オフロード・ドライビング講座:VOL.1

2016.12.17

    • 四輪駆動車
    • Jeep

s_img_6477

ドライビング・ポジション

s_img_6160

 

腰の位置を決める

まず、腰が背もたれに当たるまで深く腰掛け、MT車ならその状態でクラッチを一杯まで踏み込み、膝が少し曲がる位置にシートをスライドさせる。こうすればオフロードで、安定したクラッチワークが可能になる。
s_img_6063AT車の場合は、フットレストに左足を乗せ、足を踏ん張って下半身をしっかりホールドできる位置までシートをスライドさせる。下半身が固定できないと、路面の凹凸で揺れる体に合わせてアクセル操作が狂いやすく、クルマの動きがギクシャクしてステアリング操作にも支障が出てしまう。

 

座面高調整が可能なシートなら、ペダル、ステアリング操作やヘッドクリアランス(頭上のスペース)に支障の出ない範囲でできるだけ高い位置に調整すれば、視点を高くすることができ、各方向直近の死角を減らすことができる。

 

腰の位置が決まったら、今度は上半身のセッティング。そのまま腕を伸ばし、ステアリングを10時10分の位置よりやや広めの位置で握り、肘の角度に充分な余裕ができる位置にリクライニング調整する。ここで「充分な余裕」というのは、具体的には肩を背もたれに押しつけた状態でステアリングの一番上を握り、肘に角度がつく状態だ。
2016121701このほか、テレスコピック、あるいはチルト調整が可能なステアリングホイールは、自分が操作しやすい距離、角度に調整し、ミラー類もポジションに合わせて微調整しておきたい。特にドアミラーは、後輪の接地部分が確認できる角度に調整しておくと便利だ。

 

これらのことに注意してドラポジを決めると、普段とっている姿勢よりだいぶ前寄りで起き気味の姿勢になるはず。しかし、オフロードではこれがベストなポジションとなる。

 

○正しい姿勢
s_img_6072シート位置は前寄り、シートバックは起き気味にすることで、膝と肘に適度な角度が生まれている。視線の位置は自然と高くなっている。

 

 

s_img_6228背もたれを起こすことで、エンジンフードも視界に入り、前方、左右方向ともよく見え、地形やの障害物が確認しやすい。

 

 

×悪い姿勢
s_img_6080背もたれが寝ていると死角が増えるうえに、肩からステアリングまでの距離も遠くなるため、障害物に出くわしたときのステアリング操作にも支障が出る。

 

 

ステアリングホイールの握り方

荷重がフロントに集中するヒルダウン時や、グリップのいい岩場等では、パワステ車といえどもステアリング操作はけっこう重くなる。こんな時ステアリングを正しく握っていなければ、力が入らない。

 

ただし、オフロードではいわゆる「キックバック現象」が起きやすいため、オンロードと同じステアリングホイールの握り方では危険なケースもある。キックバックとは、地形や障害物によってタイヤが強制的に方向を変えられ、結果としてステアリングが強い力で勝手に回される現象だ。最悪の場合、キックバックによって激しく回転するステアリングホイールのスポーク部分に指を弾かれ、骨折したり捻挫してしまうこともある。こういったトラブルを避けるためにも、ステアリングは正しく握らなければならない。

 

また、オフロードでは、操舵時に両腕を交差させない「送りステア(動画参照)」が基本となる。ステアリングホイールを内側から握って回す逆手ステア等もキックバックを受けたときや轍にハンドルを取られたときの修正が機敏に行えず、非常に危険なので厳禁である。

 

なお、これはオンロード/オフロードを問わず常識ではあるが、車内には動くモノを放置しないこと。車体の揺れによってブレーキペダルの下にモノが移動して挟まれば大事故の原因となる危険も…とは教習所でも教えることだが、オフロードでは極端な車体の傾きなどによってリアシートやラゲッジルームにあったモノまで運転席の足元にまで転がり込んでくるし、携帯電話や工具が顔面を直撃する…、といったことも普通に起きる。車内の荷物はキチンと固定し、常に整理整頓を心掛けたい。

 

 

○親指をステアリングの外側へ出すようにして握る。
s_img_6147親指をステアリングの内側に入れると、しっかり握ることはできるが、キックバックによる捻挫の危険もある。

 

 

2016121702×オフロードでは避けるべきステア操作3態(上から、親指内側掛け、逆手ステア、腕交差ステア)。いずれも路面からのキックバックを受けハンドルを取られたとき、態勢の立て直しに支障が出る危険あり。

 

 

たとえパワステ車といえどもキックバックは避けられない。親指は内側に掛けず、ステア操作は「送りステア」が基本。ただし、スプリント系のレース等、親指を掛けてガッチリ握らないとステア操作ができないケースもある。

 

 

文/内藤知己
写真/佐久間清人