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比較試乗:FORD EXPLORER vs BMW X3

SUV大国の王と
欧州発俊足SAV
気持ちいいのはドッチだ?

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長きに亘って北米でのSUVセールスナンバーワンを記録し、
日本でも累計30,000台以上を販売してきた
フォード・エクスプローラーがフルモデルチェンジした
その走りは歴代モデルと比較にならないほどイイ、と評判だ
そこで今回は走り自慢の欧州SAV、BMW X3と比べてみた
北米と欧州を代表するSUVの異色対決だ

文/田端邦彦 写真/佐久間清人

■大型化と軽量化を同時に実現
 まずは両車のプロフィールをおさらいしてみたい。
 今年5月にフルモデルチェンジし、1990年にデビューした初代から数えて5代目となったエクスプローラー。北米では14年間に亘ってSUVナンバーワンセールスを記録してきた、まさにアメリカンSUVの代表格だ。
 そのキャラクターは歴代モデルごとに全く異なるが、中でも今回の変更はとてつもなく大胆だった。先代の車格は全長4,930mm×全幅1,870mmと北米ではミドルクラスに属していたが、現行モデルでは全長5,002mm×全幅2,000mmにまでボリュームアップ。ランクル200を超え、シボレー・タホに迫る...ほとんどフルサイズと言っていいディメンションだ。
 これだけのサイズアップにもかかわらず、車重は2,170kg(リミテッド)と、国産ミドルクラス並みに留めているのがポイント。新たにモノコック構造のボディーを採用し、細部に至るまで徹底した軽量化を図った結果だ。この軽量化に合わせ、エンジンも一新。従来の4リッターV8&4.6リッターV8から、新たに開発した3.5リッターV6へと大胆な変更を行っている。しかも、エンジンを"横置き"に搭載したFFベースのシャーシーだ!
 ベストセラーSUVならモデルチェンジもキープコンセプトで...というのが一般的なロジックだが、エクスプローラーは違った。アメリカンSUVと言えば大排気量V8、トラック由来のラダーフレーム構造...という常識を大胆に打ち崩してきたのだ。

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エクスプローラーに搭載される3.5リッターV6エンジン。最高出力294PSリッターというスペックは従来型の4.6リッターV8に匹敵する。


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ボディーサイズを大幅に拡大したにもかかわらず、従来型比180kgもの軽量化(北米廉価モデルでの比較)を実現した新型エクスプローラー。


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サスペンション構成はフロント・マクファーソン式ストラット、リア・マルチリンク式。X3もコレに近い形式だ。


■BMWの技術力をフル動員したSAV

 対するBMW X3は2004年にデビューして以来、全世界で60万台超のセールスを記録したBMWの大ヒット作。今年3月に2代目F25型へとフルモデルチェンジした。
 新型エクスプローラーに比べるとかなり小振りで比較対象にならないように見えるが、全長こそ短い(4,650mm)ものの、全幅については1,880mmとなかなか立派なサイズとなっており、実に従来型エクスプローラーのソレを上回っているのだ。これは見た目の大きさが、いかにスタイリングに影響されるか、またSUV全体がこの数年でいかに大型化しているかを改めて認識させられる事実だ。
 さて、前号のアプリでは新型X3の3リッター直6NAモデル「xDrive 28i」の試乗記をお届けしたが、今回駆り出したのはツインターボを装備し、最高出力306PSを記録する「xDrive 35i」。
 ダンパーの減衰力を路面状況に応じて自動的に調整するダイナミック・ダンピング・コントロールやブレーキとxDriveの前後駆動力配分を制御してコーナリング特性を向上させるパフォーマンス・コントロール、さらに走行状況に応じてステアリングギア比を可変させるバリアブル・スポーツ・ステアリング機能付き電動パワーステアリングなどなど、先進技術てんこ盛りのハイテクSAVである。

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「xDrive 35i」には3リッター直6ツインターボ・エンジンを搭載。アイドリングストップ機構も装備される。


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ステアリングギア比を可変させるバリアブル・スポーツ・ステアリングとともに、ZF社製電動パワーステアリングも新採用。フリクションロスが少なく、ダイレクトなステアリングフィールを実現している。


