【紹介/試走】MAZDA CX-5 XD L-Package
2015.3.20
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四輪駆動車
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マツダ
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先進技術満載で熟成期へ
最先端テクノロジーの投入で
ドライバー支援機能を強化
「国産ディーゼルもここまで来たか!」そんな感嘆の声とともにディーゼルSUVの復活にも多大なる影響を与え続けているマツダCX-5がマイナーチェンジを受け、今年1月から発売されている。
マツダのフラッグシップモデルに位置付けられているアテンザ(セダン&ワゴン)とともに「大幅改良」が謳われている今回の CX-5の改良は、先進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」の進化がメイン。中でもドライバーの認知支援強化が図られてい る。
具体的には、対向車や先行車のドライバーを眩惑させず、常時ハイビーム走行を可能にしたヘッドライトシステム「アダプティブ・ LED・ヘッドライト(ALH)」や、後方および側方から接近する車両を検知する「ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)」、車線を認識して操舵 トルクのアシストやステアリング振動警報によって運転操作をサポートする「レーンキープ・アシスト・システム(LAS)」等、先進技術をフルに投入したシ ステムが採用され、これらを標準装備する新グレード「PROACTIVE(プロアクティブ)」も設定されている。
このほか、スマホを介してネット接続やコミュニケーションの機能を利用できるカーコネクティビティシステム「MAZDA CONNECT(マツダ コネクト)」の採用も、今回のマイナーチェンジの目玉となっている。
ディーゼルモデルは3グレード
騒音、振動の低減で快適度アップ!
「SKYACTIV-D」と名付けられた2.2リッター・ディーゼルモデルは装備により「XD」「XD PROACTIVE」「XD L Package」と3つのグレードが設けられ、それぞれに2WD/4WDモデルが用意されている。
ちなみにガソリン車「SKYACTIV-G」は、2.0リッター車に2グレード(20S/20S PROACTIVE)、2.5リッター車には3グレード(25S/25S PROACTIVE/25S L Package)と、合計5グレードが用意されるが、4WDモデルは最上級グレードの「25S L Package」にしか設定がなく、「4WDならディーゼルを!」という姿勢が明確なラインナップと言える。
試乗車は「XD L Package」の4WDモデルで、今回追加されている快適装備や先進機構がすべて標準装備された最上級グレード。これにBOSEサウンドシステムや電動スライドガラスサンルーフ等のオプションを追加したフル装備の豪華仕様だ。
今回、2.2リッター直4DOHC直噴ターボディーゼル・ユニットに大きな変更は行われていないが、「高速走行時に車内に伝わる騒音を従来比約10%低減」というだけあって、遮音性能が上がり、静粛性が高まったことはハッキリ体感できた。
というのも、今回タイミング良く、スタッドレスタイヤの評価テストをこのCX-5で実施する機会があり、ちょうどマイナーチェンジによる試乗車両更新時期と重なったため、新旧両モデルを続けて試乗できる幸運に恵まれため、新型の進化具合をきちんと確認できたのだ。
また、高振動吸収ウレタンを新採用したシートや,前後ダンパーおよびフロントロアアームのブッシュ形状最適化、フロントスプリングのレイアウト変更など、実に細かい改良が行われており、舗装路の試走だけでも、騒音と振動の低減にいかに注力したかが体感できる。
氷雪路で基本性能の高さを実感!
まだまだ伸びるディーゼルに期待
街中でのゴー/ストップの繰り返し、ワインディング路でのコーナリング等、一般的なオンロード試乗では、従来型からの大きな変化は感じられない。
前述した遮音性能の向上や振動の軽減による快適性アップ以外での大きな進化が感じられないのは、ある意味、CX-5が熟成期に入ったのだと考えるのが妥当なのだろう。
ただ、今回は4WDモデルとしてのメリットを最も享受できる氷雪路での試走が実現し、このステージでの走りがかなり秀逸だったことは注目に値するポイントだ。
なお、タイヤは国産大手メーカーの最新型スタッドレスタイヤに換装しての試走であることをお断りしておく。
試走ステージは、新雪の積雪路、圧雪路、アイスバーンの3通りだったが、CX-5はいずれの状況でも、雪道とは思えないほどの優れたコントロール性能を発揮した。
ツルツルの氷結路面での発進時や、加速時でも、安定した直進性が確保でき、ステアリング操作に素直に車体が従ってくれるコントロール性能の良さは、ドライバーに自身のドライビング・スキルが上がったような勘違いを起こさせるレベル。
これは、電子制御による前後トルク配分や、各輪で行われる細かいブレーキ制御によるトラクションコントロール機構の働きに拠るところ が大きいはずだが、前後重量配分やサスペンション設定等、基本設計に拠るところも大きいはず。運転していて全体的なバランスの良さを実感できるクルマと言 える。
もちろん、スタッドレイタイヤ自体の性能レベルがかなり高かったことも好評価の要因だが、その性能をキチンと活かせるクルマであることも、また間違いない、という印象だった。
巷では弟分のCX-3もデビューし、さらに先進の技術が盛り込まれたディーゼルエンジンも話題になっている。
成熟期に入ったとは言え、ディーゼルモデルに関しては、まだまだ伸び代を残した期待の1台であることに変わりはない。
2,188cc 直列4気筒DOHC直噴ターボ・ディーゼルエンジン。最高出力129kW(175ps)、最大トルク420Nm(42.8kgm)を発揮する。
【騒音計測データ】
●車内・・・・44.5dB
●ボンネット閉・・・・62.5dB
●ボンネット開・・・・72.5dB
※エアコンOFF、電動ファン非作動時
エンジンノイズ自体は従来型と変わらないが、遮音性能が向上した。
部分的に新デザインが採用されたインパネ。制振対策が施されたダッシュボードが効果を発揮している。
トランスミッションは全車6速AT。電動パーキングブレーキ(EPB)は全車標準装備。
ドライビング姿勢を崩すことなく操作ができるコマンダーコントロール。カーナビやオーディオもこのダイアルとボタンで操作。
高振動吸収ウレタンを採用した前後シート。フィット感と優れたホールド性、上質な乗り心地が図られた。リアシートは座面長が拡大され、姿勢の自由度が向上した。
3分割可倒式のリアシート。操作が軽くて容易。カーゴ面積も充分確保されている。
対向車や先行車のドライバーを眩惑させることなく、常時ハイビームでの走行を可能にした「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」を新採用。
フロントサス(左)はマクファーソン・ストラット式、リアサス(右)はマルチリンク式。新構造の前後ダンパー、フロントロアアームのブッシュ形状最適化などが施された。
L Packageの標準タイヤは225/55R19サイズ。アルミホイールは、立体感のある造形に切削加工とガンメタリック塗装を施した新デザインを採用。