YOKOHAMAジオランダーM/T+ インプレッション

2012.7.31

    • タイヤ
    • Jeep

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オフロード4WDのルーツともいえる、ミリタリーJeepの血統を受け継ぐのが、Jeepラングラー。現行モデルのJK型は、Jeepならではのワイル ド&タフなルックスに、4ドアロング車のユーティリティも兼ね備えた「アンリミテッド」も設定。これまでショートホイールベースのJeepに手を出しにく かったファミリーユーザー層にもアピールしながら潜在的なJeepファンをも掘り起こし、ここ日本でも販売的に成功を収めることとなった。

 

そんなJKラングラー・アンリミテッドのユーザーたちは、カスタマイズ指数の高さでも知られている。車高を上げて、さらに大径のタイヤを履かせる、あるい は前後にヘビーデューティなバンパーを装着し、いっそうワイルドなJeepを演出する…。もちろんそれは、見た目だけでなく、シリアスなオフロード・ パフォーマンスを向上させる上でも、有効なものだ。

 

とくにカスタマイズメニューで注目したいのが、タイヤのコンバートだろう。純正採用されるのは、Jeepといえどもオールシーズン、あるいはオールテレーンタイプで、Jeepのルックスにはオトナしすぎる。また十分なオフロード性能も発揮できないだろう。

 

しかし、と言ってトラクションタイヤのような、オフロードオンリーを考えたタイヤを履かせるのも考えモノだ。たしかに見た目はアグレッシブかもしれない が、普段乗り…つまりオンロードの乗り心地が失われるのは間違いなく、これでは逆にアンリミテッドの良さを損なうことになる。どこかにワイルドなルッ クスとオンロードの快適なトランスポート性を両立させる、そんなタイヤはないだろうか…。

 

そこでオススメしたいのが、4WD & SUV専用タイヤ「ジオランダー」のフラッグシップモデル「ジオランダーM/T+」だ。オン&オフ、オールマイティーなオールテレーンタイプ(A /T-S)や、オンロード重視のハイウェイテレーンタイプ(H/T-S)など、ジオランダー・シリーズはラインナップも充実しているが、このM/T+は マッドテレーンタイプ。ロックやガレ場、マッドなど、タフなオフロードステージを走破すべく開発されたモデルだ。

 

そのルックスは、強靱な大型ブロックが方向性のあるパターンにレイアウトされた、荒々しいもの。ショルダーからサイドにかけてのプロテクターデザインも、 ビジュアル的なインパクトを与えている。JKラングラーのワイルドなアピアランスを、さらに力強く、足もとから演出してくれる。またサイズラインナップ も、純正サスペンションで履くことのできる265サイズから、285サイズ、35、37インチサイズなど、リフトアップ・カスタムに対応したものまで充実 している。まさにJKオーナーには選びやすい、オイシいバリエーションだ。

 

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さて、ではその実力のほどは?

まず、オフロードのポテンシャルアップは言うまでもないだろう。荒々しいトレッド、そしてショルダーサイドは確実に泥、そして岩を捉え、強力、かつ確実な トラクションを発揮してくれる。Dan2グルーブなど排土性を考慮した設計は、とくに深いマッドセクションでは有効で、転がるたび常にベアなトレッドを保 持し、確実な舵の効きも確保。モーグルのようなシーンでもタイヤがズレ落ちてしまうようなことを最小限にとどめる。

 

また堅牢なサイドウォールは、エア圧を下げ、さらにトラクションを稼ぐ走りにも対応。その実力は、本格的なトラクションタイヤ以上、といっていいだろう。

 

一方、オンロードのM/T+は……実は、こちらのほうに、このタイヤの本領があるといっていいだろう。印象的なのは、このゴツいルックスであるに もかかわらず、乗り心地はゴツゴツ感がなくフラット。しかもタイヤノイズもまったく気にならない。通常、トラクションタイヤやマッドテレーンタイヤだと、 ここまでオンロードの快適さを求めることはできない。

 

またコー ナリング時のハンドリングも的確かつ自然だし、グリップも安定している。マッドテレーン最大の弱点であるウェット路でも不安はない。いわゆるオールテレー ンタイヤと、その乗り味はほとんど違わないものだ。これなら同乗したファミリーからも、クレームが出ることはないだろう。

 

見た目はワイルドなのに、中身……つまり乗り味はコンフォータブル。もちろん、いざとなればオフロードタイヤとしての実力を発揮してくれる……。ジオランダーM/T+に履き替えれば、JKのポテンシャルは何倍にも向上できる、そう断言してしまおう。

 

今回、50㎜アップのJKアンリミテッドに組み合わせたサイズは35×12.50R17。 少ないリフト量でもこの大径サイズを履けてしまうJK。M/T+には37×12.50R17という超大径サイズも用意されている。

今回、50㎜アップのJKアンリミテッドに組み合わせたサイズは35×12.50R17。
少ないリフト量でもこの大径サイズを履けてしまうJK。M/T+には37×12.50R17という超大径サイズも用意されている。

 

大きなブロックが32度の方向性パターンに配置された、トラクションの強さを物語るトレッド。センターのDan2グルーブなど、排土性を高めるアイデアも満載。さらに タイヤのベースになるコンバティブルコンパウンドは、オフロードでの力強さとオンロードでの快適さを両立する。

大きなブロックが32度の方向性パターンに配置された、トラクションの強さを物語るトレッド。センターのDan2グルーブなど、排土性を高めるアイデアも満載。さらに タイヤのベースになるコンバティブルコンパウンドは、オフロードでの力強さとオンロードでの快適さを両立する。

 

ショルダーブロックのえぐりを大きくし、サイドの泥はけ効果をキープ。プロテクション効果も発揮し、荒れた路面での耐カット性を高めている。もちろん、ビジュアルインパクトもご覧の通りだ。

ショルダーブロックのえぐりを大きくし、サイドの泥はけ効果をキープ。プロテクション効果も発揮し、荒れた路面での耐カット性を高めている。もちろん、ビジュアルインパクトもご覧の通りだ。

 

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アグレッシブなルックスに似合わず、オンロードの走りは快適そのもの。MTタイヤならではのゴツゴツ感をほとんど感じさせず、タイヤの唸り音みたいなもの もない。ファミリーユースにも安心して選べるタイヤだ。さらにオンロードのグリップもマッドテレーンのレベルを超えている。ハンドリングは素直で、ときに コーナーを攻めるような走りも可能。ウェットでの安定感もMTタイヤ随一だ。

 

GEO_タイガー<Tigerパッケージ>
今回のモデル車両は、Jeepスペシャリスト「タイガーオート」のコンプリートカー。サスペンションはJAOSのキットで50㎜アップ。
TJの頃から「タイガーパッケージ」に採用していたというジオンランダーとは、長い付き合いだ。タイガーオート山中常務曰く「グリップ力とオンロードでの 静粛性は素晴らしい。出来れば、17、18インチサイズのバリエーションをもう少し増やしてくれると、嬉しいですね」と語る。