YOKOHAMAジオランダー H/T-S インプレッション
2012.12.30
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タイヤ
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三菱
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走りの幅を拡げてくれる
アウトランダー×ジオランダーH/T-S
この10月のフルモデルチェンジで、先進の安全性と環境性能を向上させ、1グレード上の上質なスポーツSUVへと進化した三菱「アウトランダー」。乗り味も洗練され、街中や高速道路のクルージングは、いっそう快適なものになった。
しかし、今回のモデルチェンジで、少し物足りなかったことがある。それは、アウトランダー自体のキャラクターが、よりオンロード志向に寄ってしまったとい うことだ。今回4WDシステムも進化し、従来の2WDモードが「エコ4WDモード」に変わるなど、制御がより緻密になったのだが……。
オンロード志向の強まりを何より象徴するのが、NEWアウトランダーに採用されるタイヤだ。全車、225/55R18という、ロープロファイル・サイズを 採用。それはいいとしても、純正タイヤ自体の志向が、あまりにもオンロード寄りすぎるのだ。もちろん、オンロードの快適性や静粛性、低燃費性を考慮するゆ えだが、この浅いトレッド溝、パターンでは、ちょっとした林道に入り込むのもためらわれる。オンロードの良さも残しつつ、もう少しオフロードでも安心でき るような、そんなタイヤはないものか……。せっかくの新しい、アウトランダーの4WDシステムを生かすためにも。
そこで、たとえばこんなタイヤはどうだろう? 4×4&SUVタイヤのベストセラーブランド「ジオランダー」シリーズのHT(ハイウェイテレーン)モデル、『ジオランダーH/T−S』だ。
今回のアウトランダーに限らず、今、4×4&SUVカテゴリーのクルマは、オフロードよりオンロード性能を重視したモデルが主流だ。そんなクルマたちにふ さわしいタイヤを考えてみると、一般的に4×4用とされるAT(オールテレーン)やMT(マッドテレーン)は、必ずしもベストな選択とは言えなくなってき ている。ただ、だからといってオンロードばかりを重視していいのか? というと、それも疑問が残る。4×4&SUVというクルマを選んだユーザーは、残る 1%の部分でもオフロードや悪天候時にも安心してドライブしたい、そんな思いがあるのではないか? 純正タイヤに対する不満も、実はそんなところにあった りする。
そんなわけで、早速NEWアウトランダーにジオランダーH/T−Sを装着、街乗りから高速道路、ダート走行までテストドライブを愉しんでみることにした。
第一印象は、乗り味がとにかくしなやかなこと。欧州マーケットも意識したアウトランダーは基本的に乗り心地が引き締まった、硬質な感じなのだが、それが H/T−Sを履くことで、少しマイルドになった気がする。パタンノイズは、元々純正が優れているだけにH/T−Sに替えて目立ってよくなった、とは言えな いかもしれないが、より快適な乗り味にふさわしい静粛性の高さが実現されている。
一方、少しスポーティに走らせてみると、コーナリング時の接地感の高さが確認できた。コーナーの続くシーンでもアウトランダーの完成度の高い4WDシステ ムと相まって、安定した挙動を提供。純正では少々心もとないS字の切り返しも、ハンドリングのレスポンスがH/T−Sのほうがいい分、安心して走っていく ことができる。
さらに、アウトランダーの4WDシステム「4WD LOCK」モードを選んで少し荒れた、尖った石の目立つオフロードにも踏み込んでみる。実はこんなとこ ろに踏み込める勇気を持てるのが、H/T−Sの何よりの魅力。サイドウォールにもしっかり剛性が確保され、純正のようなバーストの恐怖にさらされることが ない。本格的なダート走行は、同じジオランダーのATやMTタイヤに譲るところだが、あくまでオンロードを快適にこなしながら、アウトドアレジャーを楽し むレベルのオフロードなら、H/T−Sはベストな選択といえるだろう。
ちなみに、アウトランダーといえば標準車とともに、PHEV(プラグインハイブリッド)仕様もデビュー。より環境性能を意識したSUV、とイメージ付けら れたが、ジオランダーにも横浜ゴムの自社環境指標「ブルーアース・コンセプト」を満たしたエコタイヤ『ジオランダーSUV』が存在する。PHEVとエコタ イヤ、この組み合わせの展開も、今後楽しみにしておきたい。