■世界中のSUVが手本にしたい、その走り
 X3が持つ運動性能の非凡さについては、もはや疑う余地もない。今回はドライビング・パフォーマンスに注目するためワインディングとダートコースで試乗したが、その走行感覚はスポーツティ・クーペを操っているとしか思えないのだ。ボディー全体がひとつの塊に感じられる高い剛性感、アクセルワークひとつでノーズの向きを自在に変えられるシャープなハンドリング、xDriveをはじめとする電子制御の自然な介入...どれをとっても至高の域に達しており、次世代SUV界の指標とすべきものだ。28iの試乗時に感じたエンジンのピーキーさも35iでは全く感じられず、扱いやすさと力強さが際立っていた。いくらエクスプローラーが進化したとはいえ、コレと比べるのは少々酷かもしれない...と正直思った。

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■巨躯を軽々と操るダイナミックさが快感
 だが、新型エクスプローラーでオンロードのコーナーをひとつ走り抜けた瞬間に、先程の心配が希有だったと分かった。乗り味はX3に比べてソフトでロールもそれなりに大きいが、旧来のアメリカンSUVに感じられた腰高感が全くなく、挙動が極めて安定しているのだ。ステアリングからはFFベースの4×4特有の"強い直進性"が感じられるものの、安心感という意味ではFRをベースとした従来型より圧倒的に優れている。道幅の狭いワインディングでは巨大なボディーサイズを意識せざるを得ないが、この車格にして、これだけ大胆にステアリングを切り込めるSUVは他に存在しないだろう。

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「サンド」「マッド&ラット」「スノー」「ノーマル」と4つの走行モードが選択できるテレイン・マネージメント・システム。


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6速ATにはマニュアルモードも装備。MレンジはDレンジの下に配置されている。走行中頻繁に操作する、というよりも下り坂などでエンブレを利かせるためにある...と理解した方が良さそう。


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新型エクスプローラーのサイドシルはかなり厚みのある設計。ボディー剛性を高める工夫だろう。実際、スポーティーに走っても剛性感に全く不満はなかった。



■求める理想は違えど頂点を極めた2台
 グリップの良い舗装路ではアグレッシブな走りも辞さないエクスプローラー。だがダートのような低ミュー路においては、極安定志向となる。ABSとスロットルを制御してコーナリングの挙動を安定させる「カーブコントロール」が積極的に働き、オーバーステアやアンダーステアが出る前に速度を抑制、安全に曲がらせてくれるのだ。こうした制御は極めて合理的。急激な挙動を起こすことは一般的に「回避すべき事態」であり、移動中、不意に凍結路や未舗装路と出くわした時でもパニックにならずに済む...。
 ちょっと待て。するとエクスプローラーはオフにおいて、ただ大人しいだけのクルマだろうか? 試しに「テレイン・マネージメント・システム」の走行モードを「ノーマル」から「サンド」に切り替えてみると、走りの質が豹変。コーナー手前で曲がるキッカケさえ与えれば、後はアクセルコントロールだけでグイグイ内側に切り込んでいく、アグレッシブな走りへと変わった。レスポンスの良いV6エンジン、1〜2速のギア比が低いATもファンなドライビングに貢献している。
 普段の走りは安定志向。だが、その気になればオフやワインディングでも遊べる素養を持ち合わせているのだ、このクルマは。
 さて、今回比較試乗したX3とエクスプローラー。サイズも走りの方向性も全く異なる2台だけに、単純に甲乙付けることはできない。だが、「SUVのスタイルは欲しいけれど走りはパッセンジャー同等でなきゃ嫌だ」という人にはX3が適任だろう。刺激の強さではオンロード志向SUV界の白眉と言える。
 逆に"SUVであることの醍醐味"を追求するなら新型エクスプローラーをお勧めしたい。大らかさや余裕ある車内キャパシティなどアメリカンならではの美点を残しつつ、洗練された走りを実現しているところに真価がある。

FORD EXPLORER
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プロジェクター式ヘッドライトのベゼルには、サリ気なくEXPLORERの文字が。こうした遊び心はいかにもアメリカン!


