【紹介/試走】AUDI A4 allroad quattro

2017.3.11

  • 【紹介/試走】AUDI A4 allroad quattro
    • プレミアムSUV
    • ヨーロッパ車
  • アウディの中核モデルにして、ベストセラーとなるA4。そのワゴンモデルであるA4アバントに設定されているのが、クロスオーバー4×4のオールロードクワトロだ。


20170311a02低速から太いトルクが立ち上がるエンジンと、ダイレクトに変速するミッションの組み合わせでスムーズな加速をみせる。

 

クロスオーバーモデルの人気、継続中

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ニッチ狙いからリッチ狙いへ
Q5よりも高価な選択肢

20170311a01このA4オールロードクワトロの車両本体価格は658万円。ボディーカラーのグレイシアホワイトメタリックはオプションで8万5千円が追加される。高級車だ。クロスオーバーモデルのオールロードに対して、アウディにはSUVのQ5もある。こちらの車両本体価格は627万円。意外にも(?)価格は「オールロードクワトロ>Q5」なのだ。

 

SUVのQ5は予算的に買えないからクロスオーバーのA4オールロードクワトロで我慢する、という図式は成立しないものの、中には駐車場の制約からオールロードを選ばなければならない人もいるだろう。一般的な立体駐車場は1,550mmが限度であり、オールロードの全高1,490mmならクリアする。

 

しかし実車に触れ、走り出してみると、オールロードは消去法ではなく、明確な意図をもってチョイスされるべき選択肢だと実感する。

 

クロスオーバーモデルとしての仕立ては定石通り。大径タイヤ装着とともに車高をアップして最低地上高を稼ぐ。樹脂製のオーバーフェンダーで大径タイヤを覆うとともに、「加飾」といっても過言ではないアンダーガードやディフューザーで360度全方位的に「違い」を際立たせている。ちなみに最低地上高はA4アバントの140mmに対して170mm。30mmのアップだ。

 

タイヤ&ホイールは前後ともに17インチ。市販車でさえ今や20インチも珍しくなくなったが、オールロードクワトロにはこの17インチがキャラクターに合っている。タイヤは225/55R17であり、低扁平のタイヤよりたくさんの空気を蓄える断面をもつ。サスペンションのセッティングはこの空気量にフィットするもので、しなやか。上がった車高を無理に押さえ込んでおらず、ムッチリと、そしてハリのある乗り味になっている。

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四輪駆動システムに妥協なし
敢えてエンジンを縦に置く

ベースとなるA4アバントの駆動系には前輪駆動とクワトロと呼ばれる四輪駆動がある。いずれもエンジンは縦置きだ。前輪駆動を前提とするなら、エンジンを横置きにして前輪を駆動するのが主流。スペース的にも、駆動の伝達にも効率がいい。しかしA4はそうなっていない。四輪駆動を基本形としてエンジンを縦置きにしている。クワトロありきの設計なのだ。

 

そういったエレガントな駆動系の印象を無視したとしても、エンジンのトルクが路面に伝わる様は実にスムーズ。ドライ路面の一般道では、後輪へのトルクは切断され、前輪だけで駆動して走行抵抗を抑えている。4気筒エンジンは嫌な振動を感じさせず、ゆったりとした味わいのあるフィーリングのまま1,680kgのボディーを淀みなく加速させる。

 

しかも7速Sトロニックトランスミッションはギア変更が巧み。加速に息継ぎがない。アクセルを存分に踏むことのない街中では刺激こそ感じないものの、たっぷりと余力を蓄えている頼もしい感触がある。

 

ハンドリングは正確だ。ステアリング操作に対して、素直にオールロードクワトロが反応する。運転席からの眺めは、基本的にはベースのA4アバントと同じだけに、クロスオーバーモデルに乗っていることを意識させない。SUVからの乗り換えであればハンドリングは精緻に感じるだろう。ドイツ製の4ドアセダンから乗り換えであっても心もとなく感じる場面はないはず。それこそがクロスオーバーモデルの美点と言われれば、その通りだ。

20170311a05排気量は2Lながらも最高出力は252PS。燃費は15.5km/Lと経済的だ。

運転席からの眺めは
A4アバントと変わり映えしない

ひと言でいえば乗用車然としている。言い換えれば、それはオールロードクワトロの弱点にもなりえる。ステアリングを握るドライバーから見える景色は、A4アバントと変わり映えしない。ローレンジのシフトレバーがフロアから生えているわけでもないし、4×4と刻印された大きなダイヤルがインパネの一等地を占めているわけでもない。

 

オフロードで試乗する機会は得られなかったが、走行モードを切り替えられるAudiドライブセレクトには「オフロードモード」が用意されている。本来なら慎重なアクセルワークを要求する悪路であっても、A4オールロードクワトロが電子制御でトラクションを最大限に得て、走破性を高めるようになっている。

 

その走破性は、忘れた頃に都市部を覆うような雪の日にも活躍してくれるはず。いざという時の頼り甲斐に惹かれつつ、舗装のいき届いた日本で使うのなら、SUVよりもA4オールロードクワトロのようなクロスオーバーモデルに合理性を感じるドライバーは少なくないのだろう。SUVのようなもの…ではなく、自身のライフスタイルにフィットする選択肢として人気が継続しているのも納得がいく。

 

そんなクロスオーバーモデルにあって、A4オールロードクワトロはギラギラとしたラギット感は控え目。さりげなくエレガントな雰囲気を漂わせる、大人の選択肢だ。

20170311a06ステアリングホイールには14のマルチファンクションボタンが配置されている。楽曲再生やナビゲーションの操作に活用できる。

 

 

20170311a07メーターはAudiバーチャルコックピットと呼ばれる12.3インチの液晶画面。速度や回転数、ナビゲーションなどの情報を表示する。

 

 

20170311a08シフトレバーの奥にあるのがAudiスマートフォンインターフェイスのコントローラー。センターコンソールの8.3インチカラーディスプレイとともに多彩な情報を受け取れる。MMIタッチにより、指で書いた文字を認識して目的地を設定することもできる。

 

 

20170311a_seatパーシャルレザーやシートヒーターなど内外装のセットオプションであるラグジュアリーパッケージが選択されている。

 

 

20170311a11ラゲッジルームの容量は505L。広いというより機能的な印象。トノカバーやネット、ポケットなど使いやすそうだ。

 

 

20170311a12タイヤサイズは225/55R17。A4アバントの225/50R17に比べるとハイトが高い。タイヤの大径化を受けて最終減速比が変更されている。

 

 

文/中村文大 写真/山岡和正