詳報! アジアクロスカントリーラリー(AXCR)2026『三菱ラリーアート、3度目の王座へ』

2026.8.31

    • ラリー
    • 三菱

連覇達成!
#106田口選手は悲願の初優勝!!

 

東南アジアを舞台に、毎年熾烈な闘いが繰り広げられている
世界でも有数の過酷なラリー・FIA公認「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)」。
今年は数えて第31回。
回を重ねるごとに激しくなるメーカー同士の争いは
4×4・SUVファンとしては興味の尽きないところ。
さて今年は、どんなドラマが展開されたのだろう…?

 

第31回大会「アジアクロスカントリーラリー2026」概要

◆開催期間:2026年8月9日~15日
◆開催国:タイ王国・パタヤ→ピッサヌローク
◆総走行距離:約2,000km(LEG-1~LEG-6)
 

熾烈なメーカー同士の争いは、例年以上に混沌としたラリーに

毎年8月に行われ、今や4×4・SUVファンの間では夏の風物詩のようにもなっている「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)」。今年もタイを舞台に開催され、ラリーは終了している。
 
今年のラリーは、例年以上に白熱した闘いが演じられた。まずMITSUBISHI 対 TOYOTA、ワークス勢同士の闘い。MITSUBISHIは昨年、トライトン3台で挑み、見事2度目の総合優勝を果たしている、いわばディフェンディング・チャンピオン。チームの総監督を務めるのは伝説の元ラリードライバー・増岡浩氏で、日本代表、といったところだ。
 
一方、迎え撃つTOYOTAは、「TOYOTA GAZOO RACING THAILAND」チームで、いわばタイ代表。ただしエースドライバーのMana Pornsiricherd選手は、国内のXCRスプリントカップに出場するなど、日本でもお馴染みのドライバーだ。
 
そしてもちろん、優勝を狙うのはこの2チームだけではない。今回は四輪42台(二輪は35台)の出場となったが、日本や地元・タイのほか、インドネシアやインド、オーストラリア、台湾、アメリカ、ベトナム、シンガポールなど世界各国から選手が集結。またメーカー系のセミワークスとしてイスズ、フォード、スズキ、GWM(中国)などが、虎視眈々と上位を狙う。
 
さらにタイヤメーカーにとっても、AXCRはその実力を証明するのにうってつけの舞台。ヨコハマ、ダンロップ、トーヨーなど日本メーカーがこぞって出場しているのも、ファンにとっては見逃せない。
 

LEGごとに入れ替わる1位選手
最後はやはり、MITSUBISHIとTOYOTAの熾烈な争いに

AXCR 2026は、LEG 1~6までの、実質6日間で争われた。ここでは“例年以上の熾烈な”ラリーの展開を振り返っていこう。
 

LEG-1(8/10)
リエゾン・168.40km/SS・206.83km

初日のSS(セレクティブセクション)に用意されたのは、森林やユーカリ農園、ゴム農園を駆け抜ける約206km(実際は20km短縮された)。午後になると激しいスコールに見舞われ、コースコンディションは一変。深いワダチに水が溜まり、約200mのウォーターベッドも現れるほど。泥と水に選手たちは翻弄される。
こんな悪条件の中、トップタイムを記録したのは、Team TEIN #120の鎌田卓麻/柳川直之組だった。鎌田選手は国内ラリーの実力者。初めて挑むクロスカントリーラリーでもハイラックスを自在に操り、まさかのトップでLEG-1を終えた。
2位はTOYOTA GAZOO RACING THAILANDの#107 Natthaphon選手、3位はTeam MITSUBISHI RALLIART #106 田口勝彦選手、4位には国内XCRのチャンピオン、CUSCO Racingの#119 番場彬選手が飛び込んだ。TOYOTAの#102 Mana選手は6位に、トップとは7分10秒差だ。
 