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リアビューではボディーサイドにまで回り込むLED式テールランプが印象的だ。


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ウインカー内蔵ドアミラーにはサイドビューカメラを搭載。ミラー自体の投影面積が大きく、視認性は高い。


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タイヤサイズはリミテッド、XLTとも245/60R18。


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前後シート、サードシートとも十分な居住性を持つ車内。ボディー自体の拡大に加え、キャビンフォワードとしたパッケージの効果も大きい。

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宇宙船のコクピットのような未来的デザインを採用したインパネ。

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コンソール中央のモニターはドライバー・コネクト・テクノロジー「MyFord Touch」としてエアコンやオーディオを感覚的に操作できる。リアビューモニターも兼ねる。


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0km/hが真下となる配置のスピードメーター。左側にはフューエルゲージや前後トルク配分が、右側にはAV機器や気温などの情報が表示される。


BMW X3
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従来型に対して大型化されたBMW伝統のキドニーグリル。バンパーのデザインもより逞しい印象となった。


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リアコンビランプにはリアフォグも内蔵。最近のBMWではオーソドックスなデザイン。


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xDrive 35iに標準装備されるタイヤサイズはフロント245/45R19、リア275/40R19と後輪を極端に幅広とした設定。いずれもランフラットだ。


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従来型から後席の幅、足下スペースを約20mm拡大。居住性は従来型よりも格段に向上した。前席シートはゆったりとした作りだが、ホールド性も高い。


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いかにもBMWらしい、ドライバー・プライオリティなインパネの風景。

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ステップトロニック付き8速ATはジョイスティックのように操作する。ステップトロニックの操作性は良いが、8速もあるだけに咄嗟に何速に入れるべきか悩む。Pレンジはプッシュボタン操作だ。


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ナビなどを感覚的に操作できるiDriveは便利な機構。レスポンスが抜群に早く、操作にまったくストレスがない。


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X3のリアビューモニターは俯瞰モードつき! クルマを真上から眺める視点なのだ。


SPECIFICATION/FORD EXPLORER LIMITED
■全長×全幅×全高:5,020mm × 2,000mm ×1,805mm ■ホイールベース:2,860mm■トレッド(F/R):1,710mm/1,720mm ■最低地上高:265mm ■最少回転半径:5.8m ■車両重量:2,170kg■乗車定員:7名 ■エンジン形式:水冷V型6 気筒DOHC24バルブ ■総排気量:3,495cc ■圧縮比:10.8  ■最高出力:216kW(294PS)/6,500rpm ■最大トルク:345Nm(35.2kgm)/4,000rpm ■燃料/タンク容量:レギュラー / 70ℓ ■駆動方式:アクティブトルクスプリット式4WD ■トランスミッション:マニュアルモード付き6速AT ■変速比(1速/2速/3速/4速/5速/6速/後退):4.484/2.872/1.842/1.414/1.000/0.742/2.882 ■最終減速費:3.390 ■サスペンション F:マクファーソン・ストラット式コイルスプリング R:マルチリンク式コイルスプリング ■ブレーキF:ディスクR:ディスク ■タイヤ:245/60R18 ■価格:5,300,000円 ■問い合わせ先:フォード・ジャパンhttp://www.ford.co.jp/

SPECIFICATION/BMW X3 xDrive 35i
■全長×全幅×全高:4,650mm × 1,880mm ×1,675mm ■ホイールベース:2,810mm■トレッド(F/R):1605mm/1,600mm ■最低地上高:210mm ■最少回転半径:5.7m ■車両重量:1,900kg■乗車定員:5名 ■エンジン形式:水冷直列6 気筒DOHC24バルブ・ツインターボ  ■総排気量:2,979cc ■圧縮比:10.2  ■最高出力:225kW(306PS)/5,800rpm ■最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1,200〜5,000rpm ■燃料/タンク容量:プレミアム / 67ℓ ■駆動方式:xDrive 4WD ■トランスミッション:マニュアルモード付き8速AT ■変速比(1速/2速/3速/4速/5速/6速/7速/8速/後退):4.714/3.143/2.106/1.667/1.285/1.000/0.839/0.667/3.295 ■最終減速比:3.385 ■サスペンション ダブル・ジョイント・スプリング・ストラット式コイルスプリング R:5リンク式コイルスプリング ■ブレーキF:ベンチレーテッドディスクR:ベンチレーテッドディスク ■タイヤ:前245/45R19/後275/40R19 ■価格:6,940,000円 ■問い合わせ先:BMW Japan http://www.bmw.co.jp/