オフロード・ドライビング講座:VOL.2

2017.1.28

  • オフロード・ドライビング講座:VOL.2
    • 四輪駆動車
    • Jeep
  • オフロードを走りたいけど、どうやって走ればいいのか分からない…というビギナー諸君! このコーナーは、そんなあなたのためのマニュアルだ。せっかく愛車に備わっている4×4システムを活かして、楽しい四駆生活を実践しよう。


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オフローディング装備

今回は、オフロード走行のための装備について。実践的な走行テクニックに入る前に、どんな装備があると良いのか…にふれておこう。なお、今回紹介するアイテムはすべて「なくても良いが、あったほうがより楽しめるモノ」と理解していただきたい。

 

どんなオフロード4×4でも、そのモデルなりにオフロードの楽しみ方はあるもので、専用装備を追加して走破性能向上を図るも良し、装備に頼らずノーマルに近い車両で運転技術を磨くも良し…つまり楽しみ方は人それぞれなのだ。

 

また、装備を揃えるにしても、欲しいアイテムを最初から一気に揃えて理想のマシンに仕立て上げるのも一興だし、少しずつ装備を増やしてグレードアップしていくのも楽しい。ということで、それではさっそく、4×4MAGスタッフカーである’06年式Jeepラングラー(TJ)を例にとって、オフローディング装備の数々をご紹介していこう。

 

牽引用フック

20170128022017012803オフローディング装備には大きく分けて3つのアイテムがある。ひとつは「走破性を向上させる装備」、もうひとつは「クルマをダメージから守る装備」、そして三つ目は「“脱出”のための装備」。牽引フックは、脱出アイテムの基本中の基本と言っても良いだろう。

 

現状、残念ながら現行の4×4では、たとえクロカンタイプを謳っていても、スタック脱出のための牽引に適したフックを標準装備するモデルは少ない。多くは運搬時に使用する固定用のタイダウンフックや、故障時の牽引に使用する着脱式のアイボルト型フックが備わっているが、これらは過大な衝撃や荷重がかかるスタック脱出のための牽引には適さないため、できればアフターマーケットの丈夫なフックを備えておきたい。

 

4×4MAGラングラーの場合、前後パンパーとも頑丈なスチール製のアフターマーケットパーツに換装されており、U字型シャックル(写真)を介して、あるいはカギ型のフックを直接掛けることも可能になっている。昔ながらの丈夫なラダー(はしご形)フレームを採用するラングラーの場合、前後バンパーがフレームの一部となる構造であるため、後付けの牽引フックの設置場所の自由度も強度も高い。しかし、モノコック構造が主流となる現行4×4の場合、牽引フック自体の強度の他、設置場所の強度も必要になってくるので、専門ショップに相談のうえ、設置することをお勧めする。設置は前後に、が基本。牽く時も牽かれる時も前後にあった方が効率の良い牽引ができるからだ。

 

電動ウインチ

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スタック車救出の“最終兵器”として名高い電動ウインチだが、状況と使い方次第では垂直の壁でも登れてしまうので、レスキューアイテムであると同時に、走破性向上アイテムと捉える強者オフローダーも少なくない。電気モーターで駆動する電動ウインチが主流だが、旧車のごく一部に、エンジンで駆動する機械式(PTO式)ウインチをオプション設定していた車種もある。

 

ワイアーを巻き取って引っ張るだけのシンプルな機械だが、これを装備していれば単独でのスタック時でも心強く、行動範囲がグンと拡がることもメリットのひとつ。ただし、機種によってはかなりの重量となるので、クルマの運動性能そのものに影響を及ぼすことや、ウインチを設置するためのスペースおよび強度を確保できる車種が非常に限られているので、これも専門ショップによく相談して検討する必要がある。

 

4×4MAGラングラーにはリアにもウインチを搭載し、レスキュー車としての能力アップを図っている。また、フロント側にはコンプレッサー内蔵型ウインチを搭載しており、タイヤのエア圧調整や、インパクトレンチ等のエアツール使用も可能なので、屋外でのトラブルシューティングにも力を発揮する仕様だ。

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コンプレッサー内蔵型ウインチがあれば、例えばタイヤのエア圧を落としてグリップを向上させて走った後でも、スタンドに寄らずに自車でエア充填が可能。

電動ウインチの操作はシンプルなので、誰でも操作は可能。滑車を駆使したラインの引き方や安全に使用するための知識が重要だ。

 

