【林道ツーリング】群馬県/秋鹿大影林道他

2016.10.8

    • 四輪駆動車
    • スズキ

1609-mag-01秋鹿大影林道で見つけた支線にて。木々を縫うように走っていたのだが、最後は行く手を完全に阻まれてUターンを余儀なくされた。

あいにくの雨でも気分爽快!

林道は現在でも開設されているが、始めから舗装路だったり、未舗装路でも距離は短い場合が多い。10km以上のダートが続いている林道は、今や日本全国でも稀少な存在である。

 

そんな数少ない10km超のロングダートを2本も楽しめて、走り終えたらすぐに温泉に浸かれるという、林道ツーリング好きにとって理想的なエリアが群馬県の四万温泉だ。

 

四万温泉は上信越自動車道・月夜野ICから1時間ほどにある。そのアクセスのしやすさも大きな魅力と言えよう。我々も月夜野ICからのルートを選択し、まずは四万温泉に向かう途中にある『秋鹿大影林道』へ向かった。

 

『秋鹿大影林道』は県道53号と国道353号線を結んでいる道で、東西に走っている。林道の入り口は分かりづらい所が多いが、秋鹿大影林道は『奥平温泉 遊神館』を目安に行けばさほど迷うことなくたどり着けるだろう。『奥平温泉 遊神館』を通り過ぎ、数件の民家が立つ小さな集落を抜けて少し走ったら路面がダートに切り替わる。『秋鹿大影林道』の始まりだ。

 

手持ちの地図には「峠から東側は荒れた路面。西側も石が多い」と記載されている。実は4年前にも夏に訪れたのだが、確かに路面は荒れていた。こぶし大の石がゴロゴロ転がっていたり、タイヤを落としたらスタック必至の大きな溝が掘られていたりでかなりワイルド。場所によっては凸凹がきつい所もあり、ビギナーだったら「引き返そうかな…」と思うほどのレベルだったのだ。しかしその後に整備されたのだろう。深い溝は埋められ、凸凹も小さくなっている。とは言え、地質が土ではなく岩盤なので、路面には石が埋まっており固い。スピードを出すと体が激しく揺さぶられるので、のんびりと流す。

 

深い緑に覆われていて、森林浴には最適なのだが、あいにくと雨に見舞われた…。同行した山岡カメラマンと筆者はともに『超』が付くほどの晴れ男。降水確率80%でも雨が降ることは希なのだが、今回は大型台風が接近しているからさすがに晴れなかった。それでも激しい大雨にならなかったから良しとしよう!

 

崖崩れや路肩崩壊に遭遇しないことを願いながら緑の中を走る。渓谷沿いを走っているルートなので、雨でも爽快な気分を味わえるのが魅力だ。休日には四駆乗りや多くのライダーが走りに来る人気の林道だが、さすがに平日、さらには台風が近づいているからすれ違うクルマやバイクは皆無。雄大な自然を独占できて至福であった。

1609-mag-02沢沿いを走る秋鹿大影林道。雨が数日間続いていたために水量が多かった。河床が岩盤なので、水は濁っていない。

 

 

1609-mag-04もろい山肌だが、コンクリートで固めずに剥き出しのまま。このような自然のままの姿を見られるのが林道ツーリングの楽しみのひとつなのだ。

 

 

1609-mag-05発生から間もない崖崩れ現場。こんな大岩に直撃されたら…。この時も雨が降っていて崩れる可能性があったので、急いで走り抜けた。

やはり人気の宿は魅力がイッパイ!

秋鹿大影林道を走り抜けたらちょうど昼食時間となったので、取りあえず四万温泉へ向かうことにした。ここから温泉地にある飲食街までの距離はわずか3kmほど。この近さは大きな魅力だ。

 

人気のそば屋で昼食をとったら、甘党の山岡カメラマンが『食後のデザート』を催促してきたので甘味処を探してお茶をする。お腹は十分に満たされたし、雨で濡れたから早く温泉に浸かりたいところだが、チェックインまでまだ少し時間がある。そこで、翌日走る予定だった『高田山林道』をアタックすることに決定! ちなみに、林道の入り口までは2km足らず。もう1本のロングダート『万沢林道』も温泉地の中心部から2kmと離れていない。「玄関開けたら2分でご飯」ならぬ「ホテルを出たら3分で林道」なのだ。

 

『高田山林道』は四万温泉と反下温泉を結ぶ道。途中にある『わらび峠』までの約3.4kmがダートとなっている。眺望は楽しめないが、大自然を満喫できる走りやすい林道だ。

1609-mag-06四万温泉にある『中島屋』の山菜そば。そばは石臼挽き十割で、香りが良く、食感もGOOD! さらに具材の多さで人気を集めている。

 

 

1609-mag-07四万温泉から『わらび峠』までダートが続く『高田山林道』。これと言った特色はないが、緑が深くて大自然を感じさせる走りやすい道だ。

わらび峠との往復をのんびりと走ったところで、タイミング良くチェックイン時間が訪れた。さて、待ちに待った温泉タイムだ!

