【紹介/試走】LAND ROVER RANGE ROVER EVOQUE CONVERTIBLE

2017.5.13

  • 2017051307
    • プレミアムSUV
    • LAND ROVER
  • 歴代RR(レンジローバー)、それも初代の2ドア版等ではカブリオレと称する、おそらくは特注されたのであろうキャンバストップモデルをネットでもよく見かける。だから、厳密には“RR初のオープンモデル”とは言えないかも知れないが、幌車がデフォルトの歴代LR(ランドローバー)も含めて、LR史上、機能的には一番出来の良いキャンバストップであることは間違いない。


フツーのオープンでは満足できない
粋なオトコのためのコンバーチブル

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高級コンパクトSUVでは世界初
スペックは3/5ドア車とほぼ同じ

2017051301日本では昨秋から販売が開始されたこのRRイヴォーク・コンバーチブルは、「ラグジュアリー・コンパクトSUVでは世界初のコンバーチブル」を謳うモデルで、3ドア(クーペ)、5ドアに続く新種だ。ただ、新種と言っても搭載エンジンは既存モデルと同様2リッター直4DOHCガソリンターボで、全幅、ホイールベース、トレッド等のサイズも同じ2ドアボディーを持つ。
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全長と全高はやや上回っているが、ボディーデザインやルーフ形状の違いからであり、キャビンのスペースは3/5ドアモデルとほぼ同じと考えてよい。もちろん、オープントップ時のヘッドクリアランスと言えば、これはもう無限の空間が広がるわけで、もともとリアシートの窓面積が狭く閉塞感ハンパないイヴォークとは全く別次元のクルマに思えてくる。

 

ちなみに、イヴォーク(日本仕様車)全体のラインナップは、以下のとおり。5ドア車に「SE」「SE Plus(プラス)」「HSE」「HSE Dynamic(ダイナミック)」「Autobiography(オートバイオグラフィ)」の5グレード、そして3ドア・クーペとコンバーチブルには「HSE Dynamic(ダイナミック)」のみが設定され、合計7モデルのバリエーションとなっている。

オープン時の爽快さはSUVならでは
ワインディングもキビキビ走る

試乗車はスコシアグレイと呼ばれるボディーカラーに、ピメント/エボニー(2トーンカラー)のオックスフォードレザーシートの組み合わせ。ボディーカラーのバリエーションは17種もあり、グレー系だけでも4種類という選択肢の多さだ。

 

撮影日の前後は雨で、当日のみ晴れ時々曇り…という天の恵みに感謝し、さっそくオープンに。センターコンソールのスイッチを操作し、約18秒で動作が完了する。開閉操作は48km/h以下なら走行中でも可能なので、わざわざ停車させる必要がなく、ロック解除等の手作業も一切ないので手軽だ。
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2リッターDOHCガソリンターボの軽快な加速は既に定評のあるものだが、鉄の屋根がない分、クーペや5ドアより速いかというと、そうはいかない。多くのオープンモデルがそうであるように、屋根がない分、車体剛性を下半身だけで確保しなければならないうえに電動キャンバストップ特有の設備も必要なオープンボディーは意外に重いのだ。イヴォーク・コンバーチブルの場合、ドアの枚数が同じクーペより260kgも重い2,020kgとなっている。

 

コンパクトSUVとは言え車重2トン超…。これは少なからず動力性能にも影響していて、加速フィーリングは3/5ドア車に一歩譲る印象だ。しかし、それでも最高出力240PSの大パワーと、わずか1,750rpmで最大トルクを絞り出す頼もしいパワーユニットの実力はきっちり発揮されるので、軽快な走りであることに変わりはない。
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日射しや気候が穏やかな季節のオープン走行は、何ものにも代え難い爽快感が味わえ、まさに醍醐味と言えるが、少々肌寒い気候でもウィンドゥガラスを上げてエアコンやシートヒーターを効かせることで快適にドライブできることは、このイヴォーク・コンバーチブルでも確認できた。

 

また、一般的なオープンスポーツカーより腰高なSUVということで、例えば街中をオープン走行時に、他車から車内を見下ろされることもなく、大型トラックと並走するハメになっても、顔のすぐ脇で回転する大型タイヤに怯えることもない…など、オープンSUVは想像以上に気分の良い乗りモノだ。
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9速ATをはじめとするドライブトレーンや、前後ストラットのサスペンション等も基本的に3/5ドアモデルと同仕様。また、トラクションコントロールシステム(TCS)やロールスタビリティコントロールシステム(RSC)等の電子制御デバイスも同様に標準装備しているため、ワインディングなどでの走りでも大きな違いは感じられず、キビキビと走る。

