日産 NP300 NAVARA 2

2014.10.3

    • 四輪駆動車
    • 日産

トラックを超えた洗練度。オフ性能も頼もしい!

201410031

試乗したのは、ダブルキャブ4×2の7速ATモデルとキングキャブ4×4の6速MTモデル。YD25型2.5リッター直4ディーゼル(最高出力190PS、最大トルク45.9㎏m)を搭載するタイ仕様モデルで、フロントサスがダブルウィッシュボーン式コイル、リアサスがリーフリジッドとなっている。

 

まず、最初にドライブしたのはダブルキャブ4×2の7速ATモデルで、オンロードメインの試乗となった。ボタン式のスターターをプッシュしてエンジンを始動。旧来のディーゼル車のようにブルンとボディーを震わせるような感覚はなく、最新の欧州ディーゼル車同様ジェントルな目覚めである。アイドリング時の車内の静粛性も良好で、ディーゼルノイズは大変低く、ステアリングを伝わってくるような不快な振動も皆無だ。アイドリング時のノイズは車外においてもよく抑えられており、気に障るようなガラガラ音ではなく、もっと乾いた感じの音である。

 

こうしたエンジンの洗練された印象はアクセルを大きく踏み込んでも変わらない。ディーゼルノイズは感じるものの、会話を遮るような音量・音色ではなく、吹け上がりも軽快だ。その一方、空荷状態で不用意にアクセルを踏み込むと、リアがホイールスピンしてしまうほどパワフル。豊かでフラットなトルクでグイグイと車体を引っ張っていく。

 

ピックアップには破格の装備といえる7速という多段ATのマッチングも良好だ。実にシームレスな変速で、ストップ&ゴーの多い市街地はもちろん、アップダウンの続くワインディングも快適にドライブできた。エンジンユニット前端がフロントサスの上にあるフロントミッドシップに近いシャーシーレイアウトとなっていることもあって、空荷状態でも前後荷重バランスはよく、ハンドリングも軽快。良好なブレーキ性能も相まって、下りワインディングもハイアベレージで安心して走れた。3,150㎜というロングホイールベースもあって、高速走行での安定性は抜群。フロントサスが従来型に対してソフトに設定されていることもあって、空荷状態でもリアサスがリーフリジッドであることを感じさせないゆったりした乗り心地だ。

 

トルクフルで静かなエンジンとトラック臭さを感じさせないサス設定で、ハイスピード走行も実に快適。

トルクフルで静かなエンジンとトラック臭さを感じさせないサス設定で、ハイスピード走行も実に快適。

 

キングキャブは観音開きの4ドア。後席スペースはミニマムで、実質的にはラゲッジスペースだ。

キングキャブは観音開きの4ドア。後席スペースはミニマムで、実質的にはラゲッジスペースだ。

 

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次はいよいよオフロードへ向かう。こちらはキングキャブ4×4の6速MTでの試乗だ。スポーティーカー並のギア数だが、トルクフルなエンジンゆえ街中では3〜4速固定でずぼらな運転もOK。頻繁なギアチェンジは必要ない。

 

市街地、ワインディングを抜け、いよいよ未舗装の林道へ。4×2から4H、4LOへの切り換えはダイアルスイッチの操作でOK。腹下220㎜のクリアランスがあるので、多少荒れている場所はあってもほぼノーケアで進むことができる。途中激しいスコールに遭い、かなりドロドロの場所を通ることになったがトラクションコントロールが作動することもなく、ノーマルタイヤ&4Hのまま余裕で通過できた。

 

林道コースは少々物足りない内容であったが、最後に本格的な障害セクションが用意されていた。試乗用に造られた人工セクションだが、斜度30°のヒルクライム&ダウンと激しいモーグル地形は、今ドキのSUVでは決して走破できないレイアウトだ。こうしたオフロードコースがしっかり用意されている試乗会は久しぶりで、新型ナバラの走破性に対する日産の自信が分かろうというものである。

 

ヒルクライム&ダウンでは、HSA(ヒル・スタート・アシスト)とHDC(ヒル・ディセンド・コントロール)の効果を実感。いずれもオフロードにおけるイージー&セーフティードライブのための心強い機能であり、HDCはブレーキ作動音が小さいのが印象的だった。

 

モーグルも、トラクションコントロールのおかげでライン取りに集中して走ることが出来る。独立懸架のフロントサスのストロークはそれなりだが、リーフリジッドのリアサスのストロークはなかなか優秀。ベストなラインを多少外しても、車体が不安定に傾くような状態は少ない。ホールベースはかなり長いが、実際のオフロードでもかなりの走破性を発揮するだろう。やはりここでも、トラクションコントロールの作動音が小さい。車体が前後に大きく傾く斜めの段差セクション超えでも、ボディーの軋み音やパネル類の擦れ音のようなものは皆無。ボディー、内装の建て付けもしっかりしている。もちろん、トルクフルなディーゼルの粘りも文句なしだ。

 

新型ナバラは、最近のSUVが目指してきた、オンロードにおける快適性とオフロードにおける走破性の両立、そして装備の充実を高レベルで図った意欲的なピックアップだ。こうしたピックアップの高級化は、北米市場では以前から進んでいたが、ナバラはそれらを含めて一躍トップに躍り出たと言える。噂では、このナバラベースのSUVモデルも開発中とのこと。快適性や高級さばかりを強調したヌルいSUVがばかり登場している昨今、しっかりした実用性と走破性をベースに持ったナバラのSUVバージョンならば、かなり魅力的だ。ピックアップは無理としても、こっちがでたら是非国内でも販売してもらいたいものだ。

 

ヒルスタートアシストは、坂の途中から再発進する際に車体を2秒間ホールド。不意のズリ下がりを防止する。

ヒルスタートアシストは、坂の途中から再発進する際に車体を2秒間ホールド。不意のズリ下がりを防止する。

 

ヒルディセントコントロールは、急坂で車速を7㎞/hにキープ。

ヒルディセントコントロールは、急坂で車速を7㎞/hにキープ。

 

ヒルディセントコントロールは、急坂で車速を7㎞/hにキープ。

ヒルディセントコントロールは、急坂で車速を7㎞/hにキープ。