ガード類

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前後バンパーのほか、このサイドステップを兼ねたドアシルガードもクロスカントリー走行では有効な装備。スキッド性も期待できるので、ステップ兼ガードであると同時に、腹がつっかえた時に滑らせて前進(あるいは後退)をアシストするという多機能パーツでもあるのだ。

 

このほかガード類と言えば、下まわりを保護するアンダーガードや、燃料タンクを保護するタンクガード等が一般的。ただし、下まわりにガードが多いと、その分泥をすくって駆動系に詰まってしまったり、岩などの障害物を抱え込んだりしやすくなるので、自分がよく走るステージに合わせた装備を考えたい。過剰なガードは、本末転倒を引き起こしやすいのだ。

 

サスペンション

20170128092017012810サスペンションのチューニングにはさまざまな目的と方法があるが、ここではサスペンション・ストロークを拡大し、路面追従性を向上させて走破性をアップさせるチューニングをお勧めすることになる。

 

4×4MAGラングラーは、埼玉県の老舗プロショップ「タイガーオート」のオリジナルコンプリートである「タイガーパッケージ」がベースになっており、コイルスプリングをはじめコントロールアーム類、ショックアブソーバー等がロングストローク用に換装されている。

 

ストロークの長いコイルは車高も上がるため、腹下のクリアランスも大きくなり走破性は上がるが、重心も高くなるため操安性にも大きく影響するので、やみくもに車高を上げるだけ改造はお勧めできない。また、前後プロペラシャフトの角度が大きくなったり、ブレーキラインが足りなくなってしまうなど駆動系にも無理が出る可能性もある。サス・チューニングは、全国のさまざまな専門ショップがそれぞれの得意車種用を取り扱っているので、脚まわりのチューニングはショップ選びから…が基本だ。

20170128114×4MAGラングラーのフロントサスペンションにはスタビライザー解除装置を設定してある。トーションバースプリング・タイプのスタビライザーの一部を外すことによってスタビライザーの働きを無効にし、サス・ストロークを拡大できる装備だ。

 

タイヤ

2017012812クロカン・チューニングはタイヤから…と言われるくらい、チューニングの第一歩としてポピュラーなのがタイヤ換装。もちろんノーマルタイヤでも、オフロードをそこそこ楽しめるが、ノーマル、つまり標準タイヤは、そもそも「燃費が良くて静か」なことを最優先して設定される傾向にあるため、オフロード性能はあまり期待できない。

 

そこで、アフターマーケット・タイヤを、となるわけだが、険しい地形を走破したい人は、大径でグリップ力の高いトレッドパターンやコンパウンド(トレッドゴム)を採用するタイヤをチョイスすれば良いだろう。

 

ただし、極端なオーバーサイズタイヤはオンロード性能も損なうし、たとえ高性能エンジン搭載車でパワーに問題がなくても、今度はブレーキの能力が追いつかなくなる可能性もあるので、サイズ選びには注意が必要だ。

 

4×4用あるいはSUV用タイヤのトレッドパターンは大まかに分けると次の3種類に分類できる。舗装路、それも高速走行を重視したHT(ハイウェイテレーン)系、オールマイティーなAT(オールテレーン)系、そして泥濘地に強いMT(マッドテレーン)系。トレッドパターンのみが性能を決定づけるわけではないが、それぞれオフロード走行の頻度やレベル(難易度)を考慮してチョイスしたい。

 

ランプ

2017012813201701281420170128151990年代の4×4ブームでは、グリルガードにフォグランプ、気合いが入った4×4の屋根にはWRC並の補助ランプがルーフにズラリ…そんなスタイルをよく見かけたが、現在は必要に応じて、あくまでも実用第一で…が基本。夜間の林道を走りたい人は遠くまで光が届くスポットランプや、車両直前を広範囲に照らすドライビングランプが便利。リアを広範囲に明るく照らす後退灯は、オフロードでなくても使い勝手が良いはずだ。

 

キャリア、その他

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さて、最後は、その他諸々ということで、4×4MAGラングラーのリア部分を。スチール製のスペアタイヤ・キャリアに補助タンク(ジェリ缶)キャリア等、ロング・クロカン・ツーリングにも対応する仕様だ。

 

リアバンパーには赤いハイリフトジャッキが、そしてスペアタイヤにはスコップも固定され、なかなかやる気満々に見えるこのラングラーで、次回以降は走り方の実践編に突入していこう!

 

 

文/内藤知己
写真/佐久間清人

 

 

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