LEG-2(8/11)
リエゾン・184.21km/SS・146.04km

パタヤから森林、農園を抜け、ラリーは徐々にタイ中央平原に入っていく。車窓から見える景色も見通しのよい農地や水田へと変わってくる。もちろん、選手たちはこの景色の中を快調に飛ばしていく。
しかしトラップは後半にあった。コースは大小様々な岩が転がる、まるでロックセクションだ。道幅も狭くライン取りが難しい……。
ここでトップタイムを叩き出したのはTOYOTAの#102 Mana選手、一昨年のAXCRチャンピオンだ。続く2~4位まではタイのイスズD-Max勢が独占、MITSUBISHIの#106 田口選手はデイリーでは10位以内に入ることができなかったが、総合では3位をキープ。なんだか波乱を予感させる展開だ……。
 

LEG-3(8/12)
リエゾン・330.25km/SS・146.04km

この日はナコーンサワンという街を巡るループコース。コースの中心は田園地帯で、ライスフィールド灌漑用の水路、その脇を走る細い“カルナロード”が戦いの場となった。またルートは複雑で、スピードよりもコマ図を読み解く典型的なナビコースともなった。
この日、トップタイムを記録したのはMITSUBISHIの#106 田口選手。ナビの保井隆宏選手のサポートが大きく、このラリーで初めてトップタイムを獲得した。#106 田口選手は、ここで総合でも1位に浮上する(ただし総合2位との差は、わずか8秒……)。2位はLEG-1でトップタイムを記録した#120 鎌田選手、5位には#112 GEOLANDAR FORTUNER takuma-gpの青木拓磨選手が、また6位には#135 Tras POWER135 TRD HILUXの新田正直/染宮弘和組が入賞するなど、日本勢の活躍が目立ったLEGだった。
 

LEG-4(8/13)
リエゾン・331.25km/SS・181.04km

競技4日目はナコーンサワンから北上していく、今大会ではもっとも長いSSで競われる。前半は森林と農村地帯、後半はキャッサバ畑やサトウキビ畑を抜ける。コースはスピードの乗せられるダートが多く、速さ自慢の選手たちが思い切りアクセルを踏めるステージだ。
ここで1、2位に入ったのはINDONESIAとTHAILANDの、TOYOTA GAZOO RACING勢。3位には#119 CUSCO Racingの番場選手が飛び込んでくる。前日に#119 番場選手はホイールとハブを損傷、総合順位を13位まで落としていたが、ここで再び総合9位に浮上した。
一方、MITSUBISHIの#106 田口選手は4位に入り、総合首位をキープしている。
 

LEG-5(8/14)
リエゾン・390.92km/SS・183.60km

ラリーもいよいよ大詰めとなる競技5日目。翌日、最終日のLEG-6のSSが短いため、事実上、このLEGが最後の大勝負となる。コースは、前半は狭く曲がりくねった森林地帯。穴や溝、岩も点在し、さらに次々と現れる分岐が選手たちを迷わせる。ここで多くの選手がミスコース、時間を失ってしまっている。
一転、後半になると農地や牧草地へ。ハイスピードなダートが続き、トップ争いは熾烈に。
そしてトップタイムはLEG-2に続き#102 Mana選手が記録。ミスコースもマシントラブルもなく走り切り、トップのMITSUBISHIとの差を5分21秒にまで詰めることとなった。
 

LEG-6(8/15)
リエゾン・180.7km/SS・58.62km

混戦が続くAXCR 2026もこの日が最終日。LEG-6に用意されたのは山林を走る58.62kmのショートステージ。それでも荒れた路面の続く、油断のできないコースだ。そして……。
総合優勝に輝いたのはTeam MITSUBISHI RALLIART、#106 田口選手だった! LEG-6をトップタイムで終えたのは、まさに鬼神の走りを見せた#102 Mana選手だったが、ここを手堅く走り終えた#106 田口選手に2分25秒、追いつかなかった……。
Team MITSUBISHI RALLIARTは、これでAXCR 2連覇を達成! AXCR 3度目の総合優勝を遂げた。またドライバーの#106 田口選手は4回目のAXCR挑戦で、悲願の初優勝! コ・ドライバー保井隆宏選手との日本人コンビによる優勝も、AXCR史上初めてのことだった。

