【紹介・試走】カローラスポーツ

2019.8.27

    • 最新クルマ事情
    • トヨタ
  • 1966年に日本のスタンダードモデルを提案したカローラも、今ではグローバルスタンダードへと進化を遂げた。   そのカローラの最新モデルが、セダン、ステーションワゴンよりも、ハッチバックというスタイルで昨年6月に […]


1966年に日本のスタンダードモデルを提案したカローラも、今ではグローバルスタンダードへと進化を遂げた。
 
そのカローラの最新モデルが、セダン、ステーションワゴンよりも、ハッチバックというスタイルで昨年6月に日本先行デビュー。かつては実用性やベーシックテイストをアドバンテージとしていたが、世代を経るごとにプレステージを感じさせるモデルへと成長した。
 
カローラスポーツと命名された、最新カローラ・ハッチバックモデルの本気度を探っていこう。

文章:吉田直志/写真:山岡和正

 

「先進」を搭載したカローラスポーツ

ハッチバックに求められる実用性やベーシック感といった基本性能を極め、さらにアッパークラスかのような乗り味や質感、そして装備を備えたモデルとして登場した「カローラスポーツ」。
 
国内ではカローラのハッチバックモデルを2000年代に入ってからランクス、オーリスと名称を変えており、確かに初めて耳にする車名ではある。しかし、カローラとスポーツというよく耳にするタームの組み合わせから、この車名「どこか聞いたことあるような…」と感じる読者が多いかもしれない。
 
さて、車名を一新してデビューを果たしたカローラスポーツだが、冒頭で述べたように、ただのハッチバックではなく「最新と先進」を多く採用していることをトピックとしている。
 
まず目に飛び込む最新のトヨタルックは低重心、タイヤの踏ん張り感を伝えるワイドデザインなど、ひと目で「スポーティー」を感じ取れるもの。実際に目にすると複雑な造形から構成されており、眺める位置によってさまざまな表情を見せ、そのひとつひとつに感心を覚える。撮影した車両のボディーカラーは新色のオキサイドブロンズメタリックで、落ち着いたテイストながら、メタリックによって煌びやかさも同時に合わせ持つという、新しさがあった。

 
インテリアには、もはやベーシックといった印象はなく「シンプル&スポーティー」。イマドキのテイストではあるが、ディーラーオプションとなる9インチナビのサイズが少々大き過ぎやしないかと感じた。ベゼル部まで含めてのことだが、スイッチ類や加飾パネルに頼らなかったデザイン、つまりは、周囲があまりにスッキリとし過ぎているがために、主役を超えた、少々重た過ぎる印象を覚えた。
 
シートはバケットテイストをデザインしたスポーツタイプを標準装備しているが、実際に座ってみるとサポート性を強く意識することはなく、心地良さを感じる。
 
個人的には室内ルーフまでブラックとなるインテリアカラーが気になった。確かに、このフルブラックインテリアカラーは、国内においてスポーティーさを求める人たちの多くに受け入れられる色合いだが、リアシートに座ると、外観を見た時の高揚感がトーンダウンしてしまうような気がした。これもまた個人差であり、評価における善し悪しではないので、気にされぬよう。
 
このカローラスポーツは他の最新トヨタ車同様にTNGAプラットフォームを採用しており、そのコンセプトは内外装デザインにとどまらず、特に乗り味の面でその恩恵を強く感じる。
 
パワーユニットは、プリウスにも採用されている2ZR-FXE型1.8Lガソリンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。エンジンラインナップは先代となるオーリス同様に1.2Lガソリンターボエンジンも用意され、こちらにはCVTのほか、エンジン回転数を整えてスポーティーかつ安心感を提供するiMT(6速)を設定している。ちなみに、駆動方式は基本FFとなるが、ガソリンモデルには4WDもラインナップしている。

 

その走りは、カローラという響きから感じるスタンダード感を大きく超えたものだった

取材車両のHYBRID G “Z”に標準装備されていたタイヤは225/40R18サイズで、ハンドリングにスポーティーを感じ取れたとしても、その分、乗り心地がかなり犠牲になっているのではないか、とテストドライブ前では想像していた。
 
しかし、試乗してみるとそういったマイナスな印象はまったくなく、むしろしなやかに動くサスペンション、路面をしっかりとトレースしているという安心感、それらがもたらす快適といえる乗り心地に驚いた。
 
これは欧州車のプレミアムCセグメントと呼ばれるモデルのフィーリングそのものだ。
 
ハンドリングも、40扁平タイヤ採用の恩恵は大きく、ダイレクト感がハッキリと伝わってくるが、それがクイック過ぎないところがいい。つまり正確かつナチュラルなハンドリングに仕立てられており、まさに自分好みのフィーリングだ。
 
この乗り味は、実はZグレードに設定されるAVS(メーカーオプション、ガソリンモデルは2WDのみ)によるところが大きい。
 
「AVS」とは路面状況や走行シーンに応じて、瞬時にショックアブソーバーの減衰力を切り替えることができるシステムで、トヨタブランドのFFモデルとしては初採用となるシステム。これによって高級車のような豊かな乗り心地と、素直なハンドリングをハイバランスさせていたのだ。
 
このAVSを装着すると走りに5段階のモードを提供するドライブセレクトモードも搭載される。その中からスポーツS+をセレクトするとパワーユニットだけではなく、ステアリングやサスペンションもスポーティーなセッティングとなり、表情をガラリと変える。
 
コーナーで、素直なハンドリングに感心していると、ロールを感じさせぬままにタイヤのグリップ感が伝わってくる。
 
写真を見るとお分かりの通り、実際にロールはしているのだが、ロールスピードがしっかりとコントロールされており、そう感じさせない。つまり、安心を感じたままにコーナーを、そして、気持ち良く駆け抜けていくことができる。
 
ちなみに、これ、ドライブセレクトモードでノーマルをセレクトしている時の話。
 
スポーツSをセレクトすると表情を変えるとお伝えしたが、それはやんちゃテイストではなく、素直さが極められ、そして、楽しさが増幅したといった印象があった。こういったフィーリングはAVSがあってこそではなく、そもそも素性が優れているからであり、カローラスポーツの素性の良さをAVSがさらに引き出している、というストーリーがそこからは垣間見えてくる。
 
そのほかカローラスポーツのトピックに、コネクティッドサービス、トヨタの予防安全技術「Toyota Safety Sence」の採用がある。
 
「コネクティッドサービス」は、車載通信機DCMを介してT-Connectを3年間無料で利用できるシステムで、クルマのメインテナンスからいざという時の緊急連絡といった安心・安全を、そしてオペレーターや音声対話を通じた快適・便利といったサービスを提供してくれるものだ。
 
50歳代のドライバーとしては、ここまでの手厚すぎるサービスが果たして必要なのかと思うところはあるが、サービス内容を見ると、LINEマイカーアカウントによりトークでナビ目的地登録ができるなど、イマドキな人々には歓迎されるサービスであることを知った。
 
「Toyota Safety Sence」については、プリクラッシュセーフティーを体験するようなことはもちろんなかったが(逆にあったら困る)、機能のひとつであるレーダークルーズコントロール(ACC)において、ドライバーの意思に近いドライブを行ってくれることに感心した。
 
それは先行車追従時に前を走るクルマが強い加速をし、明確に車間が開いていってしまうようなシーンでも、万が一の際には対応できる距離を保ちながら、できるだけ先行車両に付いていこうとしていたことだった。個人的にはACCに対しては自分のクルマになくてもいいかなと捉えていたが、今回の試乗を通して「これならあってもいいかな」と、思えるまでになっていた。
 
車名を新たにしたこのカローラスポーツに対して感じたことは、コンサバティブではなく、アグレッシブなスタンスであるということ。秋に発売となるセダン、そしてステーションワゴンモデルにも、おおいに期待が持てる!

 

全幅1,800mmまで、あと10mmにまで迫るボディーサイズ。国内では大きめと言われてしまうサイズ感だが、これ、グローバルなCセグメントハッチバックでは標準的なサイズとなる。

 

リアゲートはかなり傾斜しているが、トヨタエンブレム付近をつまみ出すような造形としており、ラゲッジスペースを確保。ここの造形は、実際に目にすると相当に出たり、引っ込んだりとしている。

 

フロントグリルに組み合わされるエンブレムは、カローラにかつて採用されていた花冠エンブレムをモチーフにしたテイストへと変更。

 

 

 

 

ZグレードにはBi-Beam LEDヘッドランプ、ロアグリルのフレーム部にサテンクロムメッキ(メッシュ部はガンメタリック半艶塗装)など、特別な設えが施されている。

 

 

 

 

リアコンビネーションランプの光源には、もちろんLEDを採用。バンパーデザインは他のグレードと変わらないが、Zグレードにはクロムメッキ加飾がプラスされている。

 

 

 

 

プリウスにも搭載されているパワーユニットを採用。ガソリンエンジン部では1.8Lで最高出力98PS、最大トルクは142Nmを発生し、モーターでは最高出力72PS、最大トルク163Nmを発生。

 

 

 

 

Zグレードに標準装備されるタイヤサイズは225/40R18。アルミホイールは切削光輝+ダークグレーメタリック塗装を施した、最上級モデルに相応しいテイスト。このタイヤサイズを選ぶなら(つまりZグレードを選ぶなら)AVSは是非とも組み合わせたいオプション。

 

 

4:2:4分割アジャスタブルデッキボード(メーカーオプション)は上段・下段の2パターンに設置することで利便性を高めてくれるアイテムだが、さらにボード部を持ち上げることでラゲッジルームを縦方向に4:2:4分割して使うことも可能。

 

シンプルなデザイン、ステッチなどにより質感を表現。メーター内には7インチカラーTFT液晶モニターを配置(Zグレードのみ)。装着されているナビは、ディーラーオプションの9インチタイプとなる。

 

Zグレードのフロントシートはスポーツタイプを標準装備。いわゆるバケットデザインとなっているが、座ってみるとタイト感はなく、適度に包み込まれる印象が強く、快適。
リアシートは、足下スペース、サイズともに不足ない。

 

サスペンションはとにもかくにもしなやかで、快適といえる乗り心地を提供してくれる。大きな、かつ突然の凹凸に対しては固さを感じさせることもあるが、不快とは縁遠いレベル。ただ、この18インチタイヤ、少々ロードノイズは大きめ。スポーツタイヤゆえに仕方ないところだが。

 

メーカーオプションのAVSはショックアブソーバーの減衰力調整を瞬時に行い、操縦性と乗り心地をハイバランスさせる。コーナーではロールを感じさせることなく、スタンスを安定させたままにコーナーを駆け抜けていく。操舵感は少々薄く、そのあたりで欧州モデルとの違いを感じるところ。

 

 

カローラスポーツ公式サイト

https://toyota.jp/corollasport/