【BACKWOODS】 宮島秀樹

2016.3.25

    • コラム
    • 国産メーカー
  •  3月ももう終わりだが、やはりこの月に思い出すことと言えば、3・11東日本大震災だ。この震災では、津波によって未曾有の被害が出たが、山間部や都市沿岸部でも道路や建物の損壊がたくさん起きた。そんな震災後間もない被災地に行って実感したことは、やはりオフロード四駆の頼もしさだ。


3・11にあらためて思ったこと

筆者は、新潟県中越地震と東日本大震災の被災地に、それぞれランクル70とジムニーで取材に出向いたことがあるが、山間部では道路の陥没、路肩の崩落、崖崩れなどが至る所で発生しており、都市部でも液状化による道路の大きな湾曲や段差の発生。橋と道路の継ぎ目のズレなどが起きていた。また、地盤地沈下によって、満潮時には冠水してしまう地域もあると聞いた。もし震災時、自分がそんな場所を車で走っていたとしたら、オフロード四駆であればやはり安心感が大変大きかったと思う。普通の乗用車やスポーツカーではほとんど身動きできなかったかも知れないからだ。

 

 東日本大震災前までは、地震災害に関する警戒宣言が発せられたときや大地震が発生したときは、自分の車で避難することは禁止されていた。しかし、東日本大震災では、避難場所が遠く徒歩では間に合わない…、歩行困難者はどうすればいいのか? といった、徒歩避難の問題が炙り出されたのだ。そして、平成24年3月には、中央防災会議の防災基本計画の修正に合わせるかたちで国家公安委員会・警察庁防災業務計画が一部改正され、「津波から避難するためやむを得ない場合を除き、避難のために車を使用しないこと」と変更されたのである。つまり、津波から避難するためなら、車を使ってよいことになったのだ。

 

 しかしその一方で、宮城県山元町などのように、渋滞の発生により多くの人が津波から逃げ遅れてしまった事例もあり、震災以降、被災地や南海トラフ地震の被害が想定される地域では、内閣府の中央防災会議や自治体を中心に、震災時の自動車による避難方法やそのルール作りが検討されている。

 

 こうした現実に即した対応は高く評価すべきだろう。とはいえ、せっかく自動車避難の素晴らしいマニュアルが出来上がっても、”車そのものが地震に弱かったら”、その意義も大きく低下してしまうのではないかと思う。先に述べた国家公安委員会・警察庁防災業務計画の改正では、「津波から避難するためやむを得ず車両を使用するときは、道路の損壊、信号機の作動停止、道路上の障害物等に十分注意しながら運転すること」という文言も追加されている。これは、内閣府、気象庁、総務省消防庁による「東日本大震災における避難行動等に関する面接調査」で、車で避難した人たちが、避難の際の障害として「車の渋滞」に次いで「地震による道路の被害や道路上の瓦礫など」を多く挙げたことを踏まえてのことだと思う。停電による信号機の滅灯や車両集中などによって発生する「車の渋滞」には、オフロード四駆でも避けがたいケースが考えられるが、それでも緊急時には中央分離帯や路肩の段差を乗り越えて新たな避難ルートを開拓することも可能だろうし、少なくとも「地震による道路の被害や道路上の瓦礫」に対しては、オフロード四駆の方が大変有利である。これは冒頭で述べたように、被災現場に行ってみて筆者が実感したことだ。

 

 クロカンできる場所も少ないし、燃費も悪いし、日本にオフロード四駆なんて必要なの? なんて言う人は少なからずいる。しかし、オフロード走行好き、四駆好きではなくとも、地震、台風、集中豪雨など、自然災害の多い日本においては、オフロード四駆に乗ることはとても意味のあることだと思う。
20160325k少しでもオフロード走行が考慮されている四駆であれば、その走破性は普通の乗用車よりも格段に優れていると言っていい。しかし、どんなに優れた道具であっても、使い方を知らなければ持っている意味がないし、安全に使いこなすには多少の経験が必要だ。四駆もまた然り。オフロード走行未経験の人は、一度でいいから少しハードな林道や初心者向けオフロードコースを、できればベテランオフローダーと一緒に走ってみて欲しい。それだけでも、いざという時に大いに役立つはずだ。