 

2連覇達成のMITSUBISHIと、初優勝を果たした#106 田口選手

Team MITSUBISHI RALLIART 増岡浩総監督

「本当に僅差の接戦で、最後までまったく気の抜けない厳しい闘いでした。メカニックを含めチーム全員が力を合わせ、最後まであきらめずに頑張ってくれた。本当にうれしく思います。
今回、クルマは単純に速くしたというより、信頼性を高めながらハンドリングや重量配分、乗り心地といった点をしっかり煮詰めていきました。タイヤ(ヨコハマ・ジオランダーM/T G003)についても一度もパンクすることなく、止まることなく走り続けられたことが勝利につながったと思います」
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#106 田口勝彦選手

「今年は順位がどんどん入れ替わるし、後ろから“スーパータイム”で追い上げてくる選手がいるし、最初から最後までずっと気が抜けなかった。毎日9割から9割5分のペースで、正直、かなりしんどい闘いだった。そんな中でもパンクしなかったのは本当に良かった。そこはタイヤに助けてもらったと思っています。
出場4年目でようやくつかんだ優勝なので、もちろんうれしい。チームのみんなと目指してきた結果ということもあるし。ただ、ドライバーとしては最後のLEG-6で後ろから来た#102 Mana選手に抜かれちゃったのは、ちょっと悔しい(笑)。まだ自分には伸ばせるところがあるってことだから、もっと速く走れるようになって戻って来ます!」

 

上位入賞は日本人が占める! それぞれのAXCRラリーとは

MITSUBISHI 対 TOYOTA。ワークス勢同士の熱い闘いがAXCR 2026、最大のトピックスとなったが、実はそれ以上に心を動かされてしまったのが、今回、出場42チーム(四輪)中、15チームを占めた日本人エントラントの活躍ぶりだ。最終結果を見ると、総合11位までに、なんと7チームが入賞している。
 
とくに驚かされたのが、初出場ながら総合4位に入賞したTeam TEIN #120 鎌田卓麻/柳川直之組。
「もっと厳しいラリーを想像していましたが、マシンのポテンシャルが高くて。LEGを重ねるごとにできることも増えてきて、来年に向けても課題が見えてきました!」
国内スピード系ラリーを席巻している鎌田選手だけに、来年の闘いに要注目だ!
 
また、こちらも総合6位と予想以上(!?)の成績を残したTras POWER135 TRD HILUX #135 新田正直/染宮弘和組。完全プライベーターとしての参戦だった。
「ハイスピードは苦手だったんだけど、日を追うごとに慣れてきました。染宮さんというダカール・ラリーにも参戦するコ・ドライバーと組めたこともよかったです!」
 
2度目のAXCR挑戦となるCUSCO Racingの#119 番場彬選手。途中“3輪走行”となるトラブルに見舞われながらも総合8位入賞で、国内XCRスプリントカップ・チャンピオンの意地を見せた。

「途中、大きなトラブルもありましたが、大きな収穫もあった今回のAXCRでした。複雑で厳しいコースコンディションで、ドライビングだけじゃなく、自分自身の精神的な部分も強くしていかないといけない。また自分を高めて、来年こそは良い結果につなげたいですね!」
 
さらに総合10位に飛び込んだのは、AXCR優勝経験もあるGEOLANDAR FORTUNER takuma-gpの#112 青木拓磨選手。
「今年はクルマをどこも壊していないし、タイヤもノーパンク。その分、ミスコースはもったいなかった……。今回はT2クラスからの出場で、T2はクルマをいたわりながら走るのが難しさ。また来年に向けて頑張るよ!」
 
そして女性同士のチームとして、大会前から話題になっていたのが、GEOLANDAR CTS RALLY TEAMの#137 羽根田 琴/槻島もも組だ。羽根田選手はAXCR初、槻島選手は2度目の出場だが総合19位、レディース部門では1位に輝いた!

