【紹介/試走】SUBARU XV 2.0i & 1.6i

2017.5.21

    • 四輪駆動車
    • スバル

スバル最量販SUVへ

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ラインナップは全4モデル
エンジンは2種のNAガソリン

2017052101お家芸であるシンメトリカルAWDを骨格として、次世代プラットフォームに新開発エンジン、最新の運転支援システム「アイサイトver.3」などを搭載した全てが新しいスバルXV、発売開始は5月24日だ。

 

スバルSUVの中では、本格SUVと位置付けられているフォレスターに対して、コンパクトなクロスオーバーSUVとしてポジショニングされているのがこのXVだ。インプレッサの派生モデルで、この新型もインプレッサSPORTをベースとしている。内外装の質感や走行/安全性能の向上が図られ、街中での日常使用も重要視された「より愉しく、より使えるSUV」を目指して仕上げられた。

2017052103写真は旧型2.0i EyeSight。ヘッドランプまわりの形状で新型と識別できる。

 

 

20170521042017052105搭載される新開発のガソリンエンジンは2.0リッター(FB20型)と1.6リッター(FB16型)の2種。いずれも水平対向4気筒DOHCのNA(自然吸気=ノンターボ)だが、2リッターは筒内直接燃料噴射式、いわゆる直噴だ。これらに組み合わせられるトランスミッションは無段変速方式のリニアトロニック(マニュアルモード付)。2リッター搭載車と1.6リッターの上級グレードはパドルシフトによる操作も可能だ。

 

ラインナップは、2リッター搭載車に「2.0i-S」と「2.0i-L」、そして1.6リッター搭載車に「1.6i-L」と「1.6i」の全4タイプ。全車AWD(4×4)で、歩行者保護エアバッグと運転支援システム「アイサイト(ver.3)」も標準装備されるため、グレード名の後に「EyeSight」を付けた名称が正式なモデル名となっている。

ストレスのないパワー&トルク
1.6iにも「SI-DRIVE」を!

従来型と比べてほぼすべての部品を新設計し、高剛性化や軽量化、摩擦低減等が図られたというエンジンのスペックは、1.6リッターが最高出力 85kW(115PS)/6,200rpm、最大トルク148Nm(15.1kgm)/3,600rpm、そして2リッターは、最高出力 113kW(154PS)/6,000rpm、最大トルク196Nm(20.0kgm)/4,000rpmというもの。ちなみにこれはインプレッサSPORTと同じ値だ。

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まずは、2リッター車から試乗を開始する。最近のSUVが搭載する2リッター直4DOHCターボ車のスペックに較べるとかなり大人しい数値という印象は否めないものの、実際の走りにストレスはない。コンパクトクラスとは言え、SUVというカテゴリーの中では軽量な1.4トン前後の車重を充分に振り回せるパワーと立ち上がりの良さを備えている。

 

しかし、この新型XVの真骨頂は、そこではない。直進安定性の良さ、車体剛性とサスペンションのバランスの良さから来るコーナリング時の“人車一体”感、神経質な敏感さとは無縁ながらもリニアに反応するステアリングフィール…、これらがすべて「今、私はSUVに乗っている」という感覚を忘れさせるレベルで体感できるのだ。

 

では、先代は2リッターエンジンのみのラインナップであったが、新たに設定された1.6リッターはどうか。結果から先に言えば、多少の非力感が帳消しになるくらい、このシャーシーがもたらす走りの良さが、状況によっては2リッター搭載車以上に体感できる場面もある。2リッターほどパワーがない分、アクセル操作による挙動変化も穏やかで、安定走行が可能なケースも少なくなかった。

 

ただし、どうしても回しがち(エンジン回転を上げがち)になる上に最終減速比も低速寄りに設定されているため、排気量が小さいにもかかわらず燃費の面では2リッターに一歩譲る、というケースもありそうだ。また、2リッター車には設定されている「SI-DRIVE」の設定がないのは少々残念。シフトスケジュールやエンジン回転制御によって出力特性を変化させられる「インテリジェントモード/スポーツモード」の切り替え機構だが、ぜひ1.6リッターにも設定が欲しいシステムだ。