 

 

『四万温泉』だが、その名称は四万の湯が『四万(よんまん)の病を癒す霊泉』であるとする伝説に由来しているとか。四万川沿いに温泉街が広がっていて、日向見、ゆずり葉、新湯、山口、温泉口と5つの地区に分かれている。規模は大きいが、のどかな雰囲気に包まれているのが特徴と言えよう。

 

そんな歴史ある四万温泉の中から、今回選んだ宿は『柏屋旅館』。『12時チェックアウト』と『3つの貸し切り露天風呂』、『フレンドリーなスタッフ』、そして『ヘルシーで美味しい食事』が高い人気の要因だ。

 

3つの露天風呂は、湯船が樽型の『月乃湯』と、岩組みの『楓乃湯』、湯船のかまちに桧を用いた『櫻乃湯』と趣が異なっている。ややぬるめの温度で、つい長湯してしまうほどに気持が良い。筆者と山岡カメラマンは、言うまでもなく3つ全てに入った。

 

夕食は地元素材や旬の素材を活かした和食で、食材の味を引き立てる味付けが絶妙。ボリュームも良い具合で、満足度は非常に高い。そしてスタッフは皆明るくハキハキしていて気持が良いから、高い人気も納得である。一度訪れたらリピーターになる確率はかなり高いだろう。

1609-mag-08『柏屋旅館』の夕食には数種類の追加メニューが用意されている。中でも人気なのが『上州牛ステーキ』。150gのボリュームで、見た目から想像できるように「美味い!」。

 

 

1609-mag-09湯船が木の樽で造られている露天風呂『月乃湯』。風情あるロケーションと適度な湯温により、長湯したくなってしまうこと請け合い。

 

 

1609-mag-10四万街道沿いに建つ『柏屋旅館』。水量が豊かな四万川を流れる音と裏山の木々のざわめきが24時間BGMとして流れている。ゆったりとした雰囲気が漂い、リラックスできる宿だ。http://www.kashiwaya.org/

トータル50kmのダートを走破!

『秋鹿大影林道』は約13kmで数本の支線を合わせて約15km、『高田山林道』は往復で約7km、合計で22kmのダートを走った。そして2日目に走る『万沢林道』のダートは約14km。走り抜ければダートの合計は36kmになるのだが、西側の入り口近辺で工事をしているために取材時は通り抜け不可能となっていた。と言うことはピストンだからプラス14km、今回の旅は何とトータルで50kmものダートを走るのだ!

 

『万沢林道』は国道353号と繋がっているから、地図を持っていれば迷うことはないはず。道なりに進むと二岐に別れるので左を進む。右は観光スポットの『小倉ノ滝』まで伸びている林道だ。

 

『秋鹿大影林道』と同じく川沿いを走る道で、雨が降っていないからサイドウィンドウを下げて走る。自然が作りだした緑のトンネルの中に自然のBGM『川のせせらぎ』が響く。晴れていたら鳥のさえずりも加わるだろう。そんなロケーションに身を置いたら癒されないワケがない。川は5kmほどでなくなるが、深い緑はずっと続いている。

 

以前来た時は路面が荒れていたが整備されたのだろう、凸凹が浅くて走りやすくなっている。それでもこれまた『秋鹿大影林道』と同じように路面が固いので、スピードを出すと僅かな凸凹でも強い衝撃に見舞われる。やはり林道はのんびりと走るのが気持ち良くて楽しい。

 

情報通り、西側の入り口まであと僅かの所で工事による通行止めでUターンすることに…。でもまた14kmのダートを走れるので『残念』という気持は皆無。落ち込むどころか「まだまだ走れる!」と喜びながら方向転換したのであった。

 

歴史ある温泉と50km超のダートランが楽しめた今回の旅。雨にこそ見舞われたが、点数を付けるなら100点満点以上! 「また近い内に来よう!」と心に決めたのであった。

1609-mag-11約14kmのダートが楽しめる『万沢林道』。休日ともなれば多くの四駆乗りやライダーが訪れるメジャーな林道のひとつ。できれば平日に訪れたい。

 

 

1609-mag-12『小倉ノ滝』に向かう途中にあるコンクリート橋。2本の川が交わるので、このように立派な橋が造られたのだろう。珍しい風景だ。

 

 

1609-mag-13『北軽井沢』交差点にある喫茶店『カフェ ド フルミエール』の自家製ケーキ。中央は『ミラベル』という西洋スモモを使った、非常に珍しい(多分日本で唯一)ひと品。

 

 

文/内田 靖 写真/山岡和正