「行く前から“絶対迷子になるよ!”って言われていましたが、ももさんのおかげで無事遭難せず、6日間走り切ることができました。今回はクルマを壊さないことを優先しましたが、もう少し踏めたかな? って思うところもあります。また機会があったら、もっと上を目指してみたいです!」(羽根田選手)
「2年目の挑戦だったので、去年の悔しさを晴らしたい気持ちでした。ミスもあったけど、琴ちゃんが大丈夫だよ、って言ってくれて。何より二人で楽しく走れましたし、中央自動車大学校の生徒さんも一所懸命メンテナンスしてくれて。皆でつかんだ結果だと思います!」(槻島選手)

 

選手たちを確実にサポート、印象的な「GEOLANDAR」の強さ

今回のAXCR 2026でもうひとつ、印象的だったのは、“タイヤ”選択の重要性だ。総合優勝に輝いたTeam MITSUBISHI RALLIARTの#106 田口選手、また増岡総監督の“タイヤに勝たせてもらった”というコメントがそれを象徴している。
 
そう、そのタイヤがヨコハマ・GEOLANDARだ。
 
ちなみに今回の出場42台(四輪)中、19台がGEOLANDARを装着、実に装着率45%で、実際、結果も1位、3位を獲得したほか、上位10台中、5台がGEOLANDAR装着車だったのだ。
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「一回もパンクすることなく、ウェットからドライまで非常にコントローラブルで信頼性がありましたね。(勝利は)GEOLANDAR M/T G003、タイヤのおかげです!(#106 田口選手・総合優勝)」
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「今回GEOLANDAR M/T G003を装着しましたが、ハイスピードコーナーでも、つねに安定したグリップ感がありましたし、マッディな場面でもスタックの心配がないほどのトラクションをつねに得られたので、安心して走ることができました。一部、路面が引き締まってパンパンになったところもあって、そういうところをハイスピードで走るのはMTにとって苦手だったかもしれませんが、急に挙動が破綻するとかという動きにもならず自分の中で把握できる動きだったので、そういう意味でもタイヤ性能の高さを感じられましたね(#119 番場選手・総合8位)」
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「かなりの雨でヌタヌタで、スタックするような沼地もあったんですが、そんな中でもしっかり前にかいてくれるというのがGEOLANDAR M/T G003の特性だと思いました。自分で止まるんじゃないかな? と思ってもしっかり前に進んでくれる。一瞬も止まることなくしっかりブロックが泥をかいてくれる。かなり気持ち良く走れたかな、と思います(#137 羽根田選手・総合19位・レディース部門1位)」
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「終始グリップが感じられて、ヌルヌル、ヌタヌタのところでもしっかり噛んでくれるんですね。それで前に出る。前に出るということをタイヤがしてくれるから、とても安心できました。ハイスピードのコーナーでも、そこそこグリップしてくれるから後ろを流して曲がる、なんてこともやりやすかったです。タイヤのおかげでこの順位に入れた、っていう思いですね (#135 新田選手・総合6位)」
(文章・構成:高坂義信/取材:河村 大/写真:高橋 学、芳澤直樹)

 

CTSの学生はメカニックとして
今年も、AXCRに参加!

GEOLANDAR CTS RALLY TEAMのメカニックを務めたのは、中央自動車大学校(CTS)の4年生たち。
今回は車両に大きなトラブルがなかったものの、学校の授業とはまったく異なる環境の中、貴重な経験を重ねた。

 

 

ドライバーもコ・ドライバーも
ときにメカニックとして

Team MITSUBISHI RALLIARTの光景。ワークスチームとは言っても、ドライバーやコ・ドライバーはSSの現場ではメカニックを務めなければならない。これもクロスカントリーラリーに勝つことの難しさの一つだ。

 

 

アジアクロスカントリーラリー公式サイト

https://asiacrosscountryrally.com/

GEOLANDAR公式サイト

https://www.y-yokohama.com/brand/tire/geolandar/