頼もしいXモード
最低地上高の恩恵

今回試乗を行ったテストコースには残雪を利用した低μ路も用意されており、「Xモード」と呼ばれる、フォレスター等でもお馴染みの電子制御トラクションデバイスの威力を確認することができた。なお、XVにおける「Xモード」の採用はこのモデルから。このあたりからも新型の更なるマルチパーパス化という方向性が見て取れる。

 

緩い傾斜地で片輪を圧雪部分に乗せ、まずはXモードOFFで前進できなくなることを確認してから後退してスタート地点に戻り、そこでXモードON。するとタイヤの空転を感知すると同時に、その空転輪にブレーキがかかり、他の駆動輪にトルクが配分され前進できる…という体験ができる。

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夏タイヤで、しかも傾斜地であり、このデバイスの効果を分かりやすく体感できたわけだが、雪のない側の地面がそこそこグリップする土壌であったため、通常のトラクションコントロールとの差を感じなかったのが正直なところだった。むしろ、その先にあった、この手のクロスオーバーSUVにとっては危機感を感じる深さの轍を平然とクリアしたことのほうが驚きであった。最低地上高200mm…クロカン車では“イケてない”この数値も、ここでは意味のある数値であると再確認した次第だ。それに、ヴェセルの170mmやC-HRの155mmと比べれば(いずれも4×4モデル)、SUVらしさをより明確に意識した地上高が確保されていると言える。その上、全高はタワーパキングも利用可能な1550mmに収められており(ルーフレール装着者は+45mm)、そういう意味でもこの新型XVの守備範囲の広さが際立っている。

内装もクォリティアップ
主力SUV目指してさらなる前進を

インテリアは、旧モデルに較べてもかなり質感が向上している。もちろんグレードによってシートやトリム類の素材が異なるので、その印象はさまざまかも知れない。しかし、全体的に落ち着いた雰囲気のデザインに変わり、身のまわりのスペースも心もち広くなって、いろいろな意味で余裕が感じられるようになったのは確かだ。

 

世間では、ベースモデルであるインプレッサと比較してお買い得かどうか?的な評価も注目されているようだが、コンパクトSUVのカテゴリーの中で考えても、この新型XVはかなり魅力的なモデルだ。

 

SUVとしてのユーティリティー面、使い勝手には特に不満も見当たらず、それでいてオンロードではSUVであることを忘れるレベルの走りが可能。オフロードでは外観から受ける印象以上の走りも期待できる。そして、最新のアイサイトと歩行者保護エアバッグが標準装備。価格は198万円 (1.6i EyeSight/税別価格)から。

次世代スバルの国内主力SUVとして、スバル最量販SUVの座を目指す、という意気込みに、根拠のある説得力を感じるモデルである。

 

 

【エンジン】
20170521082リッター水平対向4気筒DOHC直噴ガソリンは無鉛レギュラー仕様。最高出力 113kW(154PS)/6,000rpm、最大トルク196Nm(20.0kgm)/4,000rpmを発生する。

 

 

20170521092017052110上:視認性が優先されたアナログメーター。
下:従来モデルに較べると、質感の向上が感じられるインパネまわり。

 

 

2017052111トランスミッションは、無段変速のリニアトロニック(マニュアルモード付)を採用。パーキングブレーキは電磁スイッチ式に。

 

 

2017052112Xモードは1.6i EyeSight以外のグレードに標準装備される。

 

 

20170521132017052114運転席&助手席は8ウェイパワーシート。リアシートは3人掛けで、リクライニング、スライド不可。

 

 

20170521rearリアシートの背もたれは6:4分割可倒式なので、シートアレンジは3パターン。5名乗車時のカーゴルーム容量は385ℓ。

 

 

20170521182.0i-S EyeSightは「LED2灯ハイ&ロービームランプ(ブラックベゼル)+ステアリング連動ヘッドランプ」を標準装備。

 

 

20170521192017052120フロントサスは、マクファーソンストラット式(上)、リアサス(下)はダブルウィッシュボーン式+コイル。最低地上高は200mmを確保している。

 

 

20170521212.0i-S EyeSightの標準タイヤサイズは、225/55R18。他のグレードは225/60R17を装着。

 

 

文/内藤知己
写真/山岡和正、SUBARU広報