【BACKWOODS】 宮島秀樹
2015.6.30
-
-
コラム
-
その他
-
4x4MAGAZINEが、web・電子書籍化を進め始めてから約5年になった。モデムが〜とか、ADSLが〜とか言っていた、IT時代の黎明期(どれも死語ですな)からインターネットを活用してきた4x4MAGAZINEだが、日本でこうしたwebが活用され始めた当時は通信速度がひどく遅かったこともあって、動画はおろか、フラッシュ動画さえ、サイト上で使うとユーザーから「読み込みが重くなる」と怒られてしまうほど貧弱なネット環境であった。
それから光ファイバー通信の登場や通信端末の劇的な性能向上によって、インターネットはもはや日常的になくてはならないものとなった。それまでは、どちらかというと速報性を重視してきたネットメディアであったが、動画などの様々なプラグインを積極的に組み込めるようになり、web上のコンテンツ は実に多種多様となっている。プロ・アマを問わず、世界中から膨大な量の情報がリアルタイムで発信されており、小さなタブレット端末のモニターをタップす るだけで望みの情報がたっぷりと手に入るようになった訳だ。まさにメディアの世界は一変した。こうした中で、4×4MAGAZINEがweb・電子書籍に移行したのは、半ば必然だったと言えよう。
特に、動画、音楽、ゲーム、インタラクティブなコンテンツの掲載などは、紙媒体には決してマネできないものだ。その中でも、動画が果たしている 役割は特に大きいだろう。百聞は一見に如かずと言われるが、動画の説得力の高さはまさにそこにあり、サスペンションやエンジンといったメカニズム類の一連の動き、クルマの姿勢や挙動の変化、そしてそれらに付随する音など、従来の紙媒体ではどうしても伝えきれない要素を、よりダイレクトに伝えることができ る。4x4MAGAZINEでもYouTubeに専用チャンネルを開設したり、電子書籍に動画を取り込んだりして、その特性をどんどん活かしていきたいと 考えている。
という訳で、今更ながらあらためて様々なサイトにアップされている自動車関係の動画を見るようにしている。動画の見せ方や編集についても、もう少し深く勉強してみようという訳だ(パクるつもりはありませんよ!)。
そんな中で特に感心したのが、1930年代半ばに制作されたと思われる、アメリカのシボレーによる自動車技術の一連の解説動画だ(元はもちろん フィルム映画)。このシボレーの動画は、ディファレンシャル、フレーム、サスペンション、バキュームコントロール、トランスミッション&シンクロ メッシュなどに関するものがYouTubeにアップされており、今のところ誰でも見ることができる。実はこのシボレーの動画は、かなり以前からアップされ ていたものもあり、ディファレンシャルの動画などは実に600万回以上も再生されているほどなので、ご存じの方も多いだろう。筆者も何年も前に見ていたの だが、久しぶりに見てみたら、同じシリーズの動画がこの数年間で新たに何本もアップされていたのである。
それにしても、1930年代半ばとは、日本ではトヨタ初の量産乗用車と言われるトヨダAA型がやっと登場した頃であり、日本車のエンジンやデフ などは欧米車のデッドコピーのようなものであった時代である。その一方、アメリカではこのような映画が制作されていたのだから恐れ入る。あらためて、アメ リカの自動車文化の歴史の長さと奥深さを実感した次第だ。
…とウダウダと書いてしまったが、正直言って今回の記事は、このシボレーの動画を見て欲しいから書いたようなもの。以下にいくつかのリンク を貼っておくので、まだ見たことのない方は是非(デフの動画は必見)! 解説はすべて英語だが、画面を見ているだけでも言わんとすることはかなり理解できるはず。また、関連動画としてクルマのメカニズム解説動画が多数リスト アップされるので、これらをひとつひとつ見ていくのも楽しい。ただし、寝不足にはくれぐれもご注意を。