パーツ最前線:DIXCEL スリットブレーキローター

2017.4.28

  • 20170428SD
    • 四輪駆動車
    • トヨタ
  • 重量級4×4ユーザーのブレーキに対する想いとは何だろうか? それは恐らく、乗用車より車量が重いゆえの「もっと強く利かせたい」ということであろう。


ブレーキローターを交換する意味

20170428SDディクセル製SDタイプ ブレーキローター(¥14,000〜)。制動力をアップさせる6本のスリットが、レーシーな雰囲気も醸し出す。オプションでスリットを12本にすることも可能だ。

 

重量級4×4ユーザーの想いは
「ブレーキをもっと強く利かせたい」

以前、ブレーキダストを大量に出すドイツ車にダスト発生の抑制に効果的なディクセルのブレーキローター & パッドを装着して長期テストを行い、純正品と同等の制動力と驚くほど少ないダスト量を体感できたことをお伝えした。

(DIXCEL BRAKE DISC & BRAKE PADを参照)

詳細はレポートをご覧いただきたいが、そもそもこのテストは日本の綺麗好きなドイツ車ユーザーの想いを叶えるべく行ったものだった。

 

では重量級4×4ユーザーのブレーキに対する想いとは何だろうか? それは恐らく、乗用車より車量が重いゆえの「もっと強く利かせたい」ということであろう。ディスクブレーキ装着車には踏力を増大するブースターが装着されており、また最近の車両には電子制御式ブレーキアシスト機能が装着されているので、ブレーキの利きに不満を感じるユーザーは少ないかもしれない。だが、制動に必要な運動エネルギーは車両重量に比例するため、乗用車と同じように減速していても、重量級4×4はより大きなエネルギーを消費していることになる。

20170428prado運動エネルギーをローターとパッドの摩擦による熱エネルギーへと変換して減速する原理から、ハードなブレーキングをすると、あっと言う間にディスクやキャリパーだけでなくホイールまでもが高熱になってしまう。

 

制動力を向上させるには
ブレーキパッドの交換が効果的

制動力を上げるためだけに高額な出費を覚悟出来れば、ブレーキ本体であるキャリパーを高性能スポーツカー並みの大型キャリパーに変更しても良いだろう。しかし、キャリパーが大きすぎてノーマルホイールに収まらなくなったり、ディーラー保証の対象外になる恐れがあるなど、別の課題が出てしまう。手っ取り早く考えると、純正キャリパーはそのまま利用して、消耗品であるブレーキパッド & ローターの交換の方が現実的だ。まずは、パーツメーカーや仕様により摩擦材の種類や配合が豊富なアフター製ブレーキパッドへの交換を考えよう。アフター製ブレーキパッドは、リーズナブルな純正交換タイプのほか、重量級車両専用タイプやブレーキダストの発生を抑えるタイプ、スポーツ走行に適したタイプなど様々なラインナップがリリースされている。

 

ブレーキパッド選びは愛車のボディータイプだけでなく、自身の使用状況を考えることが重要だ。例えば、街乗りメインのユーザーが、高性能なスポーツ走行用のパッドを装着するとブレーキが利きにくいと感じることがある。スポーツ走行用のパッドは連続走行などでブレーキが高温になることを想定して造られているため、低速走行でブレーキが冷えてしまうと本来の性能を発揮できない場合があるのだ。

20170428prado2社有車の120プラドのように、車重の重い4×4のブレーキをもっと利かせたいとお望みのユーザーには、重量級をしっかりと止める専用タイプへの交換をお勧めしたい。

更なるステップアップには
スリットローターも効果的だ

レースや高性能スポーツカーに興味のある方なら、見たことがあるであろうスリットローター。ブレーキパッドの交換で物足りないと感じたら、ローター表面に数本の浅い溝が入ったスリットローターへの交換を考えても良いと思う。
スリットローターに交換するメリットは主に4つある。
①摩擦係数がアップし、制動力が増す(ディクセル調べによると逆回転で20%アップ)。
2017-04-28 16.04.24ノーマルローターとSDタイプローター(スリットローター)との性能比較

 

 

スリットによりパッドに対して断続的なシェービング機能を持つため、スリットの無いノーマルローターよりも摩擦係数が上がる。制動力20%アップとは、制動距離が短くなるのではなく、踏力が20%軽減されることを指す。つまりこれまでと同じ制動距離で止まるには80%の踏力で済むため、制動力のアップを体感しやすい。

 

②パッドから発生するガスの抜け道を作れる。
ブレーキを踏むと、パッドの摩擦材から出る物質がローターに皮膜を形成する。この皮膜が接着剤のように働いて制動力を高めているが、同時にパッドとローターの間にガスが発生して密着度を低減させてしまう。スリットによって、このガスを効果的に排出できるのだ。

 

③タイヤで言うところの「スリップサイン」の役目も担う。
ローターは1mm減ったら交換の目安だが、目視では減り加減を把握しづらい。SDタイプローターの溝は0.75mmで、溝が消えたら交換のサインとなり、目視でも容易に確認できる。

 

④ドレスアップ効果。
パッドだけでなくスリットローターも交換すれば、ドレスアップ効果を期待できる。

 

良いことばかりに見えるスリットローターだが、スリットが断続的なシェービング機能を持つ性質上、パッドの摩耗を早めたりブレーキ鳴きの原因のひとつともなりうる。ちなみに、スリットの装着方向(正回転か逆回転)でも効果が変わってくるので、装着する際は注意しよう。

2017-04-28 16.09.05スリットローターの装着方向の比較結果。ブレーキを最大限に利かせたいと望むなら、パッドの寿命がより短くなってしまうが逆回転で装着しよう。

 

 

ディスクローターとブレーキパッドは、ただの消耗品ではないことがお分かりいただけただろうか。今回の記事が悩める重量級4×4ユーザーの参考になれば幸いだが、くれぐれも自身の使用用途に合ったブレーキ選びをお勧めしたい。

 

 

文/浅野修司
写真/山岡和正、浅野修司
画像提供/DIXCEL