 

3/5ドアモデルと違う点は、ドライバーの操作や路面状況に応じてダンピングを最適化するアダプティブダイナミクスのオプション設定がない、という点くらいだろうか。

 

重量のせいか、3/5ドアモデルよりもわずかに緩慢でソフトな挙動に感じるが、いずれにしてもロールの少ないタイトに引き締められた脚まわり、という印象だ。

カーゴスペースまでコンパクト!?
オーナーを選ぶ贅沢な個性派SUV

乗車定員が3/5ドアモデルより1名少ない4シーターであることや、クローズ時は、3/5ドアモデルよりさらに後方視界が狭いこと等は、「オープン走行の快感と引き換え」と割り切れる範囲かと、個人的には思う。
しかし、もうひとつ決定的にガマンしなければならないことがある。

 

それは、SUVとしては致命的とも言えるカーゴスペースの圧倒的な小ささ、使いにくさだ。当然ながら、キャンバストップを格納する都合上、クローズ時でも上半分は使えない。SUVでは常識とも言える“リアシートを畳んでカーゴスペースを拡大する機能”もなし。申し訳程度に長尺物用トランクスルーの穴が開いているが、泊まりがけでスキーに行くなら2名が限界である。
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そんなわけで、この「世界初のラグジュアリー・コンパクトSUVコンバーチブル」は、相当にオーナーを選ぶクルマだ。SUVだけど、人と荷物はあんまりたくさん積めない。しかし、その代わりに、普通のオープンスポーツカー以上に快適な見晴らしの良いオープン環境や、RRならではの4×4機能もステイタスも享受できる。

 

 

価格は765万円〜。けっして「便利」なクルマではないから、使い方はかなり限定的になるが、フツーのオープンカー以上に快適なカーライフが待っていることだけは太鼓判を押したい。

 

 

【エンジン】
20170513103/5ドアモデルと同じ1,998cc 直列4気筒DOHCガソリンターボエンジンを搭載。最高出力177kW(240PS)/5,500rpm、最大トルク340Nm/1,750rpmを発生する。
【騒音計測データ】
●車内・・・・39.0dB
●ボンネット閉・・・・60.0dB
●ボンネット開・・・・66.0dB
※ルーフクローズ時、エアコンOFF、電動ファン非作動/アイドリング時。なお、当コーナーでの騒音計測は毎回微妙に異なる環境下(天候、気温や地形等)で実施されるため、計測値を他車と比較することはできません。

 

 

20170513112017051312上:シンプルで視認性抜群のアナログメーター。
下:オープンカーとしての耐候性も考慮されつつ、高級素材が使用されたインテリア。

 

 

2017051313トランスミッションは、9 速ATを採用。1速はウルトラローギアの設定。テレインレスポンスはボタンで選択する。パーキングブレーキは電磁スイッチ式。

 

 

2017051314キャンバストップの開閉はこのスイッチで操作。48km/h以下なら走行中でも開閉可能。

 

 

20170513seatピメント/エボニー(2トーンカラー)のオックスフォードレザーシート。リアシート(左)は2人掛けで、リクライニング、スライド、折り畳み全て不可。

 

 

2017051317走行中、リアキャビンからの風の巻き込みを低減するウインドディフレクター。脱着は手作業で行う。

 

 

201705131820170513192017051320201705132120170513222017051323キャンバストップは完全格納まで約18秒。ロック解除等の手作業は一切なく、全て電動。ただしワンタッチ式ではなく、操作スイッチは動作完了まで押し続ける必要有り。

 

 

20170513242017051325(上)旧型と同様、リアシートの背もたれは倒せないが、長尺物積載用のトランクスルー機能あり。カーゴ容量はキャンバストップの開閉に関係なく251リットル。
(下)万が一トランク内に閉じ込められたときのためのトランクオープナーが着いている。

 

 

2017051326光ビームがステアリング操作に追従するアダプティブLEDヘッドランプとLEDフォグランプはオプション装備。

 

 

20170513susフロントサスは、マクファーソンストラット式(左)、リアサス(右)はマルチリンクを使用したリンクストラット式。ダンピングコントロールを自動的に行うアダプティブダイナミクスの設定はない。

 

 

2017051329タイヤサイズは245/45R20。ホイ-ルは8J×20サイズのスタイル508(サテンブラックフィニッシュ)を装着。

 

 

文/内藤知己
写真/川上博司