【紹介試走】新型デリカD:5

2019.4.8

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5世代目モデルとして07年1月にデビューしたデリカD:5。ご存知のとおり乗用車系にも使われるプラットフォームをベースにして、制御のアシストもあってラフロード走破性を語れる、希有なミニバンだ。
そのデリカD:5が2月15日にビッグマイナーチェンジを行った。
前回は発表前だったこともあり、クローズドコースでのレポートとなったが、今回は、公道で試乗する機会を得た。

文章:吉田直志

 

「フルモデルチェンジ!?」と見紛う進化

最新型デリカD:5は、フロントマスクデザインを大幅に変え、何よりも新型を謳うため、フルモデルチェンジモデルを想像されたかもしれないが、実はビッグマイナーチェンジに留まっている。そのあたりは三菱の事情もあってのことだが、いずれにしても、その改良内容はフルモデルチェンジレベルであることは間違いない。
 
たとえば、ディーゼルエンジンは構成パーツの約50%を新規とし、そこに新開発の8速ATを組み合わせ、サスペンションはコイルスプリングの配置やダンパー径の見直しを行い、さらにはプリクラッシュブレーキシステムといった先進安全装備を採用。唯一無二たるオールラウンドミニバンというコンセプトを変えることなく、今の時代に通用するモデルへと進化を果たした。言い換えると12年分の進化を一気に果たしたどころか、先を見据えた内容となっている。
 
そのイメージを大きく変えたフロントマスクは、三菱のフロントデザインコンセプトである“ダイナミックシールド”をベースにして、縦型ヘッドランプを組み合わせた、三菱車として最新のデザインを採用。このフェイスを目にした時は、随分と垢抜けたなぁという印象を受け、改良前モデルのほうがカジュアル感、フィールドテイストがあってデリカらしいとも感じたが、幾度も目にしているうちに、これもありではないか? そう思えるようになっていた。
 
それもそのはず。このフェイス、見たことなかったがゆえに“どこか違う感”を覚えたが、実はシンプルなラインで描かれていることに気付くと、モダンであるとか、クリーンであるとか、そういったイマドキに求められる表現でデザインされていることに感心を覚える。ボディーサイズはデザイン変更により少々の変更があったが、それでも全長4800mm、全幅1795mm、全高1875mmという、取り回しに苦労せず、キャビンに広さを感じるサイズ感としている。
 
搭載されるパワーユニットは、改良前モデルでそのほとんどを占めていたというディーゼルエンジンのみで、駆動方式も4WDのみ。ちなみに、ガソリンエンジン搭載モデル、2WDモデルは、従来のスタイルのままに販売が継続されている。大改良を受けた2.2Lディーゼルエンジンは、型式や排気量は変わらぬままだが、そのフィーリングや燃費性能は大きくブラッシュアップされた。そこに新開発の8速ATが組み合わされ、ミニバンに求められるゆとりを提供している。
 
乗り味も、サスペンションのチューニングも相まって、しなやかさをさらに高めており、また、デュアルピニオンタイプの電動パワーステアリングの採用も相まって、心地よさを導き出す快適性と走りの愉しさを提供する操縦性をハイバランスさせている。まさにフルモデルチェンジレベルの進化だ。
 
今回の試乗コースは、オンロードのみとなったが、前回、路面が整えられていたクローズドコースで感じた印象は大きく変わることはなかった。ガソリンエンジン搭載車のようにストレスなく発進させたかと思うと、低回転域から発生する力強いトルクを十二分に活用しつつもトルク変動を感じさせぬままに、スーッと加速していく。そして、ワイドかつクロスレシオを与えられた8速ATがシフトチェンジを感じさせぬままに、的確なギアを選んでシフトアップし、法定速度へと導いていく。まさに大排気量のガソリンエンジン搭載モデルに乗っているかのようなフィーリングに似ていた。
 
ハンドリングは、とにかく剛性感がすこぶる高く、路面からのインフォメーションもしっかりと伝わってくる。ワインディングでは、ロール量を抑えるのではなくロールフィールを大切に作り込んでいる。コーナーではじんわりとボディーが傾きつつも、サスペンションがググッと沈み込んでしっかりと踏ん張るため、ドライバーは唐突な挙動を心配してステアリングを操舵する必要はないし、何よりも乗員は、そのロールフィールにすら快適性を感じ取れるほど。
 
