主戦場となる好天続きでドライ路面の序盤の速さは飛び抜けており、21番手からスタートしたのだがLEG-1終了時には4番手まで一気に浮上するほどだった。

 


AXCRが佳境を迎えたのは、カンボジアの国境を越えた終盤のLEG-4から。
国道以外は極めて細い畦道ともいえるコース。わずかに車線を外すと水田に飛び込むこととなり、ここに車輪を落とせば、タイヤが沈み込んで自力での脱出はほぼ不可能。
 
そうしたウォーターベッドと呼ばれる極度の泥濘地に埋没した車両を横目に、順位を上げていったのが竹野悟史/道畑勝博組。スズキ・ ジムニーが9位に浮上という離れ業を見せた。

 

トヨタ・ハイラックスを組み上げただけで船積みした塙選手は「結果的に準備不足で、レース中に初期トラブルに見舞われることにはなったが、AXCRは高性能の最新車両を持ち込む必要がなく、ポイントを抑えた車両を製作し、充分なサポート計画を立てれば日本人ドライバーの丁寧なドライビングは上位を狙える」と語る。

 

“G003” 過酷なラリーを無交換で走りきる
ラリー終盤、健闘を見せたのはタイ三菱エントリーのトライトン。
いすゞ勢の包囲網の中、Chamnon/Chonlanat組は総合2番手までポジションアップ。
 
路面状況は乾燥続きでパウダー上の滑りやすいコースと、ウォーターベッド区間が混在する中、GEOLANDAR M/T G003は、オールラウンドの強さを見せた。耐久性も充分で、日本からのエントラントの中には“G003”無交換で走り切ったチームも多かった。
 
今後、アジアクロスカントリーラリー参戦を希望する日本チームにとっては、実に心強いデータのなったのは確かである。

 

塙 郁夫/染宮弘和組:総合20位

 

GEOLANDAR M/T G003 装着車両の活躍


①総合2位 Chaman/Chonlanat(MITSUBISHI Triton)
チャンピオンに肉薄する走りで、総合2位を獲得
②総合9位 竹野悟史/道畑勝博(SUZUKI Jimny)
2日目以降ノーペナルティーの走りで、日本人最上位の9位を獲得
③総合11位 森田真一/澤田 健(SUZUKI Jimny)
最小排気量の軽ジムニーで大健闘
④総合13位 小西政敏/大藤眞弘(ISUZU D Max)
ドライ路面での速さが印象的
⑤総合14位 山本則博/辻本 隆/西川和久(TOYOTA FJ Cruiser)
15回の出場記録を持つ “あきんど号” は燻し銀の走りを披露
⑥総合18位 Wichawatl/Prakai(ISUZU Mu X)
⑦Jaras/Cyupong(TOYOTA Hilux Revo)

 


GEOLANDAR M/T G003