高速走行でその進化レベルを特に強く感じた。ミニバンに求められるゆとり溢れるパワーフィールを手に入れたことで、本線への合流、上り坂、そして追い越し加速といったシーンで、ストレスを感じるようなことはまったくなかった。そして、懐の深さだけではなく、剛性感も手に入れたシャシーによって、直進安定性に長けていることもハッキリと感じ取れた。
 
もちろん、そのフォルムから風を受けると少々ステアリングを取られることはある。当日は強い南風が吹いていたが、それでも不安を感じさせるようなことはなく、むしろ、直進性についてはよく作り込んでいるな、と、感心したほど。8速ATのギアはワイドに設定されているため、8速は高速走行でようやく活躍の場を得るが、低回転域のトルクが太いためクルージングに不足はないし、いざアクセルを踏み込めば、即座にシフトダウンし、幅広いトルクバンドの中から最適な回転数を提供するギアをセレクトし、力強く加速してくれるため、ストレスを感じることはない。
 
オフロード走破性については前回お伝えしたように、傾斜のある斜面に少々の凹凸があろうとも、ボディーがヒットしない限りは対角線スタックに陥りそうになっても、果敢に上っていってしまうし、その際のアクセルコントロールは実にこなしやすくなっている。
 
というように、新型デリカD:5の走りのすべてはブラッシュアップされており、そのステップアップレベルは、改良というひと言では言い表せない。それは改良前モデルに乗っているユーザーが新型モデルを試乗したならば“クヤシイ”、そんなひと言を発してしまうほどものだ。そして、インテリアの質感や10.1インチナビを目にすると、彼らは買い替えたいという衝動を抑え切れなくなるはず。新型デリカD:5はそれほどの魅惑を備えている。

 

懐の深さまでも手に入れたサスペンション、大改良を行った2.2Lディーゼルエンジン、新規採用となった8速ATなど、今に求められる性能を与えられた新型デリカD:5。コーナーではロール剛性が大きく引き上げられ、タイヤをしっかりと路面にグリップさせ、挙動を乱すことなく駆け抜けていく。

 

シャシー性能を大きく向上させたことで、高速走行においては、特に直進安定性がすこぶる高くなったことが印象に残った。もちろん、ミニバン流のゆったりとした乗り味はあるが、不安に通じるような曖昧さはまったくない。低回転域でも高トルクを発生させるため、どの回転域からでも不足ない加速を披露する。

 

ホリゾンタルアクシスというインテリアコンセプトにより、水平基調を強調したデザインを採用。乗員に対して、車両スタンスが掴みやすく、パノラマ感を与えてくれる。ステッチを採用したソフトパッド、削り出した金属のような重厚さを感じさせてくれるセレクトモードダイヤル、立体盤面を採用したメーターなど、細かなパートにこだわりを見せる。木目調パネルには幹が2つに分かれるところにできる模様、サバ杢を描いている。

 

2.2Lディーゼルエンジンは、エンジン内部のフリクション大幅低減、燃焼室形状変更、次世代燃料インジェクター採用などによって最大トルクを380Nmとした。新開発の8ATは、ワイド&クロスレシオを特徴とするが、シフトフィールもジェントルであり、良き相棒たる存在となっている。

 

3列あるシートにおいて、大きく手が加えられたのは1列目のみ。乗降性をしっかりとデザインした上で、サポート面をさらに大きく確保し、まさにゆったりとした乗り味を愉しめる。

 

「TOUGH TO BE GENTLE」をテーマに掲げ、これまでよりもプレステージ性を強く謳う。フロントマスクは、改良前モデルの面影がまったくといっていいほどに変貌。三菱のダイナミックシールドコンセプトをさらに進化させ、ボリューム感を与えたグリル、縦置きデザインを採用したヘッドランプなどを採用。複雑に見えるデザインだが、実は縦と横のラインをシンプルに見せる構成としており、幾度も観察していると、実はシンプル、かつクリーンなデザインであることも見えてくる。リアは、左右を繋ぐガーニッシュと、その両端に配置されたテールランプ(導光LED)により、改良前モデルからの進化を